<テーマの目的>
テーマ:桜の思い出
目 的:桜は春を象徴する花として私たちには馴染みが深い。また開花が話題となり
「桜前線」という言葉が生まれるほど特別な存在でもある。そこで、皆さん
に身近な桜の思い出を語っていただき、春の気配を感じながら「思い出の桜」
に心和ませていただければと思い、桜をテーマにすることにした。
<実施日と参加者> 実施日:3月下旬
場 所:グループホーム 実施者:リーダー1名、コ・リーダー3名
参加者 90才台女性4名(要介護2~4)、80才台女性1名
<参加者への配慮>
・お元気な方には、なるべく沢山、お話していただくようにする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時があるの
で、集中していただけるように、話題に沿った問いかけを適宜行う
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが、聞こえる側の耳元で
口頭で伝えるだけでなく、筆談でも話題の流れを伝えながら、参加していただく。
<進行予定>
1)始まりの挨拶の後、サクラ サクラの歌を合唱する
・テーブルの上に活けられた桜を鑑賞する。
2)桜のどんなところが好きか、好きな点について話していただく。
3)「桜の思い出」について、じっくりと語っていただく。
・ご自分の家の庭に咲いていた桜
・家の近くの○○(公園、学校、土手など)に咲いていた桜の、具体的な思い出
→桜の花ビラで遊んだ思い出なども。
・お花見の思い出について
・夜桜見物について
・その他、何か、桜に関する思い出があれば。
4)「花より団子」について
・桜の葉や花を使った料理や食べ物について
・食べた思い出、
・調理した思い出
・桜餅、花や葉の塩漬け、など。
5)桜と仕事や学校について
・例えば、農業の方は、桜の咲く頃、農家ではどんな仕事をされていたか。
→桜の開花は農業開始の指標とされる場合もあるので。
・学校では、新しい年度の始まり(入学式、進級など)
・新入社員が、社会へ出る第一歩は、この季節から。
6)桜の木の利用
・建築や家具の材木として
・茶筒などの工藝品(小物)について
・生薬などにも利用されている
7)もう一度見たい桜は
<用意した道具>
1)桜の花(花瓶に生けておく)
・たまたま、おかめ桜(オカメザクラ)という珍しい名前の桜を、近所の花屋さんで
見つけ安価で購入。普通の桜(ソメイヨシノ)が念頭にあったが、急遽変更。
(⇑ 写真の上をクリックすると、拡大して見ることができます。以下も同じです)
2)桜の花の塩漬け
・桜の花の塩漬けは、お湯を注いで「桜茶」にして飲む。
3)茶筒と足ツボ押し(時間があれば、お茶の時間に使用)
<実際の進行>
→開始前、参加簿に、この日のテーマを「桜の思い出」と記入し、出席の印のシールを貼
りながら、雑談している時の様子です。
*リーダーが「今日は桜のお話です。此処に飾ります」と、花器に活けた桜をテーブルの
真ん中に置く。
*「きれい」、「でもこれ変わった桜ですね」、などの感想あり。
*Aさんが、向かい側に座ったCさんを見ながら「桜の枝を通すと、Cさんが綺麗に見
える。Cさん綺麗だわ」と小さな声で。
*コ・リーダーがCさんに向かって「Aさんが、桜の枝の間から見ると、綺麗なお顔に見
えると言ってますよ」と伝えると、Cさんが恥ずかしそうに顔を赤らめる。
*皆さんが、お互いに向かい側に座った人を桜の枝の間から眺めながら、「いい女だ」、
「確かに綺麗に見える」,「そんなことない」,「ちょうどいい感じに見える」などと、 楽しい雰囲気に。
リーダー:ではお話会を始めます。
:今日は何日ですか。
:3月27日ですね。何の日ですか。
→大安、仏滅、何かの記念日かな、など、皆さんいろいろな発言。
リーダー:「さくらの日」です。「日本さくらの会」という団体が、平成4年に決めたも
の、と書いてありました。。
→3月27日は、掛け算の「さんくにじゅうしち」の語呂合わせで「咲く(さん
く)のは二十七」という「語呂合わせ」で決めた、という説明があり、皆さん
納得。
リーダー:では、皆さんの目の前にある桜は、面白い名前がついています。何という名前
がついているんでしょうか。
→皆さんテーブルに置いた桜に注目。
→「分からない」、「桜はどれもサクラ」などの発言あり。
リーダー:染井吉野や河津桜は、綺麗な名前ですが、この桜は笑ってしまうような名前で
す。
:ヒントは、花がみんな下を向いていることです。
→それでも、なかなか正解は出ない。
リーダー:では、正解を。この桜の名前は「おかめ桜」、恥ずかしがり屋の桜です。
色が濃いのが特徴です。
→「初めてみた」,「どうして、そんな名前に」と盛り上がり、皆さん大笑い。
*「どうして、そんな名前に」という質問には、
→「咲いても、顔を見られたくないように下を向いているから」という意見に
皆さん納得。
→「上を向いているおかめもいる」など、賑やか。
リーダー:では質問です。皆さん、桜は好きですか?
→皆さん「もちろん好き」の答え。嫌いな方はいない。
*「どんなところが、好きですか」の問いには
→「満開の桜がよい」
→「牡丹桜が好き」、「八重桜は好き」など。
Cさん :家には牡丹桜があるけど、採りに来る人もいる。
:花が大きく、色も濃いので、塩付けにして桜茶にする。
:誰かに枝ごと切られて、枯れてしまった木もある。
→「桜茶は、お祝い事のとき出す」、「色がきれいだから、お祝いにはいいです
ね」「桜はおめでたい花なのかな」
→「新入学や就職など、人生の出発の時に咲いている花だから」などのやり取り
あり。
Dさん :桜の花は、鳥も食べにくる。
:実家の近くの川べりには、土手に桜がずらっと植えてある。それを鳥が食べに
くる。
リーダー:それでは、これから皆さんに、桜の思い出を詳しくお話いただきす。その前に
「桜」を歌いましょう。
→「さくら、さくら、弥生の空は、見渡すかぎり・・・」と歌う。
リーダー:それでは、これから皆さんに、桜の思い出を詳しくお話いただきます。Dさん
ご実家の近くの川の土手の桜はどんなでしたか。
Dさん :いっぱい咲いている。いろんな種類の桜が。
→いろんな種類の桜があると、早い時期に咲く桜から、遅い時期に咲く桜まで、
順番に咲くので、長く楽しむことができること。旦那さんとその桜の下を散歩
したことなど、お話された。
*染井吉野、牡丹桜、八重桜、山桜、など、種類によって開花時期が違うことが
みんなの話題に。
(皆さんに、それぞれ桜の思い出を話していただく。その内容は次のようでした)
Eさん :家の近くに有名な公園があり、いっぱい桜が咲いていた。そこで桜見をした。
Bさん :家の近くに有名なお寺さんがあるが、そこの広い原っぱには桜が少ない。公園
だがサクラはちょっとだけ、と残念そう。
Cさん :昔は、家の近くをちんちん電車が駅まで通っていて、電車道に桜がずらーっと
あって、サクラの道を電車に乗って駅まで行った。今は電車も桜もなくなって
しまった、と懐かしそう。
(このちんちん電車は、他の方も覚えていた。そして、そのちんちん電車によく
乗っていた「変なおじさん」も共通の話題に)
Aさん :家には八重桜があった。2本植えたけど、1本は枯れた。もう1本の方は本当
に綺麗な花が咲いた。(とその綺麗な姿を蘇らせている様子)
:そのうち、その桜がだんだん大きくなって、虫がいっぱい着くようになって、
それを捕るの大変だった。
:私が捕っていたがすごく大きい毛虫だった。他の人は誰も虫を取らないので、
結局、切ってしまった、と”身の毛もよだった”という表情に。
→ひとしきり「桜の木の毛虫はすごく大きい」話で、盛り上がる。
「大きい虫は、スーッと垂れ下がってくる」、「あちこち動いて捕るの大変」
「捕るのも気持ち悪くて嫌」
「桜の木に虫が多いのは、虫にとっても、花も木も皮も美味しいのかもしれな
い。サクランボが美味しいように」などの発言あり。
リーダー:今、Aさんから「毛虫が嫌で桜の木を切ってしまった」というお話がありまし
たが、毛虫の好きな方はいらっしゃいますか。
→皆さん毛虫は大嫌いとのこと。
リーダー:嫌いな毛虫は、どうやってとりましたか。
Aさん :棒で落とす。
Dさん :割り箸でつかんで、ドブに捨てる。
→「割り箸で」の発言に、皆さんびっくりする。
「割り箸でつかむ、といっても、まさか食べませんよね」の発言あり。
→「嫌だそんなの。食べないよ」の答えあり。
Bさん :可哀そうで殺せなかった。
→「やさしい」の発言あり。「では、何もしないの」という質問には、「落と
すけど、ほおっておいた」の答え。
→「這ってくる。洗濯物などに」,「それも嫌」「踏み潰して捨てる」などの発
言あり。
リーダー:では皆さん、その桜は誰と見に行きましたか?その方と桜の下を歩きながら、
どんなことを話しましたか。
→「昔は旦那と行ったが、子供たちとも」、
「自分の家の桜なので、特別に桜見はしたことない。一人で眺めて、綺麗に咲
いたな、と思うだけ」
「覚えていない」などの発言あり。
コ・リーダー:Bさんは「小学校の桜が綺麗だった」と言われています。他の方は小学校や、
中学校では、桜が咲いていませんでしたか?
→「そういえば小学校には咲いていた」、
「校庭の周りに、ぐるっと桜が咲いていた」
「大きな桜があった」
「都会の学校だから、桜は無かった」などの発言あり。
リーダー:お花見といえば、花より団子。お弁当や御馳走を持っての花見はしましたか。
→「そんな余裕はない」,「それはしていない」,「そんな時代ではなかった」
と、皆さんの発言あり。
→コ・リーダーが「皆さんには申し訳ないですが、私は上野公園でお花見しまし
た。お酒も御馳走も食べました」と発言。
*テレビや新聞で伝えられている”上野公園でのお花見風景”の話題で盛り上が
る。
→「場所取りは難しいで、隙間を選んで座って」、「人と人の頭の上を乗り超な
がら自分の場所から通路へ」、「お隣の御馳走なのか自分たちのなのか、境界
が分からなくなってくることもある」,「すごい人の数」,「上野公園に桜見物
に行ってみたら、飲む人はドンチャカしていた」などの発言あり。
*「ライトアップした夜桜は、見たことない」方が多く、「近所の公園で電気つ
けて、夜桜が見ることができた」という方も。
リーダー:ところで「田植桜」とか「種まき桜」という言葉がありますが、桜の時期には
どんなお仕事がありましたか。
→「田植は5月だから、まだ早い」、「田植も種まきもしたけど、種まき桜とい
うのは聞いたことがない」
→「桜の季節は畑仕事は沢山ある。田植はしないが、仕事は沢山あるよ」
*皆さん「田植桜」「種まき桜」という言葉は「聞いたことがない」とのこと。
リーダー:畑仕事では、今の時期はどんな野菜が獲れるのですか。
→「ホウレンソウ」、「菜の花は今の時期だけ」
→「菜の花が畑一面に咲いている風景が綺麗」、「昔は菜の花が何処にでも咲い
ていたが、最近では見かけない」
一「桜の花が満開の時期に、菜の花も咲く。上が桜の花で下に黄色い菜の花が咲
いている光景は綺麗」などの発言あり。
*皇居の桜を見てきたコ・リーダー③が「皇居の桜は松の中に桜が植えてある。
緑と桜が綺麗」の発言あり。
→コ・リーダー①は「私は千鳥ヶ淵の反対側の高台に行き、崖の上から見えた
桜の花吹雪が良かった」の発言あり。
リーダー:では、皆さん、今から桜見に行くとしたら、どんな桜が見てみたいですか。 →「子供の頃に見た夜桜。」大きな桜の下で、証明やライトは無しで。月明かり
だけで。実家に帰った時には、桜の開花の日には合わないので、難しい」
→「昔の家の前に咲いていた桜を、もう一度に見てみたい」
→「テレビで見るだけでいい」などの発言あり。
Dさん :もう一度、見たいのは、やはり田舎の実家の近くの川の土手の桜。
(しみじみとした様子のDさん)
→「その川は、水もきれいだったのでしょう」というリーダーの答えに
→「水はあんまり綺麗でなかった」と断言。(皆さん、ずっこけ気味に)
*「でも、桜が土手の上、頭の上にその桜の花、下の歩道は、川の反対側にもあ
る。両側が桜の道。上から、桜が垂れ下がっているんだ」
→「いいですね」とリーダー。
Cさん :川の両側の桜なら、河津桜をまた見たい。両岸に桜が綺麗。
→「伊豆ですね」,「河津桜はもう遅い。散ってしまっている」などの発言あり。
リーダー:そろそろ甘いケーキがほしくなってきましたが、その前に歌で景気をつけて、
その後に本物のケーキを食べましょう。
:少し、眠くなってきたような方もおられるので、歌を歌いましょう。
→「春の小川」と「春が来た」の歌詞カードを配る。「春が来た」から歌う。
(「春が来た」に「鳥が鳴く、鳥が鳴く、何処で鳴く」という歌詞がある)
リーダー:どんな鳥が鳴くのかな。
→皆さん「鶯(ウグイス)」という答え。
(雀(スズメ)や時鳥(ホトトギス)という答えはなし)
→「鶯は、ほーほおけきょ、と鳴くが、初めの頃は上手に鳴けない」
→「そう、ほーけきょ、とか、ほ~、で終わってしまったり」などの発言あり。
*「山で鳴く、里で鳴く、野でも鳴く、と歌詞にあるので、その順番で鳴く」
→「山で練習して、里に下りてきて、順番があるのかもしれない」
→などの発言あり。
リーダー:山登りの好きなコ・リーダーさん、山の桜はどんなですか?
コ・リーダー②:山桜は、葉っぱと花が一緒にでてくる。花が小さい。
:峰桜は、7月まで咲いている。
:あまり高いと、木が生えないが、ほどほどの高さのところまで咲いている。
:里にさく、山に咲く、野にも咲く、の歌どおり、山でも桜が咲いてます。
リーダー:桜前線という言葉が、毎年テレビで話題になるのは、桜の花だけですか。
→「梅もテレビで話題に、しかし「梅前線」という言葉はない」
→「国の花ではない」、「桜は国の花のようなもの」
→「国の花は何でしたか?菊の花ですか」、「菊前線とは言わない」
→「桜も菊も、国花のようなものでは?」などの発言あり。
リーダー:家の近くのバス停のところに大きな桜があって、今は花が満開です。
:この桜の木は、夏は青葉が日陰になって涼しい。実に有難い
:桜はいろんな役に立ってくれていますね。他にどんなものがあるでしょうか。
→「桜茶、葉っぱは塩付けにして、桜餅に」の発言あり。 Aさん :サクラの葉っぱの塩付けは難しい。色が変わる。家では難しい。
:洗って、塩に浸けて、面倒。やれない。
:紫蘇もおんなじ、色よく漬かんない。
:色が悪いと、食べないで捨てる。なかなかうまくできない。もうやらない。
→他の皆さんからも「牡丹桜は洗って漬けるが、塩加減が難しい」、
「しょっぱくても、甘すぎてもだめ」、「塩梅が難しい」などの発言あり。
Aさん :色が少しでも悪いと、食べない。やっはり、食べる気がしない。
→「Aさんは、プロ意識が凄い」、「主婦のプロ」などの発言あり。
リーダー:これは何でしょう? そろそろお茶の時間ですので、それまでクイズです。
→桜の木で作った鉛筆のようなものをテーブルに。
→「大きな鉛筆」、「何だろう」などの発言あり。
→リーダーは、押す場所の人体地図が書いてある板を出して、ヒントに。
(「これで、足の裏や手のひらのツボを押します」とリーダーが正解を言う)
→皆さん、手に取って、直ぐに茶筒と分かる。
→「いい味が出ている」、「素晴らしい」、「10万円で譲る」
「使ってみると、良い品物か、悪いか分かる」、などの発言あり。
→「模様が綺麗」、「これは桜の木の皮が貼ってある」
→「桜の皮は、咳を鎮める薬にもなる」などの発言あり。
リーダー:では、花より団子です。「春の小川」を歌って、それから「お団子」に。
*「春の小川は さらさらゆくよ。・・・」と、2番まで歌う。
:レンゲも懐かしいですね。ネックレスを作ったり。
:すみれの花も、今は少なくなりました。
*「小川のメダカも、田舎に行かないといなくなった」(とDさん寂しそうに)
リーダー:では、この「おかめ桜」を見ながら、美味しいものをたべましょう。
→今日は、もちろん桜餅です。
<座直り>
・リーダーが、桜花の塩漬けを瓶から出し、小皿に入れて、テーブルに置く。
→「今は見るだけです。これは桜茶ですね。これにお湯を入れて、桜茶 して飲んでい
ただきます」(リーダー)
→「こんな風に綺麗な色にするのは難しい。塩加減が分からない」(Aさん)
・お湯を注いでみると、桜茶は綺麗なピンク色に。
→皆さん、飲んでみて「美味しい」、「しょっぱい」など、感想あり。
→「御目出度い時に飲む。結納の時に飲んだ」(Dさん)
→砂糖は入っていないのに、甘みがある。
・桜餅も食べましょう。桜の花を眺めながら、桜茶を飲んで、桜もちを食べる。桜尽くし
の良い日。中の餡も桜色ですね。(リーダー)
・昔、渋谷でハチ公の本物を見たことがある。駅前を歩いていた。茶色で大きかった。
なんていう種類か分からないが。一匹で歩いていた。(Dさん)
→最近大学の構内に、博士とハチ公の銅像が先生方の寄付でできた。(コ・リーダー)
→秋田犬か、その雑種か。(コ・リーダー)
・桜の花びらといえば、私は男ですが、小さな子供の頃、花びらで遊びました。何をした
でょうか。(コ・リーダー③)
→「花さか爺。ぱーとまいた。でも、その頃は、まだお爺さんじゃないか」(Dさん)
→「首飾りを作りました。地面が見えないくらい花びらが地面にたまっていた」
→「私も、手でかき集めると土が混じるので落ちたところで拾う」(コ・リーダー②)
→「女の子にあげたの?」
→「もちろん、2~3人にあげました」(笑い)
・子供が小さい時、高尾山の連れてったら、丁度桜の時期で、風が吹く度に桜吹雪が舞っ
て、子供は大喜び。桜吹雪の中を駆け回っていた。他の子どもたちもおんなじように大
喜びで駆け回っていた。
・遠山の金さんの桜吹雪の彫り物、あれも桜だ。
<回想法を振り返って>
1)おかめ桜という名の桜を用意できたので、皆さんは「少し違う形の初めて見る桜」
ということと、「おかめという名前」に、顔もほころび和やかな雰囲気で始められて
よかった。
2)最初の「桜といえばどんなことを思い出しますか」の質問では、「花が綺麗」とか、
「お花見が楽しい」とかのように「漠然とした印象」を話されるのではと思っていた
が、Dさんが、すかさず「土手に咲いた桜並木がとっても綺麗だった」と素敵な笑顔
で発言され、最初から話題がスムーズに進行できた。
(Dさんの「持てる力」に感謝)
3)「桜の思い出」という抽象的なテーマにもかかわらず、皆さんからは、沢山のお話を
聞くことができた。皆さんそれぞれの方に、それぞれの「桜の思い出」があったので
「さすが桜!!」の印象。
4)今回は、コ・リーダーの発言がいつもより多かった印象でしたが、参加者の方のお話
とも繋がりがよく、リーダーとしてはやりやすかった。
5)桜と農作業のかかわりについては、いきなり桜と農作業を結びつける質問をしてしま
い、皆さんはピンとこなかったようである。
質問の順番を、畑仕事の話題から始まり、次に桜の季節の農作業ついて聞く方がよか
ったように思う。
この時期の農作業の下調べをして、具体的な例を示しながら質問すれば良かったと思
った。 (リーダー 磯村)
<後日談>
1)この回想法の数日後、コ・リーダーが近所の公園に桜見に行ったところ、いろいろな
種類の桜があることに気付きました。
・この公園には、毎年のように桜見に来ていましたが、こんなにいろいろな種類があるこ
とにびっくりでした。 →これまでは、どれも同じにしか見えませんでしたので、新しい発見をした気分でした。
・特に印象的だったのは、広場に通じる坂を下りて、広場の入口の一番目立つところに、
他の桜と雰囲気の違う桜がありました。よく見ると花びらがみんな下を向いています。
おかめ桜とピンときました。傍にある染井吉野の華やかさはありません。恥ずかしそう
に俯いている雰囲気でした。
・さらに広場の坂を上がっていくと、雑木林の中に、高いところに、少しだけ花を付け
た桜が何本かありました。山桜のようです。花の色よりも葉の緑が目立っていました。
2)ネットで「上野公園のお花見風景」の新聞記事をたまたま見つけました。
今年(平成27年)は「外人の参加が目立つ」という内容でした。 →その記事の写真がダウンロードできました。次回の回想法で桜の話題になった時は、
皆さんに見ていただけるかもしれません。
(毎日新聞、2015年3月28日 小川昌宏氏撮影)
<実施日と参加者>
実施日:3月上旬
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
実施者:リーダー1名、コ・リーダー2名
参加者:7名(100才の女性1名と90才台女性3名と80才台女性2名は要介護
2~4、80才台女性1名)
<参加者への配慮>
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が
発言しやすいようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時が多
くあるようなので、集中していただけるように話題に沿った問いかけを適宜行う。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
<進行予定>
1)古い夫婦雛(めおとびな)と、最近の段飾りのお雛様を(お内裏様も)手に取っ
ていただき、雛祭り(ひなまつり)を楽しんだ頃を思い出していただく。
2)雛祭りの時の食べものについてお話いただく。
3)ご家族でどう楽しまれたか、ご両親やお子さんについてもお話いただく。
<用意した道具>
1)木目込み人形の夫婦雛(めおとびな)
→お内裏様とお雛様が対になったもの。リーダーが以前に手作りしたものです。
2)新しい雛飾りのお内裏様とお雛様
→施設にある七段飾りの中から、お内裏様とお雛様をお借りしました。
3) 桃の花を花瓶に活けておく。
<実際進行>
リーダー:こんにちは。この花は何の花でしょうか?
