秋のノート [秋:秋の味覚]
<テーマの目的>
テーマ:秋の味覚
目 的:秋は食べ物の美味しい季節です。梨や葡萄、柿や茸、秋刀魚やさつま芋、
秋の旬の食材をどのようにゲットし、どのように料理していたか、お話しし
ていただきました。
<実施日と参加者>
実施日:9月中旬
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
実施者:リーダー1名、コ・リーダー3名
参加者:8名(90才台女性4名と80才台女性1名は要介護2~4、80才台男性
1名は要介護3,80才台女性2名)
<参加者への配慮>
・初めての方がおられるので、なるべく沢山発言していただくよう、体調等のご様子
を見ながらサポートする。
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が
発言しやすいようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時が多
くあるようなので、集中していただけるように話題に沿った問いかけを適宜行う。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
<進行予定>
1)皆さんはどのようなときに秋を感じるか、自己紹介を兼ねてお話いただく。
2)「秋の味覚」について、料理法、料理のコツなどについてお話いただく。
3)農家の方には、収穫の時のご苦労話もお聞きする。
<用意した道具>
1)柿、葡萄、椎茸、焼き芋、サンマ(秋刀魚。施設の夕食のものを借用)
<実際の進行>
リーダー:こんにちは、それではお話会を始めましょう。
:今日は、初めて参加された方もおりますので、自己紹介から始めたいと思
います。
:お名前と、ご自分が「秋だなぁー」と感じるのは、どんな時に感じるのか
もお話ください。
:よろしくお願いいたします。
リーダー:では、まず私から。私の名前は磯村です。
:私は、一日が短くなったことです。夕方に早く暗くなると、「ああ、もう
秋だなぁ」と思います。
リーダー:皆さんは、如何ですか?
Aさん :私はAでございます。
:庭に柿がなっている。周り近所の家の柿も赤くなっているのが見える。
:それを見ると秋だなあ、と思います。
Bさん :何も考えてこなかった。
:やっぱり柿の季節。いい色になっている。
:皆さんと、ここに一緒に来ていることが嬉しい。ここから、柿が見える。
:いい色になっている。柿がなる頃、いい時期。
リーダー:秋は良い季節だなというBさんです。
Cさん :どんな時だろうか。全く浮かばない。
:ススキなんか見ると、秋だなと思うね。
Dさん :Dです。
:着るものが変わると、秋だなと思う。
:何を着ていいか、わからない。
:いろいろ、着たり脱いだりして、難しいよ。
Eさん :木の片っ方の半分は葉が落ちて、こちら側は残っている。
:ああ、秋だな、と思う。
リーダー:詩人ですね。
:庭の木をみて、半分は葉が落ちて、こちら側は残っているのを見て、秋だ
な、と思われる。素晴らしいですね。
(「ロマンチック」の声がかかる)
Fさん :菊の花。秋だな、と思う。今はまだ蕾(つぼみ)だから、もう少ししてか
ら咲く。
リーダー:皆さん、素敵ですね。いろいろな秋があるんですね。
:Gさんは、如何ですか。
Gさん :そうねぇー。食べ物が美味しい。
:そうそう。リンゴがなる。
→「食欲の秋ですね。私はさつま芋が大好き。天ぷらや、焼き芋は美味しい」
→「実りの秋。栗が美味しい」などの自己紹介がコ・リーダーから。
リーダー:今日は、秋の味覚がテーマです。
:立派な、お皿を持ってきました。このお皿に、秋の味覚が載ります。
(お皿を2枚テーブルに置く)
リーダー:まず、茸(キノコ)です。
(肉厚のシイタケをテーブルの上に置く)
→「松茸だ」(Aさん)
:松茸は、今日は持ってきておりません。
(「シメジではない」、「シイタケかな」、「身が厚いね」などと皆さんわいわ
