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教育勅語 [春:教育勅語(要約編)]

お知らせ当会から、回想法の本が出版されました。詳しくは右欄の「出版のお知らせ」をご覧ください。

・この「教育勅語(要約扁)」は、参加者の方とのやりとりの部分<進行の様子>
 は話題毎に要約しました。
・また、リーダー(とコ・リーダー)が  ”どのようなことを考えながら実施してい
 たか”を、なるべく多く記すようにしました。

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テーマ:教育勅語(要約編)

実施日:3月中旬(4月初旬に実施した年もありました)
場 所:グループホーム
参加者:10名(全員入居者、1名の難聴の方はボードに板書してサポート)
実施者:6名(施設スタッフ3名含)

目 的:春は卒業の季節でもあり、新入学の季節でもあります。桜の時期が間近
    ですので、学校の思い出を語っていただきます。
    学校の思い出にもいろいろありますが、皆さんが戦時の教育を受けてお
    られますので、「教育勅語」を手がかりに、学校で学んだことが今にど
    う生かされているか、語っていただきます。
    少し難しいテーマとは思いますが、チャレンジしてみます。

進行予定①初めての方もおられるので、簡単な自己紹介から始める。
    ②教育勅語の読み合わせを行う。
    ③当時、教育勅語を読んで、どう感じていたか、お話しいただく。
    ④学校で学んだことが、その後の生活の中でどう生かされていたか、
     お話しいただく。
    ⑤今の年齢になって、振り返ってみて、どのようなことを感じ、どの
     ようなことを思われるのか、お話いただく

用意した道具
    ①教育勅語(コピー)
     (ウィキペディアWikipediaから引用)

             教育勅語切り抜き.jpg           


<進行の様子>
1)自己紹介について
  ①「お名前と,お好きな食べ物」について、自己紹介していただきました。
   ・「好きな食べ物」だけの方もいれば、生まれた土地を紹介される方も。

    ②自己紹介が進んで半ば頃になると、越境して通う生徒が多い?秀な学校だ
   ったことや、兄弟が沢山だったことを誇らしげに話される方、お国自慢
   される方もあり、自己紹介の枠からはみ出してお話が進みました。

  ③小学校に生徒が沢山いた時代なので、午前と午後に分かれて授業があった
   こと、パン屋さんがお昼のパンを売りにきたこと、田舎と都会での違うこ
   と、離島での生活ぶり、などの話題もありました。   

2)教育勅語の読み合わせ
   ①教育勅語のコピーを配り、一緒に最初から読み始める。
   ・リーダーが、大きな声で読んでいくが、リーダーと同じ部分を読んでい
    る方もいれば、少し遅れて読んでいく方も。
   ・区切り毎に、どんなことを言っているのか、皆さんの意見をお聞きしな
    がら、少しずつ進んでいく。
   ・難聴の方は、コ・リーダーとボードでのやりとりをしながら、ご自分だ 
    けのゆっくりとしたペースで読んでおられる。
       ・リーダーは、難しい言葉が出てくる度に、その読み方と意味を皆さんに
    聞いていく。
   (言葉の意味をあれこれと議論していると、少し遅れ気味の方もその議論
    が終わる頃には追いついてきて、何となく揃ってから、次に進んでいく
    ことができました)
  ②特に難しい単語は、クイズ的な雰囲気で「○○さん、これはなんと言って
   いるのですか?」と、皆さんに聞いていく。
     
・最後の「御名御璽(ぎょめいぎょじ)」は、全員が大きな声で読んで読了。
   約5分で読了)
   (ボードでのやりとりをしながらの方は、一つ一つの単語を丁寧に読み進
     んで、皆さんより約4分遅れで読了)

         全体②.JPG

3)教育勅語の内容について
  ①「読むのは大変でしたけど、この教育勅語は何を言っているのですか?」
   という問いかけから、皆さんのお話をお聞きしました。
        ・「立派な人間になって、国に尽くせということ。小学校の時に習った」
   ・「この教育勅語を教えていた先生は今でも覚えている」
   ・「朝礼の時に、校庭に並んで、校長先生が教育勅語を読むのを聞いてか
    ら、授業になった」
   ・「校長室に陛下の写真があり、その脇に教育勅語も額に入っていた」
   ・「学校でも、親からも、これと同じことを言われた」
   ・「高等科3年まで読んでいた」、「すっかり忘れてしまった」、「ご飯を
    食べるのに精一杯」などの発言がありました。

  ②「このような道徳教育は必要で、良かったと思いますか?」という質問に、
   ・「当時は分からなかったが、今思うと大切なことだ」
   ・「道徳教育は、強要するのは良くない。押しつけでなく、理解してやる
    ことが大事。言われたからやる、ではなく」
        ・「夫婦相和し、朋友相信じ、なんとかそうしたい」          