(テーブルに置いた花瓶の花を見ていただく)
:こちらには、夫婦雛(めおとびな)が二組あります。
:今日は何の話でしょうか。桃の花とお雛様があれば、もうお分かりですね。
:雛祭り、桃の花が咲く頃なので、桃の節句ともいいますね。
:今日は、皆さんとたくさんおしゃべりをしたいと思います。
:これはだいぶ古い。年期のはいっているお雛様です。
(皆さんに、手に持って、見ていただく)
(「いいねぇ」、「素敵だね」、「かわいい」、「ふっくらしている」、
「Fさんに似ている」など、皆さんニコニコしながら手に持って眺める)
:40年くらい経ってます。陽の目を見たのは、40年ぶり、じっくり見て
あげてください。
:皆さん、これ見ている時、ニコッと笑って、とてもいい笑顔です。
コ・リーダー②:Dさん、ニコニコしてるの見られちゃったよ。
→「家は、直したりなんかして、今何処にあるのかわからないよ」(Dさん)
→「顔がいいのは値段が高い。着物は差込みだから、高いよ」(Bさん)
リーダー:飾ったの覚えてますか?
→「飾ったの覚えてない。あったはずなんだけどね」(Dさん)
リーダー:私の子供の頃、お雛様はなかった。家が貧乏だったからか、戦後すぐだか
らか、わからないけど、家にはなかった。
→「家は十五段飾りだった」(Aさん)
(「十五段」に皆さんびっくり)
:七段飾りが一番大きいと思ってましたが、十五段とは凄いですね。
:お内裏様や官女の人数はどうだったのですか?
→「お内裏様とお雛様、五人囃(ばやし)、変な道具持っている3人。人数
は同じ」
→「毎年、ひとつづつ、新しいの買って、買い足していた」
→「最初は人間、次に車や茶道具や、毎年買い足していった」(Aさん)
ココ・リーダー②:Dさん、今のお話を皆さんにもお話してください。
(Dさんが隣のコ・リーダー②に話された内容が面白かったので、皆さんに
も聞こえるように、大きな声で話していただく)
→「お雛様は飾ったと思う。女の子、妹と二人だから」(Dさん)
「飾ったと思うんだけど、全然覚えていないの。だから飾らなかったんじゃ
ないかな?」
→「だって、私は、3つくらいの時から、親元(Dさんの母親のご実家)に
行って、一人で、泊まってたんだって、それも覚えてないのよ」
「1ヶ月くらい居たらしいよ。全然覚えてないよ」
「一人遊びやってた。自分では覚えてないけど、一人で遊んでいたらしい
よ」
→「母の姉妹がまだお嫁に行っていなかったので、私はよく遊んででもらっ
たらしい。ずいぶん良くしてもらったようだよ」
→「家よりも良かったんじゃないかな。遊んでもらって」
→「私が行けば、みんなが可愛がってくれてたみたい」
→「母の弟が一人いて、女兄弟の中の男一人だから、おとなしくて良い叔父
さんだったの」
→「行けば、みんなして可愛がってくれたの。よっぽど良かったんじゃない
かな」
リーダー:幸せだったんですね、お家も広くて、よく遊べたのでしょうね。
→「可愛かったのでしょう。Dさんが3歳の頃は」(コ・リーダー①)
→「私も女の子一人で、末っ子だった。可愛がってくれた」(Eさん)
(Eさんも、Dさんのように熱い口調で)
→「お雛様を、飾ってくれた。おばあちゃんが可愛がってくれた」(Eさん)
:いいですね。
→「今でも覚えている。よくお餅を作ってくれた。草餅を作ってくれた」
(Eさん)
→「よもぎ餅をお供えしないと、雛祭りにならないよ」(Aさん)
リーダー:よもぎ餅が無いと雛祭りにならないようです。よもぎ餅を作りましたか?
→「餅つきは、親たちがやった」(Fさん)
→「蓬(よもぎ)は、自分たちも採りに行った」(Bさん)
→「親が亡くなってから、臼をお寺さんに奉納した」
「職人さんが作った立派な臼、使わなくなって寄付した」(Bさん)
:皆さん、いろいろお話されましたので、今までのお話を整理すします。
(これまでの皆さんのお話を、リーダーはかいつまんでまとめる)
→「家の近所では、7歳になった子供の家では、お餅をついて、近所の子供
たちが食べに行った」(Aさん)
「お餅をついたよ、と近所に声をかけ、近所の子が食べに来た」(Aさん)
→「お雑煮、餡子餅(あんこもち)、草餅や、いろんなのを作った」
「子供のある家は、みんなやるよ」(Aさん)
「集めるのが大変なの。朝早く起きて、餅食べにきてちょうだいと、大き
な声で言って、回って歩く」
「呼びに行くのは、子供の仕事」(Aさん)
リーダー:そんな風習があったのですね。
:他の方も、そんな風習がありましたか?
→「あったよ」(Eさん)
→「家の方でもあった」(Gさん)
→「私の方にはそんなのない」(Dさん)
:田んぼや畑が多い田舎は、隣の家が遠いので呼びに行けないですね。
→「家の方もやったよ」(Cさん)。
→「私のところでもやってた」(Gさん)
→「七五三の時にやった。からみ餅なんか食べた」(Gさん)
→「横浜の方はやらない」(Fさん)。
→「私の家の方は、何処でもやる」(Eさん)
→「前の日から、明日、家でやるからと、言って回る。30軒の町内だけ
だけど、上と下に分かれていて、上も下も、家は15軒くらいしかな
いから、15軒に回る」
「きちんとした格好で言って回る」(Aさん)
→「子供だけしか呼んでないのに、大人で来ちゃう人も」
「いっぱい食べる。親戚の大人も来る」(Aさん)
→「最近は、やらなくなった」(Aさん)
→「3月3日も、5月5日も、お節句があるとやった」(Eさん)
→「それは大変だね。大変だと思う」(Dさん)
「みんなやってるんだ。凄いね」(Dさん)
→「朝早くから、どんどんやってる。私の家の方は、大人は来ないよ」(E
さん)
→「ランドセル背負って、学校へ行く前に、食べてから、学校に行った」
「日曜にやると、休みだから、ゆっくりと食べた」(Eさん)
リーダー:Dさんはお餅を作る方で大変、私は食べる方の立場から、いい風習だなと
思いました。
:Dさんは、作る方で考えておられるのは偉いですね。
私は食べる方でばかり考えていた。
→「お餅つくのは大変」(Dさん)
「私は、ことりが下手と言われていた」
「下手と言われて、お餅をつくのは大変」
「ことりが下手だと言われて、それは大変。やってみればわかるよ」(D
さん)
リーダー:Dさんは、旦那さんとお餅をついいて、ことりが下手だと言われて、傷つ
いてます。
:「ことり」は、杵(きね)でつく度に、お餅をひっくり返したりすること
ですね。
→「だから、精米機でつくようになって、良かったと思った」
「楽になって良かったよ。今度は丸めるだけでよくなった」(Dさん)
→「文句を言う人ではないんだけど、ことりだけは下手だと言われた」(D
さん)
:Dさんは、もし子供時代に、近所でお餅ついてたら、食べに行ったでしょ
うね。
→「行かないよ。学校が間に合わない。学校まで遠いから、遅刻しちゃう」
(Dさん)
:Dさんは、行かないと言ってます。
→「そんなの食べてたら、学校に間に合わない」(Dさん)
→「私のお家の方は、みんな来るよ」(Aさん)
リーダー:私の時代にはなかったですね。
:年代や地域で変わりますね。
→「良い時代だった。今はやらない」(Aさん)
「みんな、いっぱい食べに来た」
「大人も一緒に来て、食べちゃう人もいた」(少し非難する口調に)
「町内では、子供が7歳になると、何処の家でも、そうしていた」
「今は、草餅は買ってくる。その方が楽」(Aさん)
:うらやましい時代でしたね。
リーダー:蓬(よもぎ)は摘みに行きましたか?
→「摘みに行ったよ」(皆さん)
→「家の近くの裏の土手に。いっぱい。勝手に摘んだ」(Dさん)
→「田んぼ道に、いっぱい生えてた」(Bさん)
→「大きなよもぎは、犬が小便をかける。小さなのは大丈夫」(Aさん)
:よもぎを採ってくるのは皆さんたち。お餅はお父さんがついた。良い思い出
ですね。
リーダー:では話題を変えまして、甘酒とか白酒とか、飲みましたか?
→「甘酒は飲んだけど、白酒はない」(Dさん)
→「菜の花が咲くと、お寺さんが甘酒をただでふるまってくれる」(Bさん)
→「白酒はアルコールが入っている。お酒は駄目だ」(Gさん)
(「甘酒は飲んだ。白酒は飲のまない」、「甘酒は甘い。白酒はお酒」などの
発言あり。皆さんは、甘酒は飲んだが白酒は飲まれなかったとのこと)
→「甘酒は作ったよ」(Dさん)
「うるち米(うるちまい)を炊いて、麹(こうじ)を入れて作る」
「度をとるのが大変なんだよ」
「私はそれが下手で、甘酒は上手じゃなかった」
「発酵させる温度が上手じゃない」(Dさん)
→「砂糖は入れない方が美味しい」(Aさん)
「炬燵(こたつ)に入れておけばいい」
「ジャーのようなものに入れて、毛布にくるんで、炬燵に入れておいた」
(Aさん)
→「炬燵に入れるのは良いかも。知っていれば自分もやったのに」(Dさん)
「麹(こうじ)をもっと入れればよかったと思う。麹の量が少なかったみ
たい」(Dさん)
→「甘酒はお母さんが作ってくれた」(Fさん)
→「親が上手に作った。どぶろくも作った」(Bさん)
:どぶろくは、本当は作っちゃ駄目なんでしょう。
→「売らなければいい。自分の家で飲んだ」(Bさん)
リーダー:皆さん、苦労して頑張っていたのですね。拍手ですね
:生活の知恵ですね。
:頭使って、体使って、頑張ってこられたんですね。
:これからも、頭と知恵を使って、若い人たちにいろいろと教えてください。
(うなずかれる方が多い中で、「その知恵も外れることもあるの」(Eさん)
と、「もう覚えてないよ。教えられないよ」(Dさん)の発言もあり)
リーダー:桃の節句に相応しいお菓子がありました。よく見てください。
:まず、見るだけ。まだ食べません。
(お皿に和菓子を載せて配る。「わー、きれい」、「可愛い」、「眺めるだけだ
って」、「これはお雛様、そっちはお内裏様」、などわいわいがやがや)
(リーダーの「雛祭り、おめでとうございます」の合図で食べ始める)
(「これは可愛いから、食べられないね」と言いながら、皆さんしっかりと
完食されました)
リーダー:お雛様は、子供だけではなく、大人も楽しいですね。
:昨日は施設でも雛祭りで、今日も可愛くて美味しいお菓子を皆さんで食べ
て、今年は良い雛祭りでした。
(リーダーが「今日はこんな楽しいお話をしていただきました」という前置
きで、リーダーが印象に残ったお話をまとめる)
:今日は私の知らないことを、いっぱいお聞きすることができました。
:めったに聞けないことがたくさんありました。ありがとうございます。
:勉強になりました。楽しかったです。
リーダー:食べ終わったら、もうひと仕事です。
:歌の時間です。
(歌詞カードを皆さんに配る)
:では、歌姫のAさんよろしくお願いいたします。
(Aさんは「はい、うれしい雛祭りです」と言って、「あかりをつけましょ
ぼんぼりに、お花をあげましょ桃の花・・・」と指揮するように歌い始め
る)
(「うれしい雛祭り」と、「早春賦(そうしゅんふ)」、「花」を歌う)
(「早春賦」は「春は名のみの風の寒さや・・・」という歌詞)
(「花」は、「春のうららの、隅田川・・・」という歌詞)
(歌い終わって、終了しました)
<座直り>
・お茶を飲みながらの雑談の中でも、桃の節句に関する話題がありました。
→勝浦市(千葉県)は、雛祭りで有名です。駅に雛飾りがありますので、一度は
見に行ったことあるようでした。
→「段飾りは、しまうのが大変。十五段飾りも、もうなくなった。何処か行っちゃ
った。置いとくところなくなった」とAさん。
→皆さんも「収納が大変」という結論でした。
・「お内裏様は顎紐(あごひも)があったほうが良い」と、丁寧に顎紐(あごひも)
を締め直していただきました。
・歌い足りず、春の歌を歌おうということになり、「春のうららの隅田川・・・」と
また「花」を歌い、歌詞カード無しで「春の小川」と「蝶々」を歌いました。
<回想法を振り返って>
1)雛人形を手に持って眺めている時の皆さんの表情には驚きました。まるで童女の
ような笑顔でした。
2)心の奥深くに眠っていた思い出が、ぽろっとほとばしり出た感じで、お話してい
ただくことが何度もありました。
→思い出があふれてきて、紅潮しながら話をされる方もおりました。
→お餅つきでのご苦労話や、7歳の子供のいる家で行われる振る舞い餅のお話で
は、ご家族への愛情や、昔の良き風習への愛着も感じました。
3)今回の回想法の道具は雛人形でしたが、その道具の持つ力に驚きました。
(リーダー:室井)
<テーマの目的>
テーマ: 大根
目 的:大根は馴染みの食材であり、皆さん、日常のお料理では様々な調理の工夫も
されていたと思われる。また、大根を作っていた農家の方もおられるので、
「食べる方」と「作る方」両方のお話をしていただくことができる。
今が春大根の美味しい季節でもあるので、美味しい食べ方と、美味しい大根
の作り方を教えていただく。
<実施日と参加者> 実施日:2月下旬
場 所 : グループホーム
実施者:リーダー1名、コ・リーダー3名、施設スタッフ1名。
参加者:5名(90才台女性4名の方は要介護1~4、80才台女性1名)
<参加者への配慮>
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が発言
しやすいようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時があるの
で、集中していただけるように、話題に沿った問いかけを適宜行う
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
<進行予定>
1)大きな大根(青首大根)をテーブルの上に置き、皆さんに回して、手に持った感想を
お聞きする。
2)大根の料理について、主婦の時代に戻って、お話していただく。
3)農家で大根を作るときのご苦労を話していただく。
4)レディサラダ大根をテーブルに置き、名称と料理法をお聞きする。
→レディサラダ大根は、サラダのように生で食べていただく。
5)3種類の「下ろし金」をテーブルに置き、どれを使っていたか、お聞きする。
6)普通の大根おろしと、「鬼おろし」ですった大根おろしと、どんな味の違いがある
のか、実際にすって食べていただく。
<用意した道具>
1)大根(青首大根)
2)レディサラダ大根(三浦半島産、皮が赤い品種)
3)下ろし金を3種類
①金属製の古い形のもの(金属製)
②セラミックの丸い形のもの(最近のもの)
③鬼下ろし金(竹製)
<実際の進行>
リーダー:今月は28日までしかありません。2月は明日で終わります。
:何か損をしている気分ですね。
:でも、これを見ていただくと、豊かな気分になります。
→テーブルの上に「私の足より太いです」と大根を出す。
→皆さんに回して、手に取って持っていただく。
→「私の足よりも太い」、「ズシリしている。重い」
「どっちが太い。私の足の方が細いよ」、「葉っぱが短い」
「美味しそう」などの発言があり。
リーダー:皆さんのお馴染みの大根は、こんなでしたか?
→「つい最近まで、もっと細く、すらっとしてた」
「何時頃からこんな太くなったのかな」
「肥料が良すぎたから、こんなに育った」
「太くなる種類の大根だ」
「青首大根、そんな名前だった」などの話あり。
リーダー:大根はいろんなお料理にして食べますね。どんな料理が美味しかったですか?
→「煮もの」、「お新香」、「沢庵」、「千切りにして揉んで」
「おでんに」などの発言あり。
→「大根おろし、一番美味しい」、「大根おろしをかけると、どんなオカズでも
美味しくなる」
→「大根おろしには、鰹節をかける」
リーダー:おでんの大根は美味しそうですね。
→「おでんなら、大根も美味しい。ちくわも美味しい」
「醤油と砂糖と、お酒も入れたかな、忘れた」
「サトイモも入れたかな」
→「おでんは、作ったその日に食べるよりも、次の日の方が美味しい」
「味が染みるから」、「二日目、三日目の方が美味しい」
「作った日は味見くらいはするが、次の日に食べる」
「おでんに卵が美味しい」、「はんぺんも美味しい」
「おでんに、大根の葉の方は入れない」
「昔は、おでんは無かった。ごった煮にしていた」
「おでんではなく、大根だけ煮たのも美味しい」などの発言有り。
リーダー:大根にもいろいろな種類がありますね。昔は、もっと細くて長い大根だったよ
うな気もしますが。Aさんどうですか?
Aさん :私が作った大根は、もっと細くて長かった。色も白くて青くなかった。
:ニンジンも細く長かった。
リーダー:今は、スーパーには青首大根があって、昔の細くて白い大根はほとんど見かけ
ませんね。
:大根おろしは、この大根のどの辺を使うのですか?