いがやがや)
→「昔は、山で採れた」(Aさん)
→「ハツタケ、昔は、近所で沢山採れた」(Fさん)
「キノコ狩りは、山がみななくなった。つぶして家が建った」(Aさん)
「山でキノコ狩りした時、キノコを蹴飛ばしたら、それが食べられるもの
だった」(Aさん)
→「蹴飛ばしたのは、シメジですか?毒茸と似ている」(コ・リーダー③)
→「私もキノコ狩りをした。ハツタケやシメジが採れた」(Bさん)
「炊き込みご飯にした。今は出ないよ。昔は取りに行った」(Bさん)
→「家に松を植えたら、キノコが出てきた。キノコご飯にした」(Dさん)
「アカハラと言うキノコ。小さいキノコだけど、カサはない」(Dさん)
→「むやみやたらに食べると、死んじゃうよ」(Aさん)
→「百姓の育ちなんで、何でもやった」(Eさん)
「キノコ狩りは、何回も行っている」
「こんなキノコを持つと昔を思い出す」
「昔は沢山あった。だいたい、30本、40本採った」
「全部、自分の家で食べた」(Eさん)
→「皆と一緒に、採りに行った。笊(ざる)と鎌(かま)を持って」(Fさ
ん)
「近所のお母さん達と一緒に。電車に乗って」
「沢山採れたけど、上手な人と、下手な人がいる」
「目の前にあっても分からない人がいる。私は、そこにあるよ、と言われ
ても、分からなかった」(Fさん)
:横浜生まれのGさんは、キノコは採りましたか?
→「私はキノコは行かなかった。海岸だから、貝は捕った」
「佃煮にした」(Gさん)
→「家の方は、落花生。キノコはあまり出なかった」(Dさん)
「落花生は手間がかかる」
:落花生は、お店で袋に入っているのしか見たことありませんが、木に成っ
ているんんですか?
→「マルチン使って、植えるの、大変だよ」(Dさん)
「大きくなると、マルチンをとらなくちゃいけない」
「鎌で切って、剥がさねばならない」
「中には、何もしないで植える人もいるけど」(Dさん)
→「カラスが待ってる。植えるの見てる。人がいなくなると、食べに来る。
電信柱に止まって待って見ている」(Aさん)
(皆さん、びっくり)
→「風が強いと、マルチンが飛ばされる」(Dさん)
「飛ばされないように、砂をかけておく」
「でも、風が強いと、飛ばされる}
「手が回らなくて、落花生が大きくなってから、マルチンとるのは、手間
がかかる」(Dさん)
→「家でも落花生を作っていた」(Cさん)
→「もう、茹(ゆ)で落花生が出てるね」(Fさん)
リーダー:ゆで落花生は、作ってましたか?
→「ゆで落花生は、種がちがうよ」(Dさん)
「種が大きい。早く蒔いた」
「早くないと、高く売れない」(Dさん)
→「ゆで落花生は、1週間前に食べたばかり」(Fさん)
→「柔らかくて、美味しいよ」(Dさん)
「親戚の家でつくっていたの持ってきてくれた。美味しかった」(Dさん)
→「食べたことがある。美味しい」(Gさん)
→「この前、冷凍してあるのを食べた」(Hさん)
リーダー:秋の味覚といえば、他に何がありますか?
(「栗」、「林檎」、「柿」など、皆さんわいわいがやがや)
:秋の味覚と言えば、柿ですね。
:実家が奈良にあるので、送ってくれました。
(「きれいな柿だね」、「大きいね」、「こんな大きいのなったら、枝が垂れ
るね」などの発言あり)
→「色がきれいだね。柿を見ると秋だと思うね」(Aさん)
(柿の種類が分からず、「富有柿(ふゆがき)?」、「次郎柿では?」、
「筆柿ではないし」などと、わいわいがやがや)
:「柿食えば、鐘が鳴るなり法隆寺」の柿ということで、奈良は柿が有名で
す。
:奈良で採れたこんな形の柿は、どれも奈良柿と呼んでいましたね。奈良柿
にも、幾つか種類があるのかもしれません。
→「渋柿は、熟(う)ませないと渋い。熟ませると美味しいよ」(Dさん)
→「渋柿は、つるし柿にもなるよ。吊(つ)るし柿も甘いよ」
「皮を剥(む)いて、軒下に吊るした」(Dさん)
:皆さんの家の庭には、柿の木はありましたか?
