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現代短歌新聞の書評について [話題:いろいろ]


百歳の「視線の遠さ、高さには新鮮な美しさ」さえ

先月、この欄でご紹介いたしました当会メンバーのお母様の歌集「百歳、和歌に遊んで」
が、現代短歌新聞の書評の欄で採りあげられました


著名な歌人の鈴木英子さんが丁寧で心温まる書評を書かれておりますので、改めてご紹介させていただきます。

  <書評からの抜粋>
・「百歳という年齢は、背景として大きな実感」があるが、「初めて」の「視線の遠さ、
 高さには新鮮な美しささえある」

・「一瞬一瞬の積み重ねに、ささやかで確かな生の今が息づいている」

・「他界した夫の存在も「大きな椅子」で象徴させ、哀しみよりもその安らぎを発見す
 作者」、「いま在る幸を、一貫して伝えていると気づかされる」

「言うに言われぬことのありてや言葉なく 去りたる人を思うことあり」の歌から、
 「いま在る幸へ行き着くまでには、日常の齟齬をこうして幾度か味わっただろう。月日
 を重ねて見えてくる感情。去りたる人まで記憶の中では小さな光として灯るようだ」  
   (下の記事をクリックすると拡大して読むことができます)


 現代短歌新聞2019.5.5号.jpg

 回想法に係わっておられる方、高齢者の方にお薦めいたします。  

 (書店、またはアマゾン等ネットでも購入できます)  
    
 著者:石川初枝
 書名:百歳、和歌に遊んで (「和歌」には「うた」の振り仮名が付いています)
 発行:文遊社
 定価:1,600円(税込み1,780円)


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平成万葉集について [話題:いろいろ]

   歌集の中でも回想(法?)   


 当会(レミニス回想法の会)のメンバーのお母様の歌集をご紹介させていただきます。


 石川初枝 歌集「百歳、和歌に遊んで」


  著者は、昨年(2018年)の3月に100歳になりましたが、93歳~100歳の
7年間に詠んだ歌をまとめ、昨年12月末に発売されました。

ウェブ用明るい更に歌集(50).gif

 歌集の歌が、サンデー毎日(3月31日号)の「平成万葉集」いう3回連続の特集
記事の中で採りあげられましたので、このブログでもご紹介させていただきます。
 この特集記事は、「哀歓と祈り・・・人々は時代をどう詠んだか」というサブタイトル
があり、特集の最後の章「人生100年時代に」の中で紹介されております。
 この章では、6首が紹介されておりますが、介護している年代の方々の歌が多く、
実際に介護のお世話になっている高齢者の歌は、この歌集からの一首だけでした。


 それぞれに幼となりて睦み合う デイサービスの一日良きかな
             (実際の歌は縦書きで、「睦」の文字には「むつ」の振り仮名があります)


 略歴では、著者が初めてデイサービスのお世話になったのが97歳とのことです。

 ようこその言葉うれしき初めての デイサービスに心安らぐ      
 六月のデイサービスの部屋は海 壁紙さやか鯛も泳ぎて  
  
著者は回想法に参加してはおりませんませんが、回想法のテーマになるような歌が
たくさん詠まれています。


 振りかえることも仕事の一つとし 過ぎたる日々に今を重ねる   
 初春くれば百人一首の歌浮かぶ 読み手は何時も母の役にて           
 小正月祝うと母の作りたる 味噌田楽の香り懐かし      
 幼子をあやす息子は若き日の 夫のごとくに同じことする

 
 家族との日々を詠んだ歌がたくさんありますが、 高齢のために、曾孫(ひまご)とは
「筆談となる」ようです。回想法でボードに書きながら会話する様子にも似ています。


 用件は筆談となる耳とおく なりきし我に曾孫気付きて      
 耳とおきわれに一文字「か」と書きて 刺されし手足見する曾孫は      
 車椅子に乗りたる我をうれしげに 押してくれいる曾孫七才 


 百歳の日々は、家族による介護の日々でもあるようです。


 起こされてまた寝かされて老いの身は 人形のごと子等の手の中      
 百歳の我を支えし子等の手の 温かきかな今宵の節分             
 一椀に秋の盛られし朝の膳 お味はいかが笑顔で嫁は


 高齢になりますと、長文の小説や新聞等を読むことが難しくなる方も少なくありま
せんが、短歌や俳句のような短詩は、比較的鑑賞しやすいと思います。
  また、1ページに1首だけ大きな文字で記してありますので、高齢な方でも読みや
すいと思います。

web更に明るい見開き.gif

 

 以下は読者の方から、著者に届いたお手紙からの引用です。


   ・生きることへの感謝、家族への愛、感動しました。 分かりやすく、 
  一首一首が、とても素直に伝わってきました。(女性)         
 ・久々に、心地よい感動を覚えました。老境に入りつつある我身、生き
  方のコアみたいなものを、この歌集から学びました。私の母にも是非
  読ませたい。(女性)
 ・百歳とは思えないみずみずしい言葉が溢れている。季節の歌に、内側
  から湧き出るような「命」を感じる。(男性)


 回想法に係わっておられる方、高齢者の方にお薦めいたします。  

 (書店、またはアマゾン等ネットでも購入できます)  

    
 著者:石川初枝
 書名:百歳、和歌に遊んで (「和歌」には「うた」の振り仮名が付いています)
 発行:文遊社
 定価:1,600円(税込み1,780円)
                                             

                            (2019年4月記 磯村)

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