→「頭の方」、「どっちでも、気にしていなかった」と意見が分かれたが、
「美味しいのは頭の方」、「頭の方はナマでも食べ、下の方は煮て食べる」
(筆談をしながら話題に参加されている方は「頭の方が美味しい」とのこと)
(大根の頭の方に印を付けると、「その通り」とうなずく)
→「主婦を何年もやってますが、頭の方が甘く美味しいなんて知らなかった」
と反省するコ・リーダー。
「皆さん、年の功ですね、良く知っておられる」などの発言あり。
コ・リーダー③:子供の頃、大根が抜いてみたくて、抜いてしまったことがありました。
今、思い出しました。
:そのまま持ってきてしまうと、泥棒になってしまうので、元に戻しておきま
したけど。
Aさん :一回抜いたら、もう駄目だよ。戻しても。(ときっぱり断言)
→「大根を抜いてしまいたくなったから、抜いちゃったんだって」、
「大根は簡単に抜けるよ」
リーダー:自分の畑の大根を、女の子が抜いているのを見たら、Aさんはどうしますか?
Aさん :駄目だよ、もう。抜いちゃったら。
:大根は、大きくなったのから、抜いていく。順番に。
リーダー:土に埋まっているのに、大きくなったと分かるのですか?
Aさん :それはすぐ分かるよ。
:べトコンに、2月くらいに種をまいて、暑くなるような日なら、朝から開けて
おいて、夕方になると閉めて。やっぱり、手間かかるよ。
(注:「べトコン」とは、畑の畝に竹製の支柱を半円形に曲げて刺し、ビニール
で覆った、かまぼこ型の温室のようなもの)
:大根の青い部分は、土から出ている。それで青くなる。
:大根は、大きくなると、上にせり上がってくる。それで分かる。
*「皆さん、知らないことがいっぱいありますね」と、リーダー。
(以下は、Aさんとのやり取りです)
→「市場に出すのは、大きいのから」、「洗うのは、器械に入れる」
「洗った大根の大きさを揃えて、箱に入れるのは、私の仕事」
「この毛を抜いてから、出荷する」(と、テーブルの大根を持って)
「この穴のところに髭が生えているので手で抜く。抜かないと、売れない」
→「髭を取っていたなんてね。大変でしたね」
「鬚を取らないと、お金にならないよ」
⇑(確かに、よく見ると、大根には毛穴があり、そこにヒゲが生えている)
「器械では、綺麗に洗える。水の中にぴちゃんと落ちる」
→「葉っぱはどうしていましたか」
「葉っぱは、洗う前に切る」、「昔は、葉っぱつけて売っていなかった」
「昔の大根は、こんなに太くなかった。これ太りすぎ。ここまで大きいと美味
しくない」
*「まっすぐで細くないと、Aでは売れない」(きっぱりと)
(大根には、A、B、Cのランクがあり、値段が違ったとのこと)
「これは、太いから、Bになるかどうか。Cかも」
→「太い方がいいと思ったけど」
「いや、市場には出せない。安くなる」
*「私の足は、太さからみて、Bか、Cだ」とコ・リーダー。
→「大根も、素性が良いと高く売れ、素性が悪いと安い」
「目方は、目分量。箱に入れたとき、大きさをそろえる」
「農協の人が、自動車で積みに来ていた」
リーダー:大根の葉は、どうしてましたか。皆さんはどうしてました?
→Aさんは「葉っぱは捨てた。昔は、葉っぱなんて使わないよ」
*Dさんは「味噌汁に入れた」
→「油で炒める」、「醤油とさとうで炒める」
「粕漬に入れる」、「漬物に入れる」
「捨てるところはないよ」などの発言あり。
Cさん :大根の葉っぱは、お米と一緒に炊くと美味しい。細かく切って。
:葉っぱは、陰干しして、保存しておいて、青みに使う。
:茹でないで、影干しして。
→「何日位干す?」の質問には「カラカラになるまで干す」
リーダー:大根の皮を持って、この皮もったいないですね。これどうしましょうか。
→「それは、干して、後で食べる」
「そのままでなく、細く切って、干す」 Bさん :切干大根作ったよ。
:薄く切って、細く切って干すと、切干大根に。
→「薄く切って、輪切りにして、そのまま干す。細く切らないでもよい」
⇑(Bさんは、実際に大根を切り「これくらいに切って干す」と見本を)
→「私も作った。私は細かく切ってから干した。簡単だよ」
「干すのは、4日か5日くらいかな。干すのは」
「切干大根には、油揚げを入れて、煮た」
リーダー:切干大根は、何日位もつんですか?
→「ずっと持つよ。次の大根が取れるまで」
「水に浸けて、戻して」
→「親指のここが痛くなる。細かく切ったので」
「そんなに沢山切ったの。凄いね」
「昔、大根が沢山採れたので、切干にすることが多かった」
→「私は、買った方が早い。自分で食べる量は少ないので」などの発言あり。
(切干大根は、皆さん作った経験があった)
リーダー:赤い色の大根をテーブルに置く。
→「初めて見た。何ですか」
「ニンジンかと思った」
「初めて見た。中は何色。中も真っ赤?」などの発言あり。
→皆さん「外は赤いが、中は白い」で意見が一致。
→「皮だけだよ、赤いのは」
「真ん中の芯(しん)だけ、ちょっと赤い」などの発言あり。
→「どうやって、食べるの」
「本当に大根なの」
「匂いは、大根だ。どうやって食べるのかな」
「大根なら、食べ方は同じでしょう」などの発言あり。
リーダー:包装に「レディサラダにどうぞ」と書いてある。「レディサラダ大根」かな。
:「三浦半島でできた」と書いてある。三浦半島は暖かいから。
:「サラダ」と書いてあるから、このまま食べてみましょう。
→スライスして、皆さんそのままかじる。
「けっこう甘い」、「けっこう美味しい」、「これはいい」、
「昔は見なかった。最近できたのでは」などの発言あり。
リーダー:これ何ですか?
:こんなのも持ってきました。と金属製の下ろし金をテーブルに置く。
→「それ昔の下ろし金」、「その下に丸い形のがついていて、大根をするとそこ
に貯まった」などの発言あり。
:今は、この丸い形のセラミック製が多いですね。これは、擦って(すって)い
ても指は擦ったことない。
:これは木の箱みたいですが、何ですか?(と「鬼おろし」をテーブルに置く)
→「初めて見た」、「知らなかった」という方も。
「家にある」、「見たことはある」方が多数。
「それは大きく粗く削れる」などの発言あり。
→「家の主人は、自分で作った」というCさんの発言に、皆さんびっくり。
リーダー:どんな味かな。食べてみましょう。
→青首大根を切る。皮もむく。
:青首は中も青い。赤いレディ大根は中が白かったけど、青首は中まで青い。
:誰か、擦って(すって)みる方は?
→「私やるよ」とCさん。」
*鬼おろしは、擦る音が、大きい。文字通り「スリ、スリ、スリ」と聞こえる。
:皆さん、食べてみましょう。まだ少ないか。もっと擦ってください。
→皆さん交代でする。「いい手つきですね」の掛け声あり。
→「もっと細く」、「そんなもんでいいですね」などのやり取りあり。
リーダー: さあ、この普通の下ろし金で擦った(すった)のが、これです。
:こっちの粗い粒粒のが鬼おろしで擦ったものです。味はどうですか。
⇑(鬼おろしですった大根おろしは、粒がかなり荒い)
→「かなりちがうね」,「食べ比べてみよう」,「醤油がないと、醤油を」などの
やり取りをしながら、皆さん、少しとって食べる。
⇑(下ろし金によって、粒の大きさも、水気も、かなり違う)
→「ああ美味しい」、「これは鬼おろし、こっちの方が甘くて美味しいね」
*鬼おろしの方が、皆さんに好評。
→「140円の大根とは思えない甘さ」、「鬼おろし、いいね。甘みがある」
「本当だ。こっちの方が断然美味しい」と、皆さん意見一致。
→「Cさんの旦那さんが、これ作ってしまうのは凄いね」
リーダー:Bさんは、さっきは、大根おろしは嫌いと言っておられましたけど、食べられ
すか。
→「擦るのは嫌いだけど、食べるのは好き」とBさん。
→「これに、カツオ節などかけるともっとおいしい」などの発言あり。
リーダー:「皆さん、こんなのどうですか」となめ茸の瓶詰をテーブルに置く。
→「これかけてみよう」と大根おろしにかける。
「美味しい」、「これは酒の肴だ」。
リーダー:この大根は美味しいですね。Aさんこの青首大根は、家で作ってましたか?
Aさん :昔は、こんな青いのなかった。昔の大根は白くて、細い。辛い。
→この青首大根は辛くないから、最近の流行り。みんなこの大根。
リーダー:三浦、練馬、大根いろいろありますね。同じ大根でも、名前も種類も違う。
:スーパー行ったら、この青首の隣に辛味大根がありましたが、見かけが悪かっ
た。買わなかった。
:やはり、Aさんが言われたように、大根にも氏素性があるんでしょうね。
Aさん :辛味大根なんて作らなかった。
リーダー:大根は何日位、出荷に時間がかかりますか?
→「抜いたら、一日か2日で出荷だよ」
「でもそれが、収穫が終わるまで、冬から春先までずっと続く。大変だよ」
→「大根は、種から蒔くんですか?」
「種の色は茶色だったかな。種は農協で買った」
→「二十日大根、聴いたことありますが、今頃に種まきですか」
「本当に二十日でできるよ」
「いろいろあるよ。夏は蒔(ま)かないが、秋、冬、春と蒔いたので、ずっと
大変。手間がかかるよ」
リーダー:大変ですね。鬚も取ってあげないと、
:昔は、大根も太ってしまうと売れない。形がスマートでないと高く売れない。
:この青首のようにデブになると、140円になっちゃう。でも、太っていも青首
は美味しい。
リーダー:今日は、皆さんのお話で勉強になりました。
:大根は、煮たり、おろしたり、皮を干したり、葉っぱは炒めて、全部使う。
万能食材ですね。感謝です。
:皆さんのような農家にお世話になって、大根が食べられる。これも感謝です。
:では、農家の方と大根に感謝しながら、美味しいお菓子をいただきましょう。
<座直り>
・お茶、お菓子を食べながら、雑談。その中で大根に関するものを略記します。
・食べるだけでなく、風邪のとき大根を切って、額(ひたい)に貼らなかった?
→それはネギでしょ。大根ではなくネギという結論に。
・大根は、食あたり、にも効く。消化が良くなる。
・大根を千切りにして、はちみつ入れて、咳止めに。
→砂糖で作った水飴を使った
・「家はサトウキビで作った砂糖を入れていた」(Aさん)
→「サトウキビを作っていたのは凄い」と皆さん。
→煮詰めて、飴状態になる。 ・青首大根は沢庵にはしないのかな?
→こんな太いのは沢庵には駄目。細くて白くなくちゃ。
・守口大根も「大根」というくらいだから大根なのかな?
→あの細い長い、ごぼうみたいの。
→この辺では作っていない。
→あれは、名古屋の方かな。
→大根の奈良漬けのようなもの。
(以下、コ・リーダーがスマホで調べて、皆さんに伝える) →守口大根は、世界一長い大根として、ギネスにのっているようです。
→名古屋の駅で売っている、値段が高い。蛇みたいにぐるぐるととぐろを巻いて箱に入
っている。
・「大根役者」というけど、どうして大根役者なのかな?ニンジン役者やゴボウ役者と言
わない。
→足が太いから、私の人生は大根役者だ。
(コ・リーダーがスマホで調べて、皆さんに伝える)
→下手な役者のこと。演技が大根のように、ズドーンとメリハリがない。
→もう一つは、大根は食あたりしないので、当たることがない役者のこと。
→棒読みで突っ立っているだけ。
<回想法を振り返って>
1)今回の大根では、「作る方(生産者)」と「食べる方(消費者)」と、両面から経験
談を聞くことができたので、話題が尽きない印象であった。
2)大根は、生活に馴染みの深いものであり、皆さんからいろなお話を聞くことができた
が、特に、農業をしていた方は、昔のことを沢山思い出され、生き生きとした表情で
お話されておられた。
→私たちの知らないことも、沢山の教えていただき、勉強になりました。
→しかし、発言時間が、「作る方」に偏り気味で、「使う(食べる)方」からも、
もっとじっくりお話を聞くべきであった。
3)同じ「大根おろし」という名称ですが、普通の下ろし金で擦ったものと、鬼おろしで
擦った大根おろしと、味が違うのにはびっくり。鬼おろしの方が断然に甘かった。
4)難聴の方には、筆談で話題の進行を時々刻々伝えるように心がけ、口頭での伝達は少
なめだったが、今日のようなやり方(筆談中心)の方が、しっくりとくるようにも感
じた。
→今後とも、よりよいサポートができるよう、いろいろと工夫が必要。
5)話題の進行の中で、確認した方が良いと思われることについて、コ・リーダーがスマ
-トフォンを使ってすぐ調べ、皆さんにその場で報告するのはなかなかよかった。
→話題の進行の中で、何か疑問が湧いたとき、その場で確認し、すっきりとした方がよ
い場合もあるので、曖昧なまま別の話題に移らない方がよいと思ったら、コ・リーダ
ーがスマートフォンを使うのも良いと思う。
(インターネットの便利さを実感しました)
(リーダー 室井)
<実施日と参加者>
実施日:12月下旬
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
実施者:リーダー1名、コ・リーダー3名
参加者:7名(100才台女性1名と90才台女性4名と80才台男性1名は要介護
2~4、80才台女性1名)
<参加者への配慮>
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が
発言しやいすようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時が多
くあるようなので、集中していただけるように話題に沿った問いかけを適宜行う。
・着座を続けることが苦手な方には、ご様子を見ながら声かけを行い、時には発言を
うながし、楽しんで参加していただけるようにサポートする。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
<進行予定>
1)お正月にはどんな遊びをされたか、思い出していただく。
・羽根つき、凧揚げ(たこあげ)、かるた、双六(すごろく)、福笑い(ふくわ
らい)、百人一首など、名前を言っていただく。
2)その遊びは、誰とどのように遊びをされたのか、遊びにまつわる思い出をお話い
ただく。
3)お正月の遊びには、伝統的な意味もあるので、その意味についても言及していた
だく。
4)今年はどんな年だったか、また、来年はどんな年にしたいか、お話いただく。
<用意した道具>
1)羽子板と羽根、独楽(こま)、百人一首
2)双六(すごろく)とサイコロ
・双六(すごろく)は、模造紙に手書きで作りました。
(東京駅から出発して山手線を一周。東京駅で「あがり(ゴール)」に)
<実際の進行>
リーダー:こんにちは。もう年末です。
:また新しい年が始まります。
:この会は「羊の会」という干支(えと)の羊の名前で、1年間やってまい
りましたが、新しい年になりましたら、また新しい名前を付けていただき
たいと思います。
:新年の干支(えと)は申(さる)ですので、干支を採用すれば「猿の会」
となりますが、それでは反対という方もおられるかとも思います。次回に
決めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
:新年ということは、皆さん、一つお歳が増えます。
:ところで、皆さんご存知と思いますが、、Fさんは、今月で満100才に
なられたそうです。おめでとうございます。
(皆さん、Fさんに拍手。Fさんはにっこり笑って会釈を返される)
(ひとしきり、年齢が増えることについて、「もう歳をとりたくないよ」、
「嫌だよ」、「100歳まで元気に」など、わいわいがやがや)
リーダー:皆さん、これ以上はお歳をとりたくないという方が多いようですが、それ
では、何才のご自分に戻りたいですか?
Aさん :18歳になりたい。そこで止まっていてくれたら。
リーダー:Aさんは18歳の頃に戻りたいそうです。
:では、Aさんには、今日は18歳の頃に戻られたつもりで、お話していた
だければと思います。
→「若い頃に戻っても忙しいだけ。ここで話している方が楽しい」(Bさん)
→「私は30歳の頃。子供の手が離れ自分の時間がもてた頃」(Dさん)
→「30歳台、いいですね。私も30歳台かな」(コ・リーダー①)
→「80歳か,90歳くらいが一番良かった」(Fさん)
:100歳のFさんは、80歳から90歳の頃に戻りたいんですって
そういう心境になってみたいですね。
→「私は5歳の頃」(Eさん)
→「小学生の子供の頃」(Cさん)
「小学校になった時は、親の手伝いをしていた。親の手伝いが出来て嬉し
かった」(Eさん)
リーダー:皆さん、小学校の頃は楽しい思い出が沢山あると思いますが、お正月には、
どんな遊びをしていましたか、
→「こたつで蜜柑食べてた」(Aさん)
→「かるた、いろはかるたをした」(Fさん)
→「いろはかるた、皆さんされましたね。い、はどんなのでしたか?」
→「犬も歩けば棒にあたる」(Aさん)
:私は関西生まれなので、別でした。京都のかるたの「い」は、どんなか、
皆さんんご存知ですか?」(リーダー)
(皆さん沈黙)
:「一寸先は闇(やみ)」でした。
→「その通り。一寸先は闇です」(Gさん)
:「江戸かるたと、大阪や京都のかるたは違いますね」
:「ち」は何ですか?」
→「塵(ちり)も積もれば山となる」(Aさん)
:Aさんはよくご存知ですね。
:では、皆さん、関西では「ち」は、どういう内容かご存知ですか?
(皆さん、沈黙)
:関西では、「ち」は「ぢ」になり「地獄の沙汰も金次第」でした。
:大阪や京都は、こちらでした。
→「大阪とは違うね」「そんなかるたもあるんだ」「さすがは商売の町」
などの発言あり。
リーダー:かるたとりは、どなたとされましたか?
→「本家に親戚中が集まった。大勢でかるたとりをした」
「自分は、あんまり取れなかった」(Dさん)
→「近くの女の子が集まって、家でかるた取りをした」(Aさん)
:上手だったのですか?
→「どうだったかな?」(Aさん)
→「人を押しのけるような性格の方は強い、と言いますが、Aさんは、押し
のけたほうですか?」(笑)(コ・リーダー③)
→「やりました。兄弟が4人いて、そこに従妹もきて、皆でやりました」
(Fさん)
→「自分は弱かった。あまり取れなかった」(Fさん)
→「五つくらいとれた。得意のが目の前にあると取れる」(Dさん)
「やったことない」(Bさん)
→「かるた取りする余裕はない。百姓は、毎日、正月でも働く」(Gさん)
などの発言あり。
リーダー:凧揚げ(たこあげ)はしましたか?
:羽根つき、独楽(こま)回しはどうですか?
(羽子板と羽根、大きな独楽と小さな独楽をテーブルに置く)
(⇑ 羽根と羽子板、小さな独楽を2つ)
(大きな独楽は、紐で回す ⇓)
:大きい独楽は紐、小さいのは指で回しました。
(小さな独楽と大きな独楽を、手に取って)
いただく)
(小さな独楽は指で回すと良く回る。更に
力を入れて回すと、自分でひっくり返り、
逆さまになって、更に良く回る)
→「こんな風にひっくり返って回るのは初めて」
(と皆さん)
(小さな独楽は、弱く回すと普通に回るが、強く回すとひっくり
返って回るので、皆さん強く回そうとするが、なかなかできない)
(男性のコ・リーダーが強く回すと、ひっくり返って良く回る)
→「良い独楽だね。やっぱり男の子だね」と回したコ・リーダーを褒める方
も。
(左は弱く回した時。強く回すと右のようにひっくり返って回る)
(大きな独楽は、紐をかけて投げて回すので室内では無理。手に持っていた
だくだけに)
→「女の子は追羽根(おいばね)をついた」(Aさん)
「羽根つきは、流行ってたよ」
「よく屋根に上げちゃった」
「勢いが良いと、屋根に上がっちゃう」
「羽根つきは上手だった」(Aさん)
→「私も、羽根つきはやったけど、上手じゃなかった」(Bさん)
リーダー:羽根つきは女の子としたのですか?