→「5本くらいあった。みんな渋柿だった」(Bさん)
「渋いので、甘くして食べた」(Bさん)
→「柿の木はあったよ。柿は大好きだから」(Aさん)
→「何本もあった。今年は、沢山なってます。今年は当たり年」(Eさん)
→「干し柿を沢山作った。私は手伝わない。店の者が作った」
「食べるのは、大好き。柿、リンゴ。果物が大好き」(Gさん)
リーダー:海でとれる秋の魚は何ですか?
(「サンマ(秋刀魚)」という皆さんの答え)
(施設からお借りした実物の秋刀魚をテーブルに置く)
→「最近は生のサンマは見ないからね。焼いてあるのばっかり」(Dさん)
→「サンマは開きの方が美味しい」(Fさん)
:今日の夕ご飯は、このサンマを焼いて食べるそうです。
:このサンマは、漢字で書くと、どんな文字ですか?
(「秋刀魚」と、秋の、刀の、魚、とボードに書く)
:秋に獲れる、銀色の刀のような、魚、と書きます。
:サンマは、どう食べますか?
→「塩焼き」(Aさん)
:腸わた(はらわた)は、どうしてました?
→「そのまま、はらわたは美味しい」(Aさん)
→「サンマは、炭で焼いた。サンマの油が落ちて、煙が凄い」(Eさん)
→「サンマは開いて、干して食べると美味しいよ」(Gさん)
:何日くらい干しましたか?
→「半日くらいかな。あまり干すと堅くなるから」(Gさん)
→「一夜干しかな。一夜干しは美味しいですね」(コ・リーダー②)
(「生の方が美味しい」、「煮て食べるのも、美味しい」、「サンマの蒲焼きも
美味しいですね」など、わいわいがやがや)
→「サンマは嫌い。はらわたが苦くて。もう、サンマはいい」(Fさん)
「昨日、スーパーに行ったら、美味しそうなサンマが並んでいたけど、買っ
て食べようとまでは思わなかった」
「キンキの方が好きだけど、値段が高い」(Fさん)
リーダー:皆さん、サンマは焦がさないで焼けましたか?
→「七輪(しちりん)で、焼いたよ」(Dさん)
「七輪だと、真っ黒にはならない」
「七輪は、下の窓を閉めればいい。火が弱くなったら、窓を開けて、空気
を入れる。焦げないよ」(Dさん)
:上手に焼いたのですね。
→「上手じゃないけど、真っ黒にはしなかった」
「サンマは真っ黒になりやすい」(Dさん)
→「ひっくり返すのが大変。箸に肉がくっ付いてしまって。皮も」(コ・リ
ーダー③)
→「網を熱くしておけば、くっ付かないよ」(Dさん)
→「自分も上手には焼いたけど、主人が上手に焼いた。焦げない」(Dさん)
「消し炭を使って焼くと、火が強くならないので焦げない。よく焼ける」
(Dさん)
→「昔はサンマは安くて、バケツを持って買いに行った記憶がありますが、
今は、1匹、2匹とパッケージに入って、値段も高いですね」(コ・リ
ーダー③)
→「サンマがいっぱい獲れていた頃は、お寺にサンマが奉納されることもあ
った」(Fさん)
「それを、みんなに分けてくれた」(Fさん)
→「サンマは、1本が10円だった」(Fさん)
:大阪は、サンマは1匹、2匹ずつ買ったかな。
:関西では、サンマは関東ほど食べない感じだった。
リーダー:栗も秋ですね。
→「栗は美味しいね。今は、山栗がないからね」(Fさん)
「山栗、あれが一番美味しい」(Hさん)
→「家にあったから、山栗は採らなかった」(Dさん)
「木が大きくなって、邪魔になって、切っちゃった」