     (「辛抱が大切。芯の棒を持っていないと」という発言がありましたので、
    他の方にも「ご自分の芯の棒は何ですか?」と問いかけてみました)

        ・「お金が関わると、なかなかそうはいかない」
        ・「暗記していた。意味は分からないが、何となく大事なことと。自然に
    体に入っていた」
   ・「なんとなく、親を大事に、友達と仲良く、子供らしく、守らされた。 
      意味はよく分からなかった」
   ・「何か分からないけど、何か大事なことが書いてある」
         ・「先生は厳しかった。厳しくて当然だ」
   ・「道徳の教育は大事。身近なことから指導すべき。身近なことしか子供
    は理解できない」
   ・「家庭訪問で、先生にお菓子をだすと、良くしてくれる」などのお話し
    がありました。   

  ③「今のご自分に役に立っていますか?」という問いかけに、次のようなお
    話がありました。
   ・「朋友相信じ、生きている」
         ・「朋友だけでなく、家族愛」
   ・「親はいろいろと連れていってくれたり、本を読んでくれたり、こんな
    ことだと、教えてくれた」
   ・「家族が大切、家族愛だ」(「羨ましい」の声も)
   ・「その時は分からなかった、今振りかえると分かる気がする。年をとる
    と、分かることが沢山ある」
   ・「今は、親や先生の言っていたことが分かる」
    「怒られるのは、無理もないと思う」
    「90才を過ぎて,分かることがある」
    「若い時は,いい加減だった」などの発言がありました

  ④「皆さんが支えられたのは、道徳、家族、どちらですか?」の問いかけに、
        ・「道徳も大事だが、家族」
   ・「家族、お姉さん」
        ・「母親、厳しかったけど、やはり家族」
   ・「自分自身が戦争で怖い思いをしていたから、自分を大事に」
   *「皆さんのご両親が、大事に育ててくれた。感謝ですね。若い方は、ど
    うですか」
        ・参加していた若いスタッフも「親、兄弟、家族が第一」という結論に。

  ⑤元気よく東京音頭を歌い、「家族に万歳」を三唱して終了。
   ・桜の花も飾ってあり、家族への感謝の気持ちと今の平和な生活の喜び
     をこめて、東京音頭を元気よく3番まで歌いました。
   (伴奏なしで「ちゃんか、ちゃんか、ちゃんか、踊り踊るなら、ちょいと
    東京音頭・・・よいよいよい」と元気よく歌い、「家族に万歳」を三唱
    して終了)

     ⑥教育勅語というテーマでは、戦前、戦中の「辛かった経験」も話題にな
    ることも考えておりましたが、今回は「辛かった話」は、あまり話題と
    なりませんでした。
    (この点については「実施後に、振り返って」にも記しました)

4)難聴の方へのサポート
    ①ボード(白板)に書く「文字での会話」と、耳元での「声での伝達」を
    交えてサポートしていきました。

         白板の板書①.jpg

<実施後に、振り返って>
  ①教育勅語は、難しい漢字(と言葉)が沢山並んでおり、一語一語につまず
   きながらなんとか読了しました。
   ・難しい漢字(言葉)が出てきても、誰かがその読み方(と意味)を答え
    てくれました。
   ・それぞれ、ご自分の覚えている部分が違うようでした。
   ・また、読み進むにつれて、少しずつ思い出されてくるようでもありまし
    た。
  ②教育勅語を教えられた子供の頃の回想だけでなく、その後の人生との関わ
   りについても話題にできましたので、「今にどう生かされているか」とい
   うことについても考えていただけたように思いました。
     ③家族を大切に思い、「夫婦相和」と「朋友相信」に価値をおかれていた方
   が多いように感じました。
   ・「自分を大事に」という方もおりました。
  ④「90才になって分かることもある」との発言には、皆さんが大きく頷い
   ておりました。    
   (「年齢を重ねて分かることがある」と、「今の自分自身」を肯定的に受
    け取っておられる方が多いようにも感じました)
    ⑤「学校の思い出」(或いは「新入学」、「教育勅語」)など、学校生活に関
    するテーマの場合、戦前、戦中の「辛かった学校での経験」が話される
    ことが時にあります。(女性よりも男性に多いように思います)
   ・今回は男性の参加者が1名でしたが、「辛かったこと」を話されること 
     がありませんでしたので、進行中の話題が別方向に進んでしまうことが
    ありませんでした。
  ⑥今回のテーマは、教育、道徳、家族という人生観(思想)に関するもので
   したが、こうした抽象的なテーマでも、皆さんが集中して熱心に話されて
   いることが印象的でした。
   ・特に、難聴の方はボードでのサポートを楽しんでおられるようで、教育
    勅語の難しい言葉を丁寧に読んでおられました(コ・リーダーの感想)  

                                (リーダー:N)

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