→「そう、女の子と」(Bさん)
:負けると顔に墨を塗られませんでしたか?
→「墨は塗られなかった」(Bさん)
→「羽根つきは下手だったので、よく墨を塗られていた」(Fさん)
→「羽根つきは、正月だけ、普段はやらない」(Eさん)
リーダー:どうして、お正月に羽根つきをするのですか?
(皆さん、沈黙)
:羽根をムクロジ(無患子)という木の実でつくり、その羽根をつくこと
で子供の無病を願った、とも言われているようです。漢字では「無患子」
と書いて、子供が患(わずら)わないようにという意味のようです。
→「ムクロジ知っている。そこに穴をあけて、鶏(にわとり)の羽を入れ
て作った」(Bさん)
:ムクロジは、大きな木で、以前は近所の森や神社でよく見かけたようで
すが、私は深大寺で見たことがあります。
→「ムクロジの木はなかったので、何処からか実だけ貰って使った」(B
さん)
→「私は、どんぐりの実に羽根をさして作った」(Eさん)
→「羽子板は、作らない。買った」(Bさん)
→「羽根つき歌を歌いながらついた」
「一人の時は、一目、二目、といって」(Dさん)
→「一人でつく時は、もっと羽根が開いていた」(Dさん)
→「この羽子板は、軽いからやりやすい。もっと重かった」(Aさん)
リーダー:綺麗な衣装を着せた羽子板もありますね。飾り羽子板。
→「いろんな顔が作ってあった」
「役者の顔が多かった」(Eさん)
→「子供にあげるからいい顔にしてと、母がお店に注文して作ってもらった」
(Fさん)
:Fさんに似ていましたか?
→「似てないよ」(Fさん)
→「女の子が生まれたら、お祝いに羽子板をあげた」(Eさん)
:生まれて、何時あげるんですか?
→「生まれた翌年のお正月にあげた」
「親戚に女の子が生まれたら、送っている」
「男の子には破魔矢(はまや)を」(Eさん)
(「思い出した」、「そういえば、思い出した」と、飾り羽子板や破魔矢を送
っていた習慣について、皆さんわいわいがやがやと)
→「今は、凧揚げ(たこあげ)も羽根つきもできない。場所が無い」(Eさ
ん)
(「今の子は、広場が無くて可哀そう」、「道路は危なくて遊べない」など
の発言あり)
リーダー:家の中では、かるたの他には、どんな遊びをされましたか?
:こんなものはどうでしたか?
(百人一首をテーブルに置き、何枚か並べる)
:Aさん、読んでいただけますか?
(Aさんは「秋の田の・・・」と読みあげる)
(大きな声で、朗々と読まれたので、拍手が起こる)
→「覚えている人は、「秋の田の」のところで取ってしまう」
「うまくはないが、結構やったよ」(Aさん)
⇑「読み札(よみふだ)」、「読み手」が大きな声で読みあげる。
⇑ 天智天皇と、蝉丸の歌(上の写真)の「取り札(とりふだ)」
・「取り札」は「下の句(しものく)」だけが書かれている。
・この「取り札」を100枚(百人の歌人の短歌を)並べておく。
・「上の句」が読まれたら、その歌の「下の句」の札を取る。
・「上の句」の「秋の」と一語聞いただけで「わがころもては・・・」の
「下の句」だけ書いてある「取り札」を取る方もいるとのこと。
(Aさんの読み方には、百人一首を読みあげる時の独特のリズムがあるので)
→「読んでいるときの口調が良いですね。かなりやられていたのでは」(コ
・リーダー①)
→「人の命の惜しくもあるかな・・」と読みながら「大好きだった」(Aさん)
(「でも字が小さくて読めない」と言いながらも、Aさんは、好きな短歌を
いくつか読み上げる)
→「お父さんが百人一首を好きだった。お正月は父と一緒に遊んだ」(Aさ
ん)
コ・リーダー③:「私の母親も百人一首が大好きで、高校生の頃、街を歩いて、百人一首
を読む声が聞こえてくると、その家に上がり込んで一緒に取ったそうで
す。武者修行みたいな感じで、毎年だから顔なじみになった」と言って
ましたが、Aさんの街はどうでしたか?
→「そんなこともありました。私も遊んでもらった」(Aさん)
「兵隊さんが、近所の学校の寮に泊まっていた頃は、兵隊さんと一緒に遊
んだ」
「その時は、犬棒かるたではなく、百人一首をやった」(Aさん)
リーダー:福笑い(ふくわらい)や双六(すごろく)もやりましたね。
:今日は、お正月にちなんで、双六で遊びたいと思います。
(手作りの双六をテーブルに広げる)
(サイコロは特大のものを100円ショップで入手)
:皆さんは一緒の電車に乗っていただきます。
:御一行様は、東京駅から、山手線を1周して、東京に戻ります。
:途中、下車して寄り道する駅や、乗り換えなければならない駅もあります
のでよろしくお願いいたします。
(Aさんから、順番にサイコロを振っていただく)
(途中、寄り道や、行きつ戻りつが多く、皆さんが1回
ずつサイコロを振っても東京駅には到着できない。
2回目に、約20分かかって東京駅のゴールに)
(詳細は略しますが、特に気付いた点を記します)
・東京駅から出発し、浜松町駅では「モノレールに乗り羽田へ。そして飛行
機で沖縄に行き、水族館を見て浜松町に戻る」という無料ご招待旅行がで
きることになっていましたが、何度も浜松町に停まり、何度も沖縄に行く
ことになり、「もう沖縄はいいから、早く新宿に行って箱根の温泉に入り
たい」という声があがりました。
→なかなか進まないので、大笑いになりました。
・原宿駅では、明治神宮へ参拝しました。
→「少し早いけど」などと、わいわいがやがやしながら、元旦にお賽銭を
あげたつもりで、参拝をしました。
→皆で一緒に「来年が良い年でありますように」と祈念しました。
→原宿駅には2回停まりましたので、明治神宮へは2回参拝できました。
「2回参拝すれば、ご利益も2倍に」という結論?になりました。
(明治神宮に新年の参拝をしている気持ちになって、合掌しました)
・巣鴨駅では、とげぬき地蔵にお参りしました。
→皆さん、巣鴨のとげぬき地蔵にはお参りしたことがあり、あれこれ思い
出話がありました。
→全員で名物の「赤いパンツ」を買うことにしました。
・上野駅では、上野動物園に行きました。
→上野動物園では、「象を見ながら象さんの歌を歌う」ことになりますの
で、「象さん象さん、お鼻が長いのね・・・」を歌いました。
・やっと一周し、ゴールの東京駅ではピタリと停まれず、何回か「通り過ぎ
ては戻り」を繰り返し、「1の目を出せばゴール」という場面で、Fさん
がサイコロ振る番になり、1回で「1の目」を出して、ゴールに。
→「さすが、100歳の方は凄い」と皆さんが拍手。
→山手線を1周するのに約20分程かかり、なかなか先へ進まない駅もあ
りましたので、「永久に回るのかと思った」などの声もありました。
→ゴールの東京駅では、万歳を三唱して終わりました。
(リーダーが「明治神宮に2回も参拝できて良かったですね。箱根に行って
温泉につかりたかったですが、それは来年の楽しみに」と終了し、手作り
の双六(すごろく)を片付けて次の話題に)
リーダー:もうすぐお正月ですが、「お正月の遊び」については、お話したり、双六
で遊んだり、早目に済ませました。
:今日は今年の最後のお話会ですので、今年1年間を振り返って、今年はど
んな年だったか、皆さんからお伺いしたいと思います。
:Aさんは、今年はどんな一年でしたか?
→「今年は、あまりいい年ではなかった。大雨ばっかり降って、自然災害も
あって」(Aさん)
:Aさんは、ご自分のことではなく、世の中のことを考えてえおられたので
ね。偉いですね。
→「今年は、雨が少ない時もあった。農業では良い年ではなかったんじゃな
いかな」(Bさん)
→「良い年だと思えば幸せ」(Gさん)
→「子供が会いにきてくれたから、良い年」(Fさん)
リーダー:来年は、申(さる)年です。
→「今、皆さんは干支(えと)の猿を作っていますね」(コ・リーダー②)
→「申年に赤いパンツをはくと、病気にならない」(Aさん)
「赤いパンツだけ売っている店が巣鴨にあるが、自分では、買いに行けな
い」(Aさん)
→「でも結構、履いているようですね」(コ・リーダー②)。
→「見えないからわからない」(Aさん)
→「来年は、皆で赤いパンツをはいて、ちゃんとはいているかどうか、皆で
確認しましょう」(笑い)
「来年、この会の名前は赤いパンツの会にしましょうか」(コ・リーダー③)
リーダー:赤い色は元気になる色。元気になるパンツをはいて、来年もがんばりまし
ょう。
(「がんばろう」を三唱して終了)
<座直り>
(終了後も、お茶を飲みながらの雑談の中で、印象に残ったお話がありましたので
記します)
・Fさんが百歳になられましたので、バースデーケーキでお祝いしました。
→今月、Fさんが百歳の誕生日を迎えられましたので、バースデーケーキが施設より
プレゼントされました。皆さんでお裾分け(おすそわけ)をいただきました。
美味しいケーキを食べながら、わいわいがやがやとお話しました。
→「久し振りのケーキ、美味しい」、「クリスマスとお正月が一緒に来たような日で
すね」などの発言の中で、リーダーが「Fさんのおかげで、こんな美味しいケーキ
がいただけました。ありがとうございます」とお礼を言った時のこと、
Fさんは「いえいえ、こちらこそ、お礼を言っていただいてありがとう」との返礼
がありました。
→「皆で赤いパンツをはいて、百歳まで頑張ろう」と、ハッピィバースディを歌いま
した。
・「百歳のお祝い金」についての議論
→数え年で百歳(満年齢では99才)のAさんは、「私は百歳なのに市役所からお祝
いが来ない。何故かな」と、心配そうでした。
(「満年齢で百歳にならないと、お祝いは来ないので、来年は来るはず」と、皆で慰
めました)
→「百歳になった方に、市役所から贈られるお祝い金が、だんだんと減額されている」
ことが話題に。
→「昔は、百歳は百万円だった」(真偽は不明です)
「何年か前今までは10万円だったけど、今は半分の5万円」
「今は、百歳が珍しくなくなった」
「女性は長生きする」
「これから、百歳の人はもっと増えるから、お祝い金も少なくなるかもしれない」
「1万円くらいになるかも」
「百歳の人が一人しかいない時には100万円を貰えても、百歳の人が100人に
なれば、一人につき1万円になる」
「百歳まで長生きの方が増えるのは、良い時代ということ」
「百歳まで生きれれば最高だね」などの発言がありました。
<回想法を振り返って>
1)お正月の遊びの話題に入る前に、「もうすぐ新しい年を迎え、お歳も一つ増えま
すね」と言ったところ、「歳は取りたくないね~」と言われましたので、「では、
戻れるとしたら何歳頃に戻りたいですか」と皆さんに伺うと、それぞれの思いが
こもった年齢が返ってきました。予定していなかった質問でしたが、いろんな思
いを語っていただきましたので、良かったと思いました。
→その中でも「18歳の頃にもう一度もどりたい」と言われたAさんの嬉しそうな
表情が印象的でした。青春を謳歌していた乙女の頃の思い出が蘇(よみがえ)っ
てこられている様子でした。
→また、100歳のFさんは「80歳か90歳の頃に戻りたい」と言われましたが、
どのようなお気持ちなのか、理解できるように、同じ年齢まで頑張ろう、と思い
ました。
→「小学校の楽しかった頃に戻りたい」と、「子供が手を離れる30歳の頃に」と
いう想いは、皆さん共通であるようにも感じました。
2)お正月に遊んだ羽根つきやかるた、百人一首にはたくさんの思い出を持っておら
れる方がいらしゃいました。百人一首の歌を上手に読んでくださり、お正月らし
さが出て良かったと思いました。
3)年末の新聞記事に「赤い下着の売れ行きが好調」とありました。
「申年に赤いパンツを身につけると健康に過ごせる」といった言い伝えが各地に
あるとの記事ですが、皆さんの地方でもそのような言い伝えがあったようにも感
じました。
→「来年はどんな年にしたいですか」という話題では、皆さんで「全員で赤いパン
ツをはいて元気に暮そう」と決意表明をいたしました。「赤いパンツ」には、皆
さんを元気にするパワーがあるように思いました。
4)参加者の皆さんは、詳しく語られる方もおられれば、断片的な言葉で表現される
方もおられます。全員の方から、同じように詳しくお話していただくのは難しい
ことですが、コ・リーダーのサポートが良いタイミングであった時には、発言の
少ない方からも、たくさんの想いを皆さんに伝えていただくことができたように
感じました。
→たとえ「短い一言」であっても、話した方の「大きな想い」を皆さんに感じてい
ただけるように、「言葉を大事に」して行きたいと思いました。
(リーダー:磯村)
<テーマの目的>
テーマ:師走
目 的:もうすぐ年末です。12月になりますと、年越しやお正月の準備で忙しくな
ります。「師走」とも呼ばれていたように、参加者の皆さんも走り回ってお
られたと思います。
師走にはどんなことをされていたのか、今のように便利でなかった頃のお話
をしていただきます。
<実施日と参加者>
実施日:11月下旬
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
実施者:リーダー1名、コ・リーダー2名
参加者:7名(90才台女性5名と80才台男性1名は要介護2~4、80才台女性
1名)
<参加者への配慮>
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が
発言しやすようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時が多
くあるようなので、集中していただけるように話題に沿った問いかけを適宜行う。
・着座を続けることが苦手な方は、ご様子を見ながらが声かけを行い、時には発言を
うながし、楽しんで参加していただけるようにサポートする。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
<進行予定>
1)12月になったら、まず最初にどんなことをされたか、お話していただく。
2)話題は、実際に実施されていた順番に(以下のような順で)お話いただく。
①年賀状を書く ②炬燵(こたつ)やストーブなど暖房の準備 ③大掃除
④障子の張替 ⑤年越しの餅つき
3)最後に、年越しの準備が終わり、大晦日には、紅白歌合戦を見て、除夜の鐘を聞
き、年越し蕎麦を食べ、「来年も良い年を迎えられるように、がんばりましょう」
という雰囲気で終了する。
<用意した道具>
1)「師走」と大きく書いた文字
2)室内用の箒(ほおき)
3)豆絞りの手ぬぐい(2本)
4)話題としてとりあげるテーマの写真
(写真は、インターネットの「写真サイト(無料)」などから、引用させていただ
きました。詳細は後記しました)
①割烹着(かっぽうぎ) ②年賀状 ③炬燵(こたつ) ④障子貼り ⑥餅つき
5)歌詞カード
(「きよしこの夜」、「たき火」、「雪」、「お正月」の歌詞)
<実際の進行>
リーダー:11月も終わりに近づきました。来月は12月。
:12月の次は、何月でしょうか。
→「1月」、「お正月」(などの発言あり)
:12月は、別の呼び名もありますが、何と呼びましたか?
→「しわす」(Aさん)
→Aさんが「しわす」と言われました。師走はこんな字を書きました。
→「師走」の文字を見ていただく。
Fさん :お師匠さんが走るほど、忙しいから、師走と言う。
リーダー:この「師」は「お師匠さん」だそうです。お師匠さんは先生ですね。
:偉い先生は、普段はどっしりと座っているのに、そんな偉い先生も走り回
るほど忙しい月のようです。
Aさん :そう、先生も走り回るほど、忙しい。
→皆さん、師走の忙しさについて、ワイワイがやがや。
リーダー:師走は、いろいろと忙しい月です。年越しの準備、新年の準備。
:そこで、少し気が早いですが、今日は、12月に入ってから、慌てないよ
うに、年越し、と、新年の準備についてお話していただきます。
よろしくお願いいたします。
リーダー:師走のお仕事を、あれこれと思い浮かべられたと思いますので、お聞きし
ます。
リーダー:皆さん、12月に入ったら、まず、何から始めますか?
→「大掃除」(Aさん) リーダー:Aさんは、大掃除をするそうです。毎日のお掃除は毎日やってますので、
1年間の大掃除をするそうです。
→「餅つき」(Bさん)
:大掃除、と餅つき、どちらが先ですか?
→「大掃除」(Fさん)
→「餅つき」(Bさん)
:大掃除が先か、餅つきが先か、それぞれ家によって違うようです。
→「大掃除が先」(Cさん)
→「餅をついてから、大掃除」(Dさん)
→「餅ついてからでは、掃除のごみが餅に入る」(Aさん)
→「蓋をしておけば、大丈夫」(Dさん)
→「うちは、大掃除をしてから、餅つき。餅はお父さんがついていた」(E
さん)
→「やっぱり、大掃除やってから」(Gさん)
リーダー:大掃除をしてからお餅つきの方が多いようですね。
:では、大掃除のお話からお伺いします。
:Gさんは、大掃除は何処から始めましたか?
→「まず、家の中をやる。それから家の廻り」
「家廻りに、半月はかかちゃう」(Gさん)
:皆さん、聞かれましたか。Gさんは、家の周りの大掃除に、半月はかかる
そうです。
→「部屋が沢山あれば、一日じゃ終わらない」(Eさん)
→「まず、家の中をやって、それから外」
「天井かなんかは、全部煤払い」(Aさん)
リーダー:大掃除の時の格好、こんな風でしたか?
(割烹着の写真を回覧して見ていただく。他の割烹着の写真も回覧)
→「掃除の恰好だ」、「懐かしい」、「今は着ない」などの発言あり。
→「男は割烹着は着ない。これは着ないねえ」(Gさん)
→「大掃除だから、煤払い(すすはらい)はやったよ」(Bさん)
→「煤払いは、自分でやった」(Aさん)
→「煤払いは主人がやった」(Bさん)
→「竹で払った。自分で、真竹を切って、それでやった」(Eさん)
:Bさん、Eさんは、真竹を切って、葉っぱで払ったそうです。
→「煤払いやりましたよ」(Cさん)
→「大掃除しないと、正月はこないよ」(Aさん)
→「半月かけて、外回りの大掃除をした。外回りの煤払いもやります」(G
さん)
→「綺麗に掃き掃除する。大掃除をしないと来年がこない」(Fさん)
リーダー:農家の方は、、年度末の大掃除どうされましたか。
→「やりましたよ」(Cさん)
:旦那さんも、頑張って大掃除されましたか。
→「旦那はやらない」(Cさん)
→「うちの旦那も、家の中はやらない」
「外回りは、やってくれた」(Bさん)
→「家の中は、女、外は男」(Eさん)
:Cさんが「旦那さんはやらない」と言われたので、びっくりしましたが、
家の外はやられたんですね。
→「外はやった」(Cさん)
→「家の中は、女性。外の高いところは旦那」(と皆さん)
:旦那さんの出番が少ないですね
→「旦那は、勤め(つとめ)があるから、あんまり手伝わない」(Aさん)
:Aさん、一人で大変でしたね。
→「その方がいいの。後で、ご苦労さまと言わなくていいから」(Aさん)
:じゃあ、旦那さんは、勤めから帰って、綺麗になった家を見て、
ご苦労さまと言ってくれなかったのですか?
→「何も言わなかった。平気だよ」
「そんなに褒められるほど、やらないから」(Aさん)
リーダー:Aさんは、旦那さんがお勤めで、大掃除できない、自分一人でやったそう
です。
:でも、「そっちの方が良かった。気を使わないで」とい言われました。
:Dさんは、如何でしたか?