「今は、せがれが、また栗の木を植えた」(Dさん)
コ・リーダー②:Gさんは、山形は栗も美味しいそうです。
→「山形は、リンゴも美味しい。お米も美味しい」(Gさん)
リーダー:このブドウは、何ですか。
:巨峰かな。種があるようです。
→「種無しの方がいいよ」(Aさん)
(皆さん、手に持って「凄い重い」、「高かった」、「服の色と同じだね」、
「大きいね」など、わいわいがやがや)
→「ブドウは食べるのが面倒なので、嫌」(Fさん)
リーダー:秋は、サツマイモの採れる季節ですね。
→「作ったことあるよ」(Dさん)
「でもね、さつま芋は、まっすぐでないと、A品で売れない」
「曲がるとB品になってしまう。B品は安い」
「さつま芋は、作るの難しいよ」(Dさん)
→「皆、さつま芋は作っていた」(Eさん)
「そんなの売れないよ。食べては美味しいけど、見た目がだめだから、
売れないよ。味は同じだけど」
「赤土の水はけのいいところに作ると、まっすぐに育つ」
「これ以上大きくすると、美味しくない」(Eさん)
リーダー:さつま芋は、どうやって食べてましたか?
→「ふかして食べた」(Eさん)
→「焼き芋」(Gさん)
(焼き芋を、テーブルに置く。皆さん、焼き芋だとすぐ分かる)
(「美味しそうだね」、「これは凄い」などわいわいがやがや)
:石焼き芋だから、中は柔らかいと思います。
:後で食べますから、今は匂いだけ。
→「私は匂いは分からないから」(Dさん)
→「美味しいと思います」(Eさん)
リーダー:では、そろそろ秋の歌を歌って、この焼き芋を食べましょう。
:では「紅葉」を歌いましょう。
:歌姫のAさん、お願いします。
(Aさんは「一人じゃ歌えないよ」と言いながら、歌い始める)
(皆も一緒に「秋の夕日に、照る山もみじ・・・」と歌う)
→「紅葉の葉は、天ぷらにして、食べる」(Fさん)
→「えー、紅葉の葉を食べる?」(コ・リーダー③)
→「そうそう、きれい。白いお料理の上に載せると、きれい」(コ・リーダー①)
→「紅葉の天ぷら。売っているよ」(Fさん)
→「味は、あまりしないが、料理がきれいに見える」(コ・リーダー①)
リーダー:それでは、秋の味覚を食べましょう。
:お茶の時間です。
<座直り>
・お茶を飲み、さつま芋とブドウを食べました。いろいろなお話もありました。
「これだけ美味しいものがあると、秋は太るね」
「サンマの開き、みりん干しも美味しい」
「さつま芋の天ぷらは美味しい」
「さつま芋は、ご飯に入れて炊いても美味しい」
「昔は芋ご飯をやった。お米がなかったから。戦争中は芋を入れて炊いた」
「ご飯に混ぜると言っても、ご飯が少なく、芋ばっかり。芋ご飯」
「栗ご飯は美味しい。でも作るの大変」
「栗ご飯は作りたくない、手間が大変だから」
<回想法を振り返って>
・初めて参加されたEさんは、最初は緊張された様子でしたが、皆さんのお話を聞い
ているうちに、ご自分でも発言されるようになりました。
・隣の方とも馴染んでおられたので、次回もこの席順が良いと思いました。
・秋の味覚が沢山あるとはいえ、道具が多過ぎた、というコ・リーダーから指摘があ
りました。
・用意する道具は柿だけでも良かったのかもしれませんが、実際に手に持っていただ
いたときの皆さんの表情を思うと、あれもこれも実物に触れて欲しいという気持ち
になってしまいます。(反省)
(リーダー 磯村)