→「自分で、やっていた」(Dさん)
→「女は自分でやるしかないのよ」(Aさん)
:Fさんは、お店をやってられましたが、商店の大掃除はどうしてましたか?
→「自分ではやらない、出入りの人がやっていた」
「お店は、2日。奥座敷は3日かかった」(Fさん)
リーダー:お店は2日かかったそうです。奥座敷に3日間かかったのは、すごく大き
な家だったんですね。
→「我が家は半日かな」(コ・リーダー①)
「家の中の座敷は、あんまり散らかってないから、そんなに時間はかから
ない」(Bさん)
リーダー:子供の頃、大掃除のお手伝いやられました?
→「昔は、農家はそんなに大掃除といって、やらなかった」(Bさん)
:子供まで、手伝え、と言われなかった。そうです。
リーダー:こんなの被りましたか?
(豆絞りの手拭を出して、皆さんに手に取っていただく)
⇑ 模様は「米粒」の形。「豆しぼり」でなく「米しぼり」の手拭いを用意。
リーダー:豆絞りの手拭(てぬぐい)です。私の母親は、格好良く、被っていた。
:どうやって、被(かぶ)るのですか。
→「こうやって、後ろに、持って行って」(Eさん)
→「それでいいよ」(Bさんも自分で被る)
→「こうするんだよ」などと、「姉さん被り(あねさんかぶり)」をする方も
いて、わいわいがやがやしながら、皆さんに手に取っていただく。
(女性は、掃除の時には手拭で「姉さん被り」をして、埃(ほこり)がかから
ないようにしていたようです)
(箒(ほうき)を出して、見ていただく)
→「箒(ほうき)は、長いのと、短いのとあるよ」(Bさん)
→「これ私の家から持ってきました。もう何十年と使ってます」
(コ・リーダー②)
→「自分の家にもあります」
「自分でやる。毎年の大掃除、自分でやる」(Gさん)
→「叩き(はたき)も使った。叩きは、先がちょん切れる」
「パタパタすると、先がちょん切れて、半分くらいになっちゃう」
(Aさん)
リーダー:こういうの持つと、やる気になりますね。
→「昔はみんな箒(ほうき)、これだよ」(Bさん)
→「この箒で、天井も払った」
「蜘蛛の巣なんかも」(Aさん)
:Cさんは、箒(ほうき)は使いましたか?
→「使ったよ。使わなくちゃ、掃除できない」(Cさん)
リーダー:12月になると、大掃除の前にやることがありました。
:急に、お掃除から、お話が変わりますが、12月の初めにすること。
:これは、昔も、今も、変わらないと思います。
→「12月に入ったら、すぐやるんだって」、「何だろう」などの発言あり。
(年賀状の写真をテーブルに置く)
(皆さんに、年賀状を手に取って見ていただく)
→「書きました」(Dさん)
→「筆で書いてある。百姓は、筆で書かない」(Gさん)
→「うちは、主人が字が上手なんで、主人が書いていた」(Bさん)
コ・リーダー①:皆さん、聞いてください。Bさんの旦那さんのこと。
→「主人が字が上手なんで、年賀状も筆で書いてた」(Bさん)
「墨をすって、書いてたよ」
「兵隊に行って、字が上手だったんで、字を書いていた」(Bさん)
→「Bさんの旦那さんは、字が上手だったそうです」
「兵隊で、字を書く仕事をしてたんだって」(コ・リーダー①)
→「私は、字が下手だった。だから、字を書くのが嫌だった」
「主人が全部書いていた」(Bさん)
→「うちのも、そうだよ。字が上手で、賞状を書いてた」(Aさん)
リーダー:私は字が下手なので、自分の書いた字を見るのが嫌だった。
:皆さんの旦那さんは、字が上手でうらやましい。
→「うちも、旦那の方が字が上手。私は駄目」(Cさん)
:Fさんは、字は上手ですか?
→「字は下手だよ」(Fさん)
「下手だけど、自分で年賀状は書いてた」
「下手だから、習った」(Fさん)
リーダー:今、皆さんの言われたことをまとめます。
:皆さんの旦那さんは字が上手。ご自分は、上手じゃなかった。
:Bさんの旦那さんが、硯で墨を擦りながら、筆で年賀状を書いているのは
良い雰囲気だったでしょうね。
→「Bさんの旦那さんは器用ですね。大掃除も手伝ってくれるし、申し分の
ない旦那さんですね」(コ・リーダー②)
:Bさんはご自分の年賀状も、旦那さんに書いてもらったんですか?
→「私は、年賀状は出さない。旦那が出した」(Bさん)
→「私も自分の名前は書かないよ」(Aさん)
→「昔は、所帯主のお名前だけ。だったのですか」(コ・リーダー②)
→「父親の名前だけ」(Fさん)
:今の時代は、家族全員の名前。犬や猫まで、一緒に登場する年賀状も。
:旅行に行ってきた記念写真のような年賀状もありますが、昔は、旦那さん
だけ、代表で。
:今でも、筆で書いている年賀状も少しありますが、良い雰囲気ですね。
心をこめて書いていると分かるような気持に。
→「Bさん、Aさん、Cさん、Fさん、皆さんの旦那さんは、心こめて書い
てたんだ」(コ・リーダー②)
リーダー:では、年賀状を書き終わった後は、何をしますか?
:この写真に答えがあります。
(「猫と炬燵(こたつ)の写真、皆さんの手に取って,見ていただく)
(写真3)
:答えを分かった方も、まだ言わないで、回してください。
→「猫が写ってるね。猫だから、何するのかな」(Dさん)
:年賀状を書いてから、大掃除の前、にすることです。
:お分かりの方がいらっしゃいます。12月になって寒くなると出します。
→「炬燵(こたつ)かな」の答えがある。
→「私は、もう炬燵(こたつ)を出してる」(Aさん)
:Aさんは、こたつは11月の仕事で、もう出しているそうです。(笑)
→「こたつ、眠くなっちゃう」(Aさん)
→「猫もこたつで丸くなる」(コ・リーダー①)
→「家は掘りごたつ(注1)だった」(Fさん)
:Fさんの家は、掘りごたつだったそうです。
:小さな子供の頃は、こたつの中に立ったりして、遊びましたか?
→「やらない。やったことない」(Fさん)
→「うちもそうだよ。掘りごたつ」(Bさん)
:こたつは、何で暖めてましたか?
→「家は電気。新しい家は電気にした」(Bさん)
→「うちは炭だった。こたつの中に炭いれて」
「金網をかぶせて、火傷(やけど)しないように」(Eさん)
→「50年ほど前に、家を建て替えた。その時、大工さんが作ってくれた」
「新しい掘りごたつ。主人が買ってきた」(Bさん)
「炭も焼いていたから、いくらでもあったけど、電気の方がいい、と主人
が言って、買ってきた」(Bさん)
→「Bさんのご主人は、よく頑張りますね」(コ・リーダー②)
→「うちは、堀ごたつだった。炭の」(Fさん)
リーダー:Bさんは、炭を焼いていていくらでもあったけど電気こたつだそうです。
:Fさんは、炭を売っていたから、いくらでもあったそうです。
:Cさんは、炭作ってましたか?
→「作ってた。うちもこたつは掘りごたつ」(Cさん)
→「炭は作ってなかったが、炭の掘りこたつだった」(Dさん)
→「私のところも、掘りこたつ。炭の」Aさん)
→「炭でなく、豆炭(まめたん)も使った(注2)」(Eさん)
(「そうそう豆炭、そんなのもあった」と皆さんわいわいがやがや)
リーダー:農家では、掘りごたつの他に、囲炉裏(いろり)はありましたか
→「農家だったから、囲炉裏はあったよ」(Gさん)
→「家立てる前は、囲炉裏はあった。新しい家は無かった」(Bさん)
:やかんは載せていましたか?
→「やかんでなく、鉄瓶(てつびん)(注3)」(Gさん)
→「火鉢(ひばち)も使ってたよ。火鉢は、炭でやってた」(Bさん)
→「火鉢はあったが、もう使う時代でない。炭もないので、しまう場所に困
って、縁の下にしまっちゃった(注4)」(A)
:昔は、小さな火鉢に火を入れて、部屋に運んで、温まっていましたね。
(急に火事の話に)
→「火鉢の火で、火事になった家がある」(Cさん)
「近所の家が火事に。怖かった」
「自分の家も、火事になりかけたが、気がついて消したので、家は大丈夫
だった。危なかった」(Cさん)
:近所の火事は怖いですね。近所の家が火事になった方は?
→「ある。子供の頃。近所の家が。怖かったよ」(Bさん)
「夜。怖かったよ。近くの家。真っ赤になって、火の粉が飛んできて、
ひどかった」
「外が真っ赤なので、扉を開けたら、真っ赤な火。家の周りを、提灯つけ
て、火の粉がないかどうか、見て歩いていた」(Bさん)
→「火事は怖いよ。足がガタガタして、歩けない」(Cさん)
→「火の用心。昔は拍子木(ひょうしぎ)をたたいて、町内を回っていたね」
(Eさん)
リーダー:年末にやること、これは何の写真でしょうか?
(障子を子供が破いている写真を回覧)
(次に、赤ちゃんが障子を破いている写真を回覧)
→「障子貼(しょうじはり)だ。毎年やった」
「洗って、濡らして、剥がして」(Eさん)
:障子貼は、大掃除の前にしますか。後ですか。
→「前、12月の初め」(Fさん)
→「皆さん、Bさんは、二人で引っ張り合って貼ったそうです」(コ・リー
ダー①)
:誰と引っ張り合ったのですか?
→「旦那さんと、引っ張りあったそうです」(コ・リーダー①)
→「昔は1段ずつ、障子紙を伸ばして貼った」(Bさん)
「二人でやらないと、上手にできない」(Bさん)
→「今は、障子と同じ大きさの紙があるから、そのまま貼れる。昔の和紙は、
幅が狭かった」(コ・リーダーー①)
→「うちは、お母さんとお婆さんでやってた」(Cさん)
→「うちの旦那と自分も、引っ張り合った。やったよ」(Aさん)
:呼吸は合いましたか?、
→「なんとか、かんとか、やってた」
「一人になってからは、やれない」(Aさん)
:Dさんは、障子貼はやりましたか?
→「やらないね。ガラスがあるから」(Dさん)
:そうですか。都会ではガラス戸だから、やらないのですね。
→「ガラスは貼れない」(Dさん)
リーダー:障子貼をした後に、大掃除。
:そして、最後にしなければならないのは何ですか?
:これをしなければ、年は越せませんね。
(餅つきの写真、搗(つ)いた後の丸いお餅の写真などを回覧する)
(「こんな臼だった」、「きれいなお餅」など、写真を見ながらわいわいがや
がや)
リーダー:皆さん、こんな臼で搗(つ)いてましたか?
(写真7)
→「最初は、こんな臼で搗(つ)いてた。その後は精米機でついた」
「親が精米器を買ってからは、臼では搗(つ)かない」(Bさん)
→「やりましたよ。昔は、こんな臼で搗(つ)いたよ」
「今は電気で」(Gさん)
→「暮れに搗(つ)いたお餅は、お供えにした」(Fさん)
→「搗(つ)きたての餅は、その場で食べる」(コ・リーダー②)
→「搗(つ)きたてのお餅は、お醤油につけて食べた」(Aさん)
→「餡子(あんこ)に入れて食べると美味しい」(コ・リーダー②)
→「大根おろしをかけて食べると美味しい」(Dさん)
:「しょっぱい派」と「甘い派」に分かれましたね。
→「搗(つ)きたてのお餅は、美味しい」(Eさん)
(「お餅は搗きたてが美味しい」と、皆さん賛同)
リーダー:餅つきの湯気と、匂い。懐かしいですね。
→「子供の頃、搗(つ)いたお餅を早く丸めたかった」(コ・リーダー①)
→「蒸籠(せいろ)だと4升(しょう)は炊ける」(Bさん)
「丸い蒸籠(せいろ)になったら、4升も炊けるのがなくなっちゃった。
今は3升しか炊けないんじゃないかな」(Bさん)
⇑ 丸い蒸籠(せいろ)
→「お餅つく日、28日と決まっていた。8は末広がり」(Eさん)
→「大安についた」(コ・リーダー①)
→「もう、できないよ。腰が痛くて。ひっくりかえすのも、大変」(Aさん)
→「東京でも、お餅つきはやった」(Dさん)
→「もう餅つきしないから、臼はお寺に奉納した」(Eさん)
→「搗いたお餅は、丸めた。後で焼くのが大変だから、薄くして丸めた」(E
さん)
→「うちは、四角く延ばしてた(注5)」(Dさん)
(搗いたお餅は、丸くした方と、四角い型の箱に延ばして入れ、後で小さく
切って食べる方と、家(地方)によって違ったようでした)
→「伸ばした餅は、固くなって切れない」(Eさん)
:お餅は、どうやってして保存しておきましたか?
→「昔は、冷蔵庫がないので、水で冷やしておく」(Bさん)
「そうしないと黴(かび)ちゃう」
「お餅は、水に入れておいて、水をとり変える。そうしないと腐っちゃう」
(Bさん)
→「お餅は水に。柔らかくなるので食べやすい。でも、あまり長くはおけな
い」(Eさん)
→「水は毎日取り換える」(Bさん)
(「大変だね」、「それしないと、臭くなる」などの発言あり)
→「大きな桶に入れて、水餅にして。2月になっても大丈夫」(Bさん)
→「うちはかめ(甕)に入れて、水餅にした」(Eさん)
:平たく伸ばしたお餅は、水につけないで、そのままでも長持ちしたような
記憶がありますが?
→「硬くなって、切れなくなるよ」
「お餅がまだ柔らかいうちに、小さく切っておく」(Eさん)
リーダー:お餅つきも終わりましたので、いよいよ大晦日です。
:では、お餅を食べながら、紅白歌合戦を見ている気分になっていただいて、
お茶の時間に。
<座直り>
(終了後も、お茶を飲みながらの雑談の中で、印象に残ったお話がありましたので記
します)
・Bさんのお話
→「戦争で疎開(そかい)してきた人が良く手伝ってくれた。餅つきなんかを、毎年
手伝ってくれた」
→「忙しいときには、仕事を頼んだ。本当によくやってくれた。小柄な人だったけど、
今でも感心している」
→「偶(たま)には、お米をあげたり、よくやってくれた」
→「納屋(なや)を建て替えるとき、「納屋の材木をあげるか」と聞いたら「貰う」
というのであげたら、川で綺麗に洗って、自分の家の母屋(おもや)に使った」
→「古くても、洗うと新しい材木のようになって、それで家を建てた」
→「古い材木は、燃すのも大変だから、よかった」
(「昔の材木は、ちゃんとしている」と、皆さん相づち)
(Bさんは、疎開してきた人の思い出を、嬉しそうに話されました。口調にも力が入
りました)
・紅白歌合戦のお話
→「大晦日は、紅白歌合戦、昔は見たけど、今は見ない」
「今の歌は、難しい。分かんない」(皆さん)
・クリスマスのお話
→クリスマスのお話が出ましたので、用意しておいたクリスマスの写真を回覧。
(「photo AC」さんのサイトより)
→クリスマスについて、あれこれと雑談。「今、靴下にプレゼントを入れてくれる
なら、現金が良い。それで孫たちに何か買ってあげることができる」という発言
あり。
(「きよしこの夜」を歌う)
・Aさんは、歌詞を覚えていて、歌詞カードを見ないで歌う。綺麗な声で高音までも
楽々と歌われる。
(皆さんが「Aさん凄いですね」と称賛。「家でも歌われるのですか?」の質問に)
→「家で一人でいると、歌を歌うと変に思われるので、家では歌わない」
「ここでは大きな声で歌っても大丈夫だから」
・冬の季節の歌を歌って、座直りも終了しました。 →「お正月」の歌(「もういくつ寝ると、お正月・・」)を歌う。
→「雪」の歌(「雪やこんこん、あられやこんこん・・・」)を歌う。
→「たき火」(「垣根の垣根の曲がり角、たき火だ、たき火だ・・・」)を歌う。
<回想法を振り返って>
1)当初は「進行予定」に記した順番を考えており、12月の初旬→中旬→大晦日と
日付順に話を進めたかったが、そのような順番にならなかったのは残念でした。
→「12月に入ったら、まず、何から始めますか?」という質問に、「大掃除」と
「お餅つき」のお答えだけだったので、やむおえなかったのですが。
2)大掃除や年賀状のお話の中に、旦那さんの登場する場面が何度もあり、旦那さん
がその場にいるような口調で話されている、と感じる時もありましたので、良か
ったと思いました。
3)今日の歌は、歌い始めると、歌詞カードを見ないで歌える方もおり、昔はよく歌
っておられたことが分かりました。
4)今回、この「師走」をテーマにした回想法のノートを書きながら、高齢者の方々
にとっては生活必需品であった掘り炬燵(こたつ)、豆炭(まめたん)などは、
今の若い世代の殆どの方は、使うことも見ることもなく生活されてきたのではな
いか、ということに気付きました。
5)そのように思いましたので、昔(昭和30年代くらいまで)は生活必需品でした
が、現在ではあまり見かけなくなったものについて、(注)をつけました。
(リーダー:石川)
<注記>
(注1)掘り炬燵(ほりごたつ)
・写真のように、足元を低くして、椅子のように足が下せますので楽です。
(注2)豆炭(まめたん)
・石炭や木炭など10種類以上の素材を,約5センチくらいの大きさに丸めたもの。
普通の炭よりも扱いやすいので、現在でも携帯用燃料として販売されているよう
です。
(「wikipedia」より)
(注3)囲炉裏(いろり)と鉄瓶(てつびん)
・昔の農家には囲炉裏があり、鉄瓶がかかっていてお湯が沸いていました。
(「写真素材 足成」さんのサイトより)
(注4)火鉢(ひばち)
・中に灰(「はい」と呼ばれる木などの燃えかす)を入れその上に炭を載せました。
・小さな火鉢なら、運ぶことができました。
(wikipediaより)
(注5)お餅について
・搗(つ)いたお餅を、丸めて保存する方と、四角く切って保存する方と、地方に
よって異なるようです。
・四角いお餅は、搗(つ)いたら「伸し餅(のしもち)」に延ばしておき、少し固
まって切りやすくなった頃に、食べやすい大きさに切ります。
⇑「伸し餅(のしもち)」(「小竹食品」さんのサイトより)
・伸し餅(のしもち)を切って「切り餅」に。
⇑切り餅(「photo AC」さんのサイトより)
<写真について>
・文中に引用させていただいた写真には引用元を記しました。
・いずれも、無料での使用許可を明記している写真素材サイトと、企業のカタログ写真
から(許可を得て)引用させていただいております。 ・(写真①)~(写真⑧)につきましては以下の通りです。 (写真1)割烹着(かっぽうぎ)
・「KOMESICHI(株式会社米七)」さんのサイトより。
(写真2)猫と炬燵(こたつ)
・「photo AC」さんのサイトより。
(写真3)猫の寝姿
・「写真素材 足成」さんのサイトより。
(写真4)障子(しょうじ)と子供の笑顔
・「photo AC」さんのサイトより。
(写真5)障子と赤ちゃん
・「photo AC」さんのサイトより。
(写真6)お餅を丸める
・「photo AC」さんのサイトより。
(写真7)木の臼で餅つき
・「photo AC」さんのサイトより。
(写真8)丸い蒸籠(せいろ)
・「photo AC」さんのサイトより。
テーマ:冬支度(要約編)
<テーマの目的>
テーマ:冬支度
目 的:11月に入り、寒くなってきましたので、このテーマを選びました。
今の時代は、電気のスイッチを押せば簡単に家中が暖くなり、「冬支度」と
いう言葉もあまり聞かれなくなりました。
しかし、参加者の皆さんが育った頃の家には「すきま風」が入り、暖房とい
えば炬燵(こたつ、電気ではなく、炭や練炭で暖めるもの)、囲炉裏(いろ
り),火鉢の時代です。
その頃の冬の準備と寒さ対策についてお話いただきました。
<実施日と参加者>
実施日:11月中旬.
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
参加者:6名(100才台女性1名と90才台女性4名は要介護2~4,
80才台女性1名)実施日:11月中旬.
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
参加者:6名(100才台女性1名と90才台女性4名は要介護2~4,
80才台女性1名)
<進行予定>
①もうすぐ12月。寒くなってきて、お正月も近付いていることを確認。
②「寒い季節を迎える準備」についてお話していただくことを伝え「冬支度」
という言葉を、参加者の方から答えていただく。
③簡単な自己紹介を兼ねて、お名前と「冬が好きか、嫌いか」をお聞きする。
・自己紹介では「冬が好きか、冬が嫌いか」その理由を一つだけあげて、
ご自分の立場をはっきりと明言していただく。
・「冬が嫌い」という方と、「冬が好き」という方と、双方に分かれての
討論会のような雰囲気の時間もあれば、とも思いました。
④「冬は寒いから嫌い」という方が多いと思われるので、寒さ対策をどうさ
れていたか、いろいろとお聞きする。
⑤寒さ対策として、炬燵(こたつ)、湯たんぽ、火鉢(ひばち)、囲炉裏に
ついて話されると思われるので、最初は、炬燵か湯たんぽか、どちらかに
話題を絞り、皆さんにお話していただく。
⑥湯たんぽの話の際には、実際の湯たんぽを手にとって見ていただく。
・湯たんぽは、話題の最初に出すか、或いは、話の途中で見ていただくか、
その場の様子によって判断する。
⑦炬燵(炬燵)の話の際には、話題の途中で、炬燵の中で「猫が暖まってい
る写真」を見ていただき、暖かかったことを思い出していただく。
⑧参加者の方が話された話題に応じ、予定したテーマにこだわらず、より詳
しくお話いただく。
⑨12月からお正月にかけてよく歌われていた童謡を歌い、「冬の歌」につ
いても復習して「歌でも冬支度」をする雰囲気で終了する。
道 具:①湯たんぽ
・昔のブリキ製のものが無いので、コ・リーダーが使用しているプラスチッ
ク製の湯たんぽ(形は似ている)を用意。
②炬燵(こたつ)の中で、猫が暖まっている写真(2枚)
(写真素材サイト「写真AC「(上)、「足成」(下)より)
③囲炉裏(いろり)の写真
(写真素材サイト「足成」より)
④歌詞カード
・「きよしこの夜」、「お正月」、「雪」、「たき火」の歌詞。
<進行の様子>
1)自己紹介について
①見学の方がいたので、自己紹介も兼ねて、皆さんから「冬が好きか、嫌いか」
をお聞きしました。
②見学の方がいると、皆さん、自己紹介は、いつもより発言が多くなる印象も
ありました。
(見学者にも、自己紹介の時に冬の好き嫌いについてお話いただきました)
③「好きか、嫌いか、その理由を一つだけ、簡単に」ということでしたが、
「簡単に」とはならず、いろいろと冬の生活での好きなことや嫌いなことを、
皆さんはそれぞれのご経験をもとに沢山話されました。
2)最初の話題は「炬燵(こたつ)」から
①自己紹介で「冬は大好き。炬燵に入れるから」という発言がありましたので、
炬燵の話題から始めました。
②堀炬燵(ほりごたつ)だったこと、炭で暖めていたこと、中に入って首だけ
出していたこと(子供の頃に)、など、皆さんに共通の思い出のようた。
・「炬燵に入っていた時、隣は、誰と一緒でしたか?」という質問をして、
兄弟のことや、お父さんやお母さんのことを思い出していただくように、
意識しました。
(実際に質問できたのは2~3人の方だけですが、この問いかけをした際に
は、皆さんは、それぞれ、ご自分の子供の頃や、子育ての頃を思い浮かべ
ておられたように思いました)
3)「湯たんぽ」の話題に。
①湯たんぽは、コ・リーダーが使用しているプラスチック製のものを手にとっ
ていただきました。
②昔のようなブリキ製ではありませんが、形は似ているので、回想法の道具と
しては「役に立つ」と思いました。
(湯たんぽは、今でも使っている方がおりますので、昔の話と今の話と、時代
が混じってのお話になりました)
③湯たんぽは「家に一つか、二つあった」という方が多く、貴重な暖房器具で
あったようです。
4)火鉢(ひばち)の話題に
①火鉢の話題に移ったのは、約40分経過した頃でした。
②火鉢の灰には「良い灰と悪い灰がある」こと、「上手に火加減をする方法」、
「いつもヤカン(或いは鉄瓶)がかかっていた」、「火鉢でお餅を焼いた」、
などの話題がでました。
5)囲炉裏の話題に
①囲炉裏の写真を見ていただき、囲炉裏の話題に移りました。
②囲炉裏は、薪(まき)で燃やしますが、薪割りが得意だった方から、薪にも
「良い薪と悪い薪」があり、薪割りのノウハウもあることを教えていただき
ました。
6)農家の冬の仕事について
①農家の冬支度についても、詳しいお話を聴きたかったのですが、時間がなく
なってしまいましたので、お一人からしかお話いただけませんでした。
②冬は、山に薪(たきぎ)を採りに行く時、さつま芋も持って行って、「たき
火で焼き芋を焼いて食べた。残りをお土産に持って帰る頃には、焼き芋は冷
たくなっていた」というお話が印象に残りました。
・ご夫婦二人で山仕事に行き、お土産はご両親に、とのことでした。
7)難聴の方へのサポート
・ボード(白板)に書いて、お話しをお伝えしました。
<実施後に、振り返って>
①最初の自己紹介で、皆さんそれぞれ、ご自身の経験に基づく「好き嫌いの理
由」を話されましたので、盛り上がった雰囲気で「炬燵」の話題に移れたよ
うに思いました。
(その代わり、予定?よりも自己紹介の時間がかかりました)
②「冬の寒さ対策」ということで、「炬燵」と「湯たんぽ」については、ゆっ
くりとお話いただけましたが、「火鉢」と「囲炉裏」については、早足で通
り過ぎ、「農家の 冬の仕事」は、駆け足になってしまいました。
・自己紹介の時に意識しておりました「冬が好き派と嫌い派の討論会」的な
雰囲気は、途中で何処かへ消えておりました。
③今回は、「炬燵」、「湯たんぽ」、「火鉢」、「囲炉裏」など「家族で暖ま
る話題」でしたので、家族のお顔を思い出していただくような質問を意識し
ました。
④準備していた質問の順番とは異なり、皆さんのお話の流れに従って進行して
いった印象でした。
⑤面白いお話がいろいろとあり、楽しかった時を思い出され、笑顔もたくさん
ありましたので、楽しい1時間でした。
⑥反省点の中から
・「進行の様子の(6)」に記しました話題(「ご夫婦で冬山に仕事に行き、
焚き火で焼き芋を作って食べ、お土産に家に持って帰った時は冷たくなって
いた」というお話)につきましては、もっと深くお話いただくことができた
のでは、とも思います。
・例えば、「今から考えて、どう思われますか」(或いは「今のお気持ちの
中でも、とても大切にしておられるのでしょう」)などの問いかけをして
い れば、「懐かしい昔の思い出」について「今は、どう思っておられる
のか」まで、お話していただけたかもしれません。
⑦歌でも冬支度ということで、「お正月」や「雪」を歌っていただきましたが、
季節感がぴったりだったからでしょうか、感情をこめて歌っておられたよう
に思いました。
⑧11月に誕生日を迎えた方がおられたので、施設でバースデイケーキを用意
されました。「ハッピーバースデー」を歌い、美味しくいただきました。
(リーダー: I )
]]>
<実施日と参加者>
実施日:9月中旬
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
実施者:リーダー1名、コ・リーダー3名
参加者:8名(90才台女性4名と80才台女性1名は要介護2~4、80才台男性
1名は要介護3,80才台女性2名)
<参加者への配慮>
・初めての方がおられるので、なるべく沢山発言していただくよう、体調等のご様子
を見ながらサポートする。
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が
発言しやすいようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時が多
くあるようなので、集中していただけるように話題に沿った問いかけを適宜行う。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
<進行予定>
1)皆さんはどのようなときに秋を感じるか、自己紹介を兼ねてお話いただく。
2)「秋の味覚」について、料理法、料理のコツなどについてお話いただく。
3)農家の方には、収穫の時のご苦労話もお聞きする。
<用意した道具>
1)柿、葡萄、椎茸、焼き芋、サンマ(秋刀魚。施設の夕食のものを借用)
<実際の進行>
リーダー:こんにちは、それではお話会を始めましょう。
:今日は、初めて参加された方もおりますので、自己紹介から始めたいと思
います。
:お名前と、ご自分が「秋だなぁー」と感じるのは、どんな時に感じるのか
もお話ください。
:よろしくお願いいたします。
リーダー:では、まず私から。私の名前は磯村です。
:私は、一日が短くなったことです。夕方に早く暗くなると、「ああ、もう
秋だなぁ」と思います。
リーダー:皆さんは、如何ですか?
Aさん :私はAでございます。
:庭に柿がなっている。周り近所の家の柿も赤くなっているのが見える。
:それを見ると秋だなあ、と思います。
Bさん :何も考えてこなかった。
:やっぱり柿の季節。いい色になっている。
:皆さんと、ここに一緒に来ていることが嬉しい。ここから、柿が見える。
:いい色になっている。柿がなる頃、いい時期。
リーダー:秋は良い季節だなというBさんです。
Cさん :どんな時だろうか。全く浮かばない。
:ススキなんか見ると、秋だなと思うね。
Dさん :Dです。
:着るものが変わると、秋だなと思う。
:何を着ていいか、わからない。
:いろいろ、着たり脱いだりして、難しいよ。
Eさん :木の片っ方の半分は葉が落ちて、こちら側は残っている。
:ああ、秋だな、と思う。
リーダー:詩人ですね。
:庭の木をみて、半分は葉が落ちて、こちら側は残っているのを見て、秋だ
な、と思われる。素晴らしいですね。
(「ロマンチック」の声がかかる)
Fさん :菊の花。秋だな、と思う。今はまだ蕾(つぼみ)だから、もう少ししてか
ら咲く。
リーダー:皆さん、素敵ですね。いろいろな秋があるんですね。
:Gさんは、如何ですか。
Gさん :そうねぇー。食べ物が美味しい。
:そうそう。リンゴがなる。
→「食欲の秋ですね。私はさつま芋が大好き。天ぷらや、焼き芋は美味しい」
→「実りの秋。栗が美味しい」などの自己紹介がコ・リーダーから。
リーダー:今日は、秋の味覚がテーマです。
:立派な、お皿を持ってきました。このお皿に、秋の味覚が載ります。
(お皿を2枚テーブルに置く)
リーダー:まず、茸(キノコ)です。
(肉厚のシイタケをテーブルの上に置く)
→「松茸だ」(Aさん)
:松茸は、今日は持ってきておりません。
(「シメジではない」、「シイタケかな」、「身が厚いね」などと皆さんわいわ
いがやがや)
→「昔は、山で採れた」(Aさん)
→「ハツタケ、昔は、近所で沢山採れた」(Fさん)
「キノコ狩りは、山がみななくなった。つぶして家が建った」(Aさん)
「山でキノコ狩りした時、キノコを蹴飛ばしたら、それが食べられるもの
だった」(Aさん)
→「蹴飛ばしたのは、シメジですか?毒茸と似ている」(コ・リーダー③)
→「私もキノコ狩りをした。ハツタケやシメジが採れた」(Bさん)
「炊き込みご飯にした。今は出ないよ。昔は取りに行った」(Bさん)
→「家に松を植えたら、キノコが出てきた。キノコご飯にした」(Dさん)
「アカハラと言うキノコ。小さいキノコだけど、カサはない」(Dさん)
→「むやみやたらに食べると、死んじゃうよ」(Aさん)
→「百姓の育ちなんで、何でもやった」(Eさん)
「キノコ狩りは、何回も行っている」
「こんなキノコを持つと昔を思い出す」
「昔は沢山あった。だいたい、30本、40本採った」
「全部、自分の家で食べた」(Eさん)
→「皆と一緒に、採りに行った。笊(ざる)と鎌(かま)を持って」(Fさ
ん)
「近所のお母さん達と一緒に。電車に乗って」
「沢山採れたけど、上手な人と、下手な人がいる」
「目の前にあっても分からない人がいる。私は、そこにあるよ、と言われ
ても、分からなかった」(Fさん)
:横浜生まれのGさんは、キノコは採りましたか?
→「私はキノコは行かなかった。海岸だから、貝は捕った」
「佃煮にした」(Gさん)
→「家の方は、落花生。キノコはあまり出なかった」(Dさん)
「落花生は手間がかかる」
:落花生は、お店で袋に入っているのしか見たことありませんが、木に成っ
ているんんですか?
→「マルチン使って、植えるの、大変だよ」(Dさん)
「大きくなると、マルチンをとらなくちゃいけない」
「鎌で切って、剥がさねばならない」
「中には、何もしないで植える人もいるけど」(Dさん)
→「カラスが待ってる。植えるの見てる。人がいなくなると、食べに来る。
電信柱に止まって待って見ている」(Aさん)
(皆さん、びっくり)
→「風が強いと、マルチンが飛ばされる」(Dさん)
「飛ばされないように、砂をかけておく」
「でも、風が強いと、飛ばされる}
「手が回らなくて、落花生が大きくなってから、マルチンとるのは、手間
がかかる」(Dさん)
→「家でも落花生を作っていた」(Cさん)
→「もう、茹(ゆ)で落花生が出てるね」(Fさん)
リーダー:ゆで落花生は、作ってましたか?
→「ゆで落花生は、種がちがうよ」(Dさん)
「種が大きい。早く蒔いた」
「早くないと、高く売れない」(Dさん)
→「ゆで落花生は、1週間前に食べたばかり」(Fさん)
→「柔らかくて、美味しいよ」(Dさん)
「親戚の家でつくっていたの持ってきてくれた。美味しかった」(Dさん)
→「食べたことがある。美味しい」(Gさん)
→「この前、冷凍してあるのを食べた」(Hさん)
リーダー:秋の味覚といえば、他に何がありますか?
(「栗」、「林檎」、「柿」など、皆さんわいわいがやがや)
:秋の味覚と言えば、柿ですね。
:実家が奈良にあるので、送ってくれました。
(「きれいな柿だね」、「大きいね」、「こんな大きいのなったら、枝が垂れ
るね」などの発言あり)
→「色がきれいだね。柿を見ると秋だと思うね」(Aさん)
(柿の種類が分からず、「富有柿(ふゆがき)?」、「次郎柿では?」、
「筆柿ではないし」などと、わいわいがやがや)
:「柿食えば、鐘が鳴るなり法隆寺」の柿ということで、奈良は柿が有名で
す。
:奈良で採れたこんな形の柿は、どれも奈良柿と呼んでいましたね。奈良柿
にも、幾つか種類があるのかもしれません。
→「渋柿は、熟(う)ませないと渋い。熟ませると美味しいよ」(Dさん)
→「渋柿は、つるし柿にもなるよ。吊(つ)るし柿も甘いよ」
「皮を剥(む)いて、軒下に吊るした」(Dさん)
:皆さんの家の庭には、柿の木はありましたか?
→「5本くらいあった。みんな渋柿だった」(Bさん)
「渋いので、甘くして食べた」(Bさん)
→「柿の木はあったよ。柿は大好きだから」(Aさん)
→「何本もあった。今年は、沢山なってます。今年は当たり年」(Eさん)
→「干し柿を沢山作った。私は手伝わない。店の者が作った」
「食べるのは、大好き。柿、リンゴ。果物が大好き」(Gさん)
リーダー:海でとれる秋の魚は何ですか?
(「サンマ(秋刀魚)」という皆さんの答え)
(施設からお借りした実物の秋刀魚をテーブルに置く)
→「最近は生のサンマは見ないからね。焼いてあるのばっかり」(Dさん)
→「サンマは開きの方が美味しい」(Fさん)
:今日の夕ご飯は、このサンマを焼いて食べるそうです。
:このサンマは、漢字で書くと、どんな文字ですか?
(「秋刀魚」と、秋の、刀の、魚、とボードに書く)
:秋に獲れる、銀色の刀のような、魚、と書きます。
:サンマは、どう食べますか?
→「塩焼き」(Aさん)
:腸わた(はらわた)は、どうしてました?
→「そのまま、はらわたは美味しい」(Aさん)
→「サンマは、炭で焼いた。サンマの油が落ちて、煙が凄い」(Eさん)
→「サンマは開いて、干して食べると美味しいよ」(Gさん)
:何日くらい干しましたか?
→「半日くらいかな。あまり干すと堅くなるから」(Gさん)
→「一夜干しかな。一夜干しは美味しいですね」(コ・リーダー②)
(「生の方が美味しい」、「煮て食べるのも、美味しい」、「サンマの蒲焼きも
美味しいですね」など、わいわいがやがや)
→「サンマは嫌い。はらわたが苦くて。もう、サンマはいい」(Fさん)
「昨日、スーパーに行ったら、美味しそうなサンマが並んでいたけど、買っ
て食べようとまでは思わなかった」
「キンキの方が好きだけど、値段が高い」(Fさん)
リーダー:皆さん、サンマは焦がさないで焼けましたか?
→「七輪(しちりん)で、焼いたよ」(Dさん)
「七輪だと、真っ黒にはならない」
「七輪は、下の窓を閉めればいい。火が弱くなったら、窓を開けて、空気
を入れる。焦げないよ」(Dさん)
:上手に焼いたのですね。
→「上手じゃないけど、真っ黒にはしなかった」
「サンマは真っ黒になりやすい」(Dさん)
→「ひっくり返すのが大変。箸に肉がくっ付いてしまって。皮も」(コ・リ
ーダー③)
→「網を熱くしておけば、くっ付かないよ」(Dさん)
→「自分も上手には焼いたけど、主人が上手に焼いた。焦げない」(Dさん)
「消し炭を使って焼くと、火が強くならないので焦げない。よく焼ける」
(Dさん)
→「昔はサンマは安くて、バケツを持って買いに行った記憶がありますが、
今は、1匹、2匹とパッケージに入って、値段も高いですね」(コ・リ
ーダー③)
→「サンマがいっぱい獲れていた頃は、お寺にサンマが奉納されることもあ
った」(Fさん)
「それを、みんなに分けてくれた」(Fさん)
→「サンマは、1本が10円だった」(Fさん)
:大阪は、サンマは1匹、2匹ずつ買ったかな。
:関西では、サンマは関東ほど食べない感じだった。
リーダー:栗も秋ですね。
→「栗は美味しいね。今は、山栗がないからね」(Fさん)
「山栗、あれが一番美味しい」(Hさん)
→「家にあったから、山栗は採らなかった」(Dさん)
「木が大きくなって、邪魔になって、切っちゃった」
「今は、せがれが、また栗の木を植えた」(Dさん)
コ・リーダー②:Gさんは、山形は栗も美味しいそうです。
→「山形は、リンゴも美味しい。お米も美味しい」(Gさん)
リーダー:このブドウは、何ですか。
:巨峰かな。種があるようです。
→「種無しの方がいいよ」(Aさん)
(皆さん、手に持って「凄い重い」、「高かった」、「服の色と同じだね」、
「大きいね」など、わいわいがやがや)
→「ブドウは食べるのが面倒なので、嫌」(Fさん)
リーダー:秋は、サツマイモの採れる季節ですね。
→「作ったことあるよ」(Dさん)
「でもね、さつま芋は、まっすぐでないと、A品で売れない」
「曲がるとB品になってしまう。B品は安い」
「さつま芋は、作るの難しいよ」(Dさん)
→「皆、さつま芋は作っていた」(Eさん)
「そんなの売れないよ。食べては美味しいけど、見た目がだめだから、
売れないよ。味は同じだけど」
「赤土の水はけのいいところに作ると、まっすぐに育つ」
「これ以上大きくすると、美味しくない」(Eさん)
リーダー:さつま芋は、どうやって食べてましたか?
→「ふかして食べた」(Eさん)
→「焼き芋」(Gさん)
(焼き芋を、テーブルに置く。皆さん、焼き芋だとすぐ分かる)
(「美味しそうだね」、「これは凄い」などわいわいがやがや)
:石焼き芋だから、中は柔らかいと思います。
:後で食べますから、今は匂いだけ。
→「私は匂いは分からないから」(Dさん)
→「美味しいと思います」(Eさん)
リーダー:では、そろそろ秋の歌を歌って、この焼き芋を食べましょう。
:では「紅葉」を歌いましょう。
:歌姫のAさん、お願いします。
(Aさんは「一人じゃ歌えないよ」と言いながら、歌い始める)
(皆も一緒に「秋の夕日に、照る山もみじ・・・」と歌う)
→「紅葉の葉は、天ぷらにして、食べる」(Fさん)
→「えー、紅葉の葉を食べる?」(コ・リーダー③)
→「そうそう、きれい。白いお料理の上に載せると、きれい」(コ・リーダー①)
→「紅葉の天ぷら。売っているよ」(Fさん)
→「味は、あまりしないが、料理がきれいに見える」(コ・リーダー①)
リーダー:それでは、秋の味覚を食べましょう。
:お茶の時間です。
<座直り>
・お茶を飲み、さつま芋とブドウを食べました。いろいろなお話もありました。
「これだけ美味しいものがあると、秋は太るね」
「サンマの開き、みりん干しも美味しい」
「さつま芋の天ぷらは美味しい」
「さつま芋は、ご飯に入れて炊いても美味しい」
「昔は芋ご飯をやった。お米がなかったから。戦争中は芋を入れて炊いた」
「ご飯に混ぜると言っても、ご飯が少なく、芋ばっかり。芋ご飯」
「栗ご飯は美味しい。でも作るの大変」
「栗ご飯は作りたくない、手間が大変だから」
<回想法を振り返って>
・初めて参加されたEさんは、最初は緊張された様子でしたが、皆さんのお話を聞い
ているうちに、ご自分でも発言されるようになりました。
・隣の方とも馴染んでおられたので、次回もこの席順が良いと思いました。
・秋の味覚が沢山あるとはいえ、道具が多過ぎた、というコ・リーダーから指摘があ
りました。
・用意する道具は柿だけでも良かったのかもしれませんが、実際に手に持っていただ
いたときの皆さんの表情を思うと、あれもこれも実物に触れて欲しいという気持ち
になってしまいます。(反省)
(リーダー 磯村)
]]><実際の進行>
リーダー:先月のこのお話会で、稲刈りのお話をしました。
:それから1ヶ月、刈り入れた稲は、美味しい新米になりました。
:今日は、その刈り入れた後のお話をしていただきます。
:これは新米で炊きました。
(白いご飯を盛ったお茶椀を台所から持ってくる)
→「いい匂い」、「ご飯だ」など少しわいわいがやがや。
:そしてこれは、今年の新しく採れたお米を精米しました。
(小さなビニール袋に入れた「真っ白いお米」をテーブルの上に置く)
:そしてこちらは、籾殻(もみがら)を取った玄米(げんまい)です。
:この玄米は、このまま食べて、美味しいのですか?
→「玄米では食べたことない」(Aさん)
→「私もない」(Bさん)
(農家だったAさんとBさんは「玄米では食べたことがない」とのこと)
:Gさんは、いかがですか?
→「あります」(と、きっぱりと答える)
「私、食べました」(Gさん)
:どんな味ですか?
→「食べましたが、美味しくありません」
「白米とは、全然味が違う」
「ものは試しだから食べてみましたが、美味しくはありません」(Gさん)
Cさん :これを、瓶の中に入れて、こうして搗(つ)いた。
(玄米を手に取ってみたDさんは、搗く真似をする)
(思わず、身振り、手振り、お話に熱が入りました)
→「そうそう、私もやった」(Eさん)
→「昔は、こんなに白くはなかった。精米しても今みたいに真っ白にはなら
ない」(Aさん)
コ・リーダー①:私の家の電気釜のメニューに「玄米」というボタンがあるから、今は、
玄米を炊いて食べてる人も、何処かにいるのかも?
→「七分搗(つ)き、とか五分搗きとか、精米の仕方もいろいろあるようで
すね」(リーダー)
(玄米を手に持って、懐かしそうです)
:健康にいい。脚気(かっけ)にならないと聞いて食べたことがある。
→「実を言うと、私は玄米を食べている。白米に少しだけ混ぜると味は
白米だけで炊いた時と変わらない」(リーダー)
→「玄米だけでは食べられない。パサパサして美味しくない。(コ・リーダー③)
→「私は白米だ」(Cさん)
→「家で精米できるので、玄米は炊いたことないな」(Aさん)
→「白米を食べると、玄米は食べられません」
「農家は美味しくないのは食べない。味が悪い、皆さん食べない」(Gさ
ん)
→「私も試しには食べたけど、まずかった」(Cさん)
リーダー:皆さん、一回は試しに食べるけど、やっぱりおいしくないから、食べない
んだ。
:玄米を精米すると、出てくる粉が糠(ぬか)ですね。
→「そうそう、精米すると糠(ぬか)がとれる。沢庵を漬ける」(Aさん)
→「糠漬け、キュウリでも、茄子でも」(Eさん)
:もったいなくない。全部使える
→「糠は、畑の肥料や家畜の餌にする」(Bさん)
→「五分搗(つ)きや七分搗きなど、健康に良いようですが、美味しくはな
いですね。たくさん食べれないので、食べ過ぎ注意の人には良いのかもし
れませんね」(コ・リーダー①)
→「昔のお米は、精米しても今みたいに真っ白でなかった」(Aさん)
:そうですか。精米といっても、今みたいではなく、すこし糠がのこってい
たんですね。
:これ、黒米と赤米です。
→「胡麻(ごま)かな、と思った」(Cさん)
:胡麻ではありません。古代米です。
:これを入れると、白米が赤くなります。
→「初めて見た」、「見たことないよ」などの発言あり。
(Aさんは、白い紙の上に、赤米、黒米、白米を並べて色を点検)
:これだけでは炊かない。お米に少し混ぜて炊きます。
(「そうなんだ」、「でもこんな黒いお米は、嫌だよ」など、あれこれと感想
を言いながら、古代米を手に取りる)
→「古代米というから、昔のお米だ」(Cさん)
:これは、赤米(あかまい)とも言うようです。
→「この黒米は食べたくない」(Aさん)
→「これは外米(がいまい)ではないの?」(Gさん)
:赤米だけ炊くと、もちもちして、ぱさぱさではないです。
:新しく採れた新米は、農家ではどうやって保存するのですか。
:来年の新米がとれるまで、何表もお米を保存しておくのは、どうしてまし
たか。
→「籾殻(もみがら)がついていては保存できない。このような玄米にして
保存する」(Gさんは、玄米の入った袋を持ってきっぱりと)
→「とれたお米は、昔は手で回して、穂だけ取ったよ」
「私の親は、下に落ちた籾(もみ)を足で踏んで、籾殻(もみがら)を
足踏みでやっていた」(Aさん)
→「今みたいに機械でないんだ」(コ・リーダー①)
→「足踏みはやったよ。家でも足踏みで」(Aさん)
→「機械でやると、籾(もみ)になって出てくるので、今では、籾取りはし
ないが、昔は、そうはいかない」(Gさん)
→「籾にして、莚(むしろ)を敷いて、そこに干したんだよ。乾燥しないと
売れない」(Aさん)
→「今は、トラクターで稲を刈ると、籾で出てくる」
「次に乾燥機に入れて乾燥させ、それから精米して白米にする」
「刈ったばかりの稲は乾燥しないと。精米するのはそれから」(Aさん)
→「機械は便利で、乾燥機も必要だけど、トラクターも乾燥機も大きいから
入れるのが大変なの」
「大きな作業場を作った。入り口が5間(ごけん)で、大きかったので、
トラクターでも乾燥機でも、なんでも入った」(Aさん)
(5間(ごけん)という長さは、日本建築の柱と柱の間を「間(けん)」
といい、1間は6尺(約1.8メートル)なので約9メートルに相当)
リーダー:新米は美味しいですね。お米にも、美味しいお米と、そうでもないものと、
どうしてなんですか。
:スーパーでも、お米の値段が違いますが、どうしてですか。
Aさん :いいのと悪いのと、同じ田んぼでも、美味しいのと、美味しくないのと、
違うことがある。
:良いのは一番手。手回しで籾をとる時、一番は手前に落ちる。手前は一番。
遠くに落ちるのは二番。
:二番も食べられる。もっと軽いのは、遠くへ飛んでいく。
:二番は粉にして、団子や、スイトンにした。
→「美味しいのと、美味しくないのとでは、炊いてみればわかります」(G
さんの発言に、大笑いに)
(精米後の白いお米の「良し悪しの見分け方」について、不明のまま、次の
話題に)
リーダー:電気釜のなかった頃、ご飯を炊くとき、美味しい炊き方はどうしてました。
→「昔はガスで炊いていた。今は電気釜」(Cさん)
→「お釜で炊いていた」(Bさん)
:お釜は、薪(まき)で炊いていたのですか?
→「薪は使わない。枝を落として、小屋に置いておいて、それを使った」(A
さん)
→「薪はね、焦げちゃう」
(皆さん「薪で炊くと焦げる」というお話に「知らなかった」とびっくり)
→「釜もこげる。小枝で炊く」
「薪は火が強いと、焦げちゃう。小枝で炊く」
「薪なら、枝をとって、細く割って、小屋に置いておく」(Aさん)
→「私、薪割りは上手だった」(Dさん)
→「私もやったよ」(Eさん)
→「薪割り、やったことありますよ」(Gさん)
→「女だってやっているよ。お得意」(Dさん)
「のこぎりで切って、薪割りで」
「鉈(なた)ではないよ。薪割りでやる」
「こんな太いのが、パーンとわれるからね。得意だった」
「なんということはなかった」(Dさん)
コ・リーダー①:皆さん、Aさんは、発動機で薪を切ったそうです。ご主人と呼吸が合わ
ないと、ベルトが外れてしまうそうです。もう少し詳しく、皆さんにお話
してください。
Aさん :のこぎりで切るの大変だから、発動機を貰ってきた。
:私が裏側を持って、発動機で切った。
:呼吸が合わないと、ベルトがすぐ外れちゃう。
:私が裏側を持って、主人が手前を持って、でもすぐ外れちゃう。
:もっとしっかり持って、と言われた。
→「呼吸が合わないと、叱られたそうです」(コ・リーダー①)
→「いい思い出ですね」、「いいわね」などの発言あり。
Aさん :「私は小学校5年くらいから、ご飯炊きやった」
「妹はやらなかった」
「私は遊ばなかった。妹は遊びに行ったが」
「親は畑仕事だから、毎日、私がやった。夕飯炊かなくちゃ」
→「長女なんだ。長女は大変だったね」(Eさん)
リーダー:皆さん、ご飯炊きはされましたか?
→「私は、東京だったから、ご飯は炊かなかったが、家の手伝いはした」
「東京は、ガスで炊いてた」(Cさん)
→「そうか、東京はガスがあったんだ」、「東京では、小枝を拾うなんてで
きない」、「燃やすものがない。他のお家の塀の板をはがして燃やすこと
はできない」などの発言あり。
→「私もやったよ。小さい時からご飯を炊いてた」(Bさん)
→「女は、ご飯を炊くことも、しつけだった」(Eさん)
リーダー:薪で炊くと、ご飯のおこげができませんでしたか?
→「おこげに、お醤油かけると美味しい」(Dさん)
→「わざと焦がして、おこげを作った」
「今は電気釜には、わざわざ、おこげのメニューがありますねえ」(コ・
リーダー②)
→「昔は上手に炊こうと思っても、おこげができていた」
「お釜も、煤(すす)がつくので、それを取るのが大変」(Eさん)
(「新米のご飯」に関するお話は、自然と「お米が食べられなかった
時代」のお話に)
リーダー:皆さん、ここにありますご飯は、今年の新米で炊いたご飯です。
:皆さん、ご自分で作った新米は美味しかったですか?
→「戦争中は、お米は供出させられていた」(Aさん)
→「配給米だった。麦を混ぜていた」
「大麦は、暖かい時に食べないと、固くなる」(Cさん)
→「こっちは配給米だけ。それも、お米ではなく、粉だからね」(Dさん)
→「えー、粉ですか?、配給米なのにお米でなく」(コ・リーダー①)
→「粉だから、団子にして食べた」
「コーリャン、トウモロコシ、芋の粉しか配給がない。お米は無いので、
粉を団子にして食べた」(Dさん)
→「芋の粉は、もう一回食べてみたい」(Eさん)
→「美味しくなかった。食べなきゃ死んじゃうので」(Dさん)
「私は食べたが、子供らは美味しくないと、あまり食べなかった」(Dさ
ん)
→「蕎麦(そば)も作ったよ、石臼があったから、蕎麦を挽(ひ)いて食べ
てた。親が作っていた」(Aさん9
→「蕎麦ならいいよね。コウリャンだからね」(Dさん)
→「代用食は良く作った」(Aさん)
:「コーリャンは、何の粉ですか?
→「満州から来た。何だか分からないで、配給だから食べていた」(Dさん)
→「団子にして、ご飯だよ、と呼んでも、子供らは誰もこない」
「あたし一人で食べてた」
「何処で食べてえたか知らないけど、子供らはこない」(Dさん)
→「コーリャンは知らない」(Gさん)
(「コーリャン」とは、戦時中に中国で採れたトウモロコシのようです)
リーダー:配給には、少しはお米もあったのですか?
→「ひとつも無い。サトイモや、コーリャンの粉ばかり」(Dさん)
→「粉ばかりでも、今もそんなにお元気なんですね」(コ・リーダー②)
→「こんな、大きな沖縄の芋が配給に」(Dさん、手振りで大きく)
→「闇米(やみまい)を買いに行った家もあった」(Eさん)
「闇米は、高くて手が出ない」
「お金のある家は、闇米。お金がないと買えない」(Eさん)
:戦争中は、闇米を売ったりしましたか?
(当時の農家では、国の定めた配給のルートを通さずに、直接買いに来た
人に、お米を売ることもあったようです。「闇米」と通称しました)
→「着物を持って来たり、帯を持って来たりして、米や野菜と交換していた。
家には娘が二人いるから、着物なら2枚と交換する、と言っていた人も
いた」(Bさん)
→「東京では、食べるのが大変なので、田舎へ帰ったりしていた。良く生き
のびたと思う」(Cさん)
リーダー:皆さん、大変な思いをしてお米を作ったですね。
:今は、こんなに美味しいお米が食べられるようになりました。
→「私は、今でも田んぼがあればやりたい」(Eさん)
→「今、田んぼは空いてるけど、作る人がいないみたいですね」(コ・リー
ダー①)
→「今は買ってきた方が楽。作るのは大変」(Aさん)
→「夫の実家では山田錦を作っていた」(Fさん)
:農家の皆さん、頑張って下さって、ありがとうございました。
:では、農家のお皆さん、Aさん、Bさん、Gさん、ありがとうございまし
た。
Bさん :今はもう、お米作りはできないけど、感謝してもらってありがとう。
リーダー:では、そろそろお茶のお時間にいたしましょう。
(終了後も、お茶を飲みながら、新米とご飯の美味しい食べ方について、いろいろと
お話がありましたので記します)
・「まぜご飯が一番美味しい」
(まぜご飯は「具を入れてから炊く」のか、「炊いてから入れる」のかが話題に)
→「私は具を入れて炊いたことがない。煮ておいて、炊きあがったご飯に混ぜる」
(Eさん)
→「それでまぜご飯というのよねえ」(コ・リーダー②)
→「一緒に炊くのは炊きこみご飯」(Eさん)
→「釜に蒸籠(せいろ)を載せて、おこわを作り、それに具を混ぜる」(Eさん)
(「五目御飯の名前通りだ」、「あれが好き」、など、皆さんわいわいがやがや)
(まぜご飯の具には、しいたけ、ごぼう、鶏肉、いろいろ、それぞれのご家庭での好
みがあるようです)
・「ニンニクを擦って、それに醤油をかけて、ご飯の上にべタッと塗って、それで食
べると美味しい」(Dさん)
→「そのニンニクは、生のニンニク?」(コ・リーダー①)
→「そう、生のまま。これが元気のもと」(Dさん)
(「苦くない?」の質問に「苦くない」)
→「カツオの刺身を食べるときは美味しいけど、ご飯は初めて」(コ・リーダー①)
→「ニンニクを擦って、その匂いがいいんですよ」(Dさん)
(皆さん、びっくり)
→「自分のお味噌汁が一番と、子供たちがいってくれた」(Bさん)
→「そんなこと言ってくれると、嬉しい」(Bさん)
→「次はBさんに味噌汁を作って貰おう」「美味しいの作ってね」などの発言あり。
・「まぜご飯も、たまにはいいけど、飽きちゃうからね」(Aさん)
→「やっぱり白いご飯に梅干しのせて」(Aさん)
→「私、ナットウご飯、大好き」(コ・リーダー③)
→「麦ご飯に納豆が好き」(Eさん)
→「麦ご飯、美味しそう」(コ・リーダー③)
(美味しい「まぜご飯」のお話は、皆さん笑顔に)
・「今の時期なら、栗ご飯が食べたい。美味しい栗で」(コ・リーダー①)
→「栗ご飯、私は栗ご飯には反対。下こしらえが大変」(Dさん)
「女は下こしらえが大変。男どもが賛成なだけ」(Dさん)
→「栗ご飯は嫌だよ。栗は硬いから、栗は剥(む)くのが大変」(Aさん)
→「それは女がやらなきゃ」(Eさん)
→「今は剥いてあるの売ってるけど、自分で作るのは大変」(コ・リーダー②)
(皆さん「栗を剥(む)くのは大変」ということで一致)
・「栗ご飯は、塩をちょっと入れる」(Eさん)
→「白米だけ?もち米はちょっといれるの?」(リーダー)
→「入れない。白米だけ」(Aさん)
・「栗を、黄色く綺麗に剥いて。でも炊きあがると、黒ずんじゃう。どうしてそうな
るのか分からない?」(Aさん)
→「それは失敗したんだ」(Eさん)
→「どうして失敗したのかな?」(Aさん)
→「剥き方。アクが残ると黒くなる」(Eさん)
・「栗おこわは作るが、栗ご飯はつくらない。栗おこわを作って、お彼岸になるとお
供えする」(Eさん)
→「やっぱり、おこわね」(Bさん)
<座直り>
・お茶を飲みながらの雑談の中でも、上記しましたように、ご飯に関する話題がたく
さんありました。
・また、横浜ご出身の方のお話も印象に残りましたので、その時の様子とお話を記し
ます。
→「皆さん、Fさんが一言お話したいそうですので、お耳をお貸しください」
「Fさん、どうぞ」(コ・リーダー①)
→「ひとこと言いたい。千葉県の人は親切。父がよく言っていた」
「震災のとき、千葉県の人から、お米や野菜や、タダで援助してもらった」
(「震災」とは「関東大震災」のことようです)
→「背を向けて寝られない、そうよく言っていた」
「大地震のあとに、千葉県に来たら、農家の方が、みんな野菜だとか、お米だとか、
タダでくれた、と父が言っていた。お魚もタダでくれた」
「横浜を代表して、お礼を言いたい。愛情がある。お父さんが言っていた」
「愛情のある人が多い」(Fさん)
・「そう言っていただくと、私は千葉県出身だから、嬉しいですね」(リーダー)
→「此処にいる人、いい人ばかりだから、Fさんのお父さんの言っていること、
よく分かります」(コ・リーダー②)
→「私は、大阪出身だから、お礼にはおよびません」(コ・リーダー③)
→「大阪出身でも、千葉県の空気を吸うと、いい人になるんだ」(コ・リーダー②)
(笑い)
→「良かったですね、Fさんのお気持ちを伝えられて」(リーダー)
→「千葉県は、海には魚、田んぼでお米、畑で野菜、牧場でお肉、食べ物が全部そろ
った恵まれた土地なんですって」(コ・リーダー②)
(「千葉県はいいところだ、と言う結論?に)
・「千葉県を代表して、Fさんにお礼を言いたい。千葉県を褒めていただいてありが
とうございました」(リーダー)
<回想法を振り返って>
1)前月(9月)の回想法「稲刈り」のテーマが「お米を作る」お話でしたので、
その余韻が残っていると思い「新米を食べる」お話をしていただく予定でしたが、
「美味しい新米」のお話よりも、戦中戦後の頃の「ご飯が食べられないご苦労」に
ついての話題が多かった印象がありました。
2)お茶を飲みながらの雑談中に、突然、横浜生まれの方から「千葉県人への感謝」
の言葉が話されましたが、記憶が鮮明によみがえってきた様子でした。
3)「ご飯」という言葉には、「お茶椀の中のご飯」だけでなく「食べること全部」
と生活全般の思い出がつながっていることを感じました。
今の時代、スーパーにはいろんな食材が豊富にありますので、私たちの日頃の生活
感覚からは予想できないお話をたくさん聞くことができました。勉強になりました。
(リーダー:大吉)
]]><実施日と参加者>
実施日:9月上旬
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
実施者:リーダー1名、コ・リーダー3名
参加者:7名(90才台女性5名と80才台男性1名は要介護2~4、80才台女性
1名)
研修生:2名(専門学校の1年生)
<参加者への配慮>
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時が多
いようなので、集中していただけるように話題に沿った問いかけを適宜行う。
・着座を続けることが苦手な方は、ご様子を見ながらが声かけを行い、時には発言を
うながし、楽しんで参加していただけるようにサポートする。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
<進行予定>
1)実際に刈った稲束(いねたば)を手に取っていただき、リーダーの稲刈り初体験
のお話をして、稲刈りの季節を実感していただく。
2)稲刈りをしてお米を「作る方」と、お米は作らず買って「食べる方」に分かれて、
それぞれの立場から、お話をしていただく。
<用意した道具>
1)刈り取った稲束を2つ。
2)稲刈りの写真(リーダーが参加した時の写真)
<実際の進行>
リーダー:では、お話会を始めたいと思います。よろしくお願いいたします。
:今日は稲刈りのお話です。その稲刈りに、私が行ってきました。
:数日前のことです。人生で初めての稲刈りです。
→「稲刈りに行ったんだ。そーなんだ」(Aさん)
→「もう稲刈りが始まっているの。懐かしい」(Dさん)
→「今は早くなって、8月の末に稲刈りするところが多い」(Eさん)
などの発言あり。
リーダー:こんな大きな田んぼで、稲刈りしてきました。
(写真を、回覧して、皆さんに見ていただく)
→「おだがけ、だ」(農家の方だけでなく、皆さん懐かしそうに写真に見入る)
:Bさんも、これやったでしょう。
→「うん、やったよ」(Bさん)
→「私も、稲刈りはやりましたよ」(Gさん)
(ひとしきり、写真を回覧しながら、皆さんでわいわいがやがや)
リーダー:質問です。お米を作っていた方(かた)は、手をあげてください。
(ご自分でお米を作っていた方だけでなく、お父さんが作っていたので
挙手された方もおり、皆さん稲刈りが身近な仕事でした)
:では、「買って食べていた方」は、手をあげてください。
(参加者では2名の方が挙手されたが、お一人はご自分は農業ではないが、
お父さんはお米を作っていた)
(リーダー、コ・リーダー、研修生は、全員が「食べる人」に手をあげる)
リーダー:この写真は、何をしているんですか?
→「おだがけ、田んぼに、おだあしを組んで、そこに稲をかける」
「毎年、こんな作業をした」、「今では、全部機械でやってしまう」(G
さん)
→「昔はよく見たけど、今は見ないね」(Cさん)などの発言あり。
リーダー:この「おだがけ」は、何日くらい干しているのですか?
→「お天気が良ければ10日から2週間くらい」(Aさん)
:Bさん、雨降ってきたら、どうするのですか?
→「そのまま。お天気になると乾くので」(Bさん)
→「雨が降っても、ぶら下がっているので、水は流れてしまう」(Gさん)
→「また、すぐ乾く」(Eさん)
(おだがけについては、次のようなお話がありました)
→「今は機械だから、こんなことはしない」(Gさん)
→「今の機械は、刈ったら籾(もみ)になって出てくる」
「それを農協で乾燥して、玄米にしてもらう。楽になった」(Aさん)
リーダー:私の初めての稲刈りの成果です。
(稲束を2つ、テーブルに置く)
:1つは自分で作りました。
:もう一つは、農家の方が「一つでは少ない」と分けてくれました。
(稲束を手に取っていただく。皆さん、稲束の感触を楽しんでおられる
様子)
→「凄いね」、「重い」、「これなら最高」などの発言あり。
→「立派な稲穂だ。これは立派、このくらい実れば合格](Gさん)
→「今の稲刈りは、皆で助け合うより機械でやってしまう」(Gさん)
→「おだがけ、今はもうないと思っていた」(Fさん)
→「稲穂が垂れている、実るほど頭を垂れる稲穂かな」(コ・リーダー①
リーダー:写真のこの人、私です。「おだがけ」してるところです。
→皆さん、びっくり。「えー、そうなの」、「分からないね」などの発言あり。
(日よけ帽をかぶり後ろ姿なので「若い娘さん」と言われてもよいような写真
なので、「これ私」と言われて、皆さんびっくり)
リーダー:稲を刈るやり方、どうやるんでした?
→「稲を手でつかんで、鎌で刈る。刈っ
った稲をぐるっと回す」(Aさん)
「3本くらい藁(わら)をまとめて、
刈った稲をぐるっと回す」
(Aさんは、稲刈りの写真を見ながら)
→「こんな風に、藁(わら)を沢山、
腰にぶら下げて、稲刈りした」
「いちいち、藁を取りに戻っていら
れない」
(Aさんの言う通りに、リーダーが
手振りで、腰に挟んだ藁(わら)か
ら、3本くらい抜いて、刈った稲を
回すしぐさをやってみる)
→「もっと、大きく回して」(Aさん)
(座ったままでは、大きく回す動作が
やりづらいので、リーダーは立ち上
がり、何度かトライすると、Aさん
は「そんな感じでOK」という表情
なられて)
→「そうしたら、こうして、巻いた藁の
下に、その藁を挟むだけ」
「そうすれば、いちいち結ばないでも
よいので、簡単」(Aさん)
:Cさん、やったことありますか?
→「私は無いけど、お父さんが稲刈りしていた」(Cさん)
(Gさんが「私はそれより大きいのを作った」と立ち上がる)
(Gさんは、身振りを交えて稲束作りを実演してくださった)
Gさん :昔は、「おーい、どこ行くんだ?」、「稲刈だ」と鎌一丁(いっちょう)
持っていった。
:鎌一丁でも「1反5畝(せ)ならわけあるまい」と言っていた。
:今は、そういうことはしない。機械でやってしまう。
:小さな田んぼは、機械が入らないので、今でも鎌で刈っている。
リーダー:やってみて、しみじみ大変だなー、と思いました。
:ご飯粒を残したら、罰が当たる。
:Bさん、稲刈りは大変だったでしょう?
→「大変だったけど、楽しかった」(Bさん)
:嫌ではなかったですか?
→「嫌じゃなかった」
:何が大変だったのですか?
→「腰を曲げていることが大変だった」(Bさん)
リーダー:皆さん、Bさんは、稲刈りは大変だったけど、楽しかったんですって。
:腰を曲げることが大変だったんですって。
→「私はやったことないけど、お父さん(旦那さん)の実家が農家だった」
(Fさん)
Aさん :機械の入る浅い田だけでなく、深い田もある。
:泥が深くて、足袋や素足では入れないから、カンジキを 履いて田に入る。
:カンジキも泥の中に入ってしまうと、鎌で引っ張ってとった。
(と楽しそうに話される)
→「泥に取られるの、それは大変だ」と皆さんびっくり。
:今は、農地整理したので、カンジキはかなくても田んぼに入れるが、以前
は大変だった。
(皆さんは、Aさんのお話を熱心に聞く)
:毎年、カンジキの板の鼻緒を新しく付ける。
:下駄(げた)のように、藁(わら)をなって、鼻緒を付ける。
:毎年、編んでいた。
:清水が多くて、暗渠(あんきょ)作ったが、川に近いと、水は流れない。
:今は、泥田を作っている人はいない。
⇑(Aさんのカンジキは、木の板に穴をあけ、下駄のように鼻緒を
付けて履いたとのこと。「毎年、藁(わら)を綯って(なって)
新しい鼻緒を作っていた」と懐かしそうに話された)
リーダー:大変なんですね。お米を買う方、この苦労は分かりますか。
→「家でも深田があった。カンジキも作った」(Eさん)
リーダー:私のおだがけした稲は、九月の終わり頃に、お米なってまいります。
:おだがけの後は、どうするんですか?
→「おだがけをとるのは簡単」(Gさん)
→「脱穀は機械、親たちは、足で踏んでやっていた。自分の時は機械なので
楽だった。親は大変だった」
「ぺちゃんこな穂は、実が入っていないので、脱穀で飛んで行ってしまう」
(Aさん)
:機械が入った時は、どんな気持ちでしたか?
→「そりゃ、嬉しかったよ」(Aさん)
:Bさんは、いかがでしたか?
→「やっぱり、機械が入った時は、嬉しかった」(Bさん)
→「今は、籾(もみ)になって出てくる。機械なら、二町歩でも簡単」
「かね足(機械のこと)を入れるときは、やつ(谷)が狭いと、かね足が
入らない」(Gさん)
(「かね足」とは機械のこと、「やつ」は谷と書いて、田んぼのある低湿地の
呼称のようです)
リーダー:その機械は、買うと高いのですか?
→「高い、新品は無理なので、中古の程度の良いのを知人の紹介で買った。
高かった」(Aさん)
:新しい機械なら、家を買うくらいの値段ですか?
→「せがれが、買った。子供が買ってくれたが、家ほどではないけど、
高かった」(Aさん)
:息子さんが買われたんですか。それは良かったですね。
→「私の家も息子が買った」(Bさん)
→「息子ではなく、自分で買った。立派な機械だった」(Gさん)
(今のような便利なローンがないので「お金を貯めて買われた」とのこと。
「それだけ貯めるのは大変だった」と、皆さんのご苦労話も)
リーダー:農家の方は、頑張ってこられたんですね。Dさんはどうお思われますか?
→「食べる方は、お米を買うのに苦労した」(Dさん)
:そうか、食べる方も、昔は大変だったんだ。
→「お金がないから、お米とか、野菜とか、帳面に付けておいて、月の最後
にまとめて払ったり」(コ・リーダー③)
→「掛売(かけうり)してくれた。お米は払っていた」(Eさん)
→「付けておいて。晦日に」(Cさん)
→「米穀通帳(べいこくつうちょう)があった」(Dさん)
→「お米は配給だった。味噌は自分で作った」(Cさん)
リーダー:買う方も苦労。作る方も大変。お米がなければおにぎりも食べられない。
:今の学生さんは、稲刈りはしたことありますか?
→「ありません。稲穂は見たことあります」(2名の研修生)
リーダー:稲刈りの後、農家の方から「一升瓶に入れて、こうやって搗(つ)いて」
と言われたのですが、やったことありますか?
(一升瓶を持っているような格好で、搗(つ)く真似をする)
→「モミのままでは、一升瓶ではいくらも入らない、殻をとって玄米にして
から搗(つ)く」(Aさん)
:この稲束で、1合くらいはとれるといわれた。
→「一升瓶では口が狭いので、、籾と一緒では、なかなか出ないよ」(Eさん)
→「玄米なら、搗(つ)いたことある」(Dさん)
リーダー:初めて新米が採れた時は、何かお祝いをしていましたか?
→「新米の採れたお祝いはしなかった。特に何かの行事はしないが、仏様に
はあげた」
「新米はすぐには食べないから。古米(こまい)から食べた」(Aさん)
→「そこの家の昔からのしきたりで、新米はすぐに食べなかった。古米から
食べた」(Bさん)
→「お米は買って普通に食べていた。新米も、古米も変わらない。古米の
方がご飯に炊くと増える」(Dさん)
→「新米は、水加減を少なくする。少なくしないと柔らかくなっちゃう」
「古米は水を少し多めにいれると、新米のように美味しくなる」(Aさん)
→「新米のまぜご飯は美味しい」(Fさん)
:Fさんは、まぜご飯だそうです。皆さんはいかがですか?
(皆さん、わいわいがやがや、ご自分の好みを話される)
リーダー:それでは、時間になりましたので、お米を作ってこられた方にお礼を言っ
てから、お茶にしましょう。
:「作り手の皆さん、ありがとうございました。ごくろう様でした」
(皆さん、唱和される)
:では、今度は、作り手の方から、お礼を言ってください。
:お米を買っていただきありがとうございました。
(皆さん、唱和される)
:美味しく食べてください。美味しいお米をつくります。
(皆さん、唱和される)
リーダー:これからも、美味しいご飯を食べて、よく寝て、元気に頑張りましょう。
では、お茶の時間です。
(終了後、お茶を飲みながらの雑談の中でも、稲刈りに関する話題がありましたので
記します)
・「他の人が、10束(たば)を1つにまとめて、それを2つ担ぎあげているのに、
自分は力がないから1つしか担げないので、自分だけは12束にして、少しでも
多く担いだ」(Aさん)
→皆さんで「Aさんは偉いね。頑張っていたんだ」と感心する。
・「田んぼがあれば、またやりたい」(Eさん)
・「綺麗な田んぼならやってみたい。指の間から、泥がにゅるにゅる、は嫌だ。気持
ち悪くて入れない」(Dさん)
・「田んぼにはドジョウがいたので、獲って食べた」(Fさん)
・「田んぼは怖い。暗くなって、女一人で泥の田んぼにいるのは怖い」(以下Bさん)
「怖くても、仕事はした。早く帰りたかった。泪こぼしながら」
(「いくつの時ですか?」の質問に)
→「まだ学校に通っていたとき」
(「10代なら怖いよね」と皆さんうなずく)
→「畑の方がよかった」とBさん。
・稲刈りが終わった田んぼで「落穂ひろい」をされた方も。
→「私が稲刈りした後に、たくさん落穂があったのでひろった」(リーダー)
→「私は落穂ひろいはやらなかった」(Aさん)
→「大きな農家は、やらない。あまり落ちていない。上手に刈る。慣れない人がや
ると落穂が出る。農家がやると、あまり出ない。それほど違う」(Gさん)
→「子供の時、小鳥の餌に落穂ひろいをした」(コ・リーダー②)
<座直り>
・お茶を飲みながらの雑談の中でも、稲刈りに関する話題がたくさんありました。
それだけ、皆さんにとって大切な思い出であり、ご自分からお話ししたいテーマの
ように思いました。(その中の幾つかを上記しました)
<回想法を振り返って>
1)今回は、リーダーが数日前に稲刈りを行った際に、自分で刈った稲束を持参でき
たので、稲束とその時の写真を道具に用意できたことは良かった。
→しかし、今回はたまたまリーダーがレンタル田んぼのグループに参加できて、
稲刈りの時期と回想法のタイミングが合ったが、稲束をいつも用意できるわけ
ではないので「稲束の無かった場合は、どのような回想法になるのか」が話題
に。
→稲の代わりに、ススキを使えばよいのでは、という議論に。
ススキは、道端など何処にでも生えているので、誰でも「収穫」でき、稲束と
「似たようなものができる」という結論(?)に。
→元農家の方は、稲刈りの写真を手に取って見て「これは、おだがけ、懐かしい」
と、ご自分から話を始められ、若い頃の稲刈りのことを思い出して言葉が溢れ
出てくる印象だったので、「稲束」も「ススキの束」も無い場合は、写真集や
ネットにあるような稲刈りの写真を手に取って見ていただくことができれば、
話のきっかけとしては有効ではないか、という結論(?)にも。 2)「作る人」がお話する時間が多くなることが予想されていたので、「食べる人」に
も、話題に応じて、ご意見や感想をお話していただくように留意したが、なかな
か難しかった。
→作る方の「お米を育て上げる苦労」、お米を買う側の「少しでも安く」という
心理を、できればもっとたくさん聞きたかった。
→農家の方でも遠慮がちで発言が少なめの方には、なるべくたくさん話していた
だけるように指名も多くしたが、それでも発言が少なかった。
→しかし、農家でなかった方でも、、生家での農業体験を含めると、殆どの方が
稲刈りを身近で見たり、ご自分でも経験しておられるので、興味をもって聞い
ておられたように感じた。
3)機械が入った時のお話では、嬉しさが伝わり、笑顔がとっても素敵でした。
4)新米が手に入ったとき、消費者はおいしく食べることを考えますが、生産者は、
「新米がとれても、古米から食べる」というお話には、「仕事としての農業」と
いう厳しい考え方が伝わってきました。
5)開始前に参加票に貼るシールは、稲刈りのテーマに合わせて「お寿司のシール」
にして、始まる前から雰囲気作りを心がけました。
6)今回も、想定外のお答えが多く、勉強不足を実感しました。
(リーダー 室井)
<後日談>
・回想法の終了後、「おだがけ」の正式な呼称は、「おだがけ」なのか、「おだかけ」
なのか、「ほだがけ」なのか、が話題に。後日、ネットで調べてみました。
・「おだがけ」は、刈った稲を乾燥させるために、2本の棒で組んだ足(「おだあし」)
の上に乗せた棒に、刈りとった稲を掛けて乾燥させることですが、いろいろな呼び
方があるようです。
・「おだかけ」、「ほだがけ」,「はさがけ」など、地方によっても呼び名が異なり、
「おだがけ」は、千葉と茨城地方での呼称のようです。
⇑「農と自然のさんぽみち」(ami2さんのブログ)からの引用です。
]]><実施日と参加者>
実施日:7月上旬
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
実施者:リーダー1名、コ・リーダー3名
参加者:7名(90才台女性5名と80才台男性1名は要介護2~4、80才台女性
1名)
<参加者への配慮>
・初めて参加される方がおられるので、その方の体調や聴力などに留意し、なるべく
早く雰囲気に慣れ、たくさん発言していただけるようサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時が多
くあるようなので、集中していただけるように話題に沿った問いかけを適宜行う。
・着座を続けることが苦手な方は、ご様子を見ながらが声かけを行い、時には発言を
うながし、楽しんで参加していただけるようにサポートする。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
<進行予定>
1)自己紹介では、お名前と「夏が好きか嫌いか」を言っていただく。
2)夏に関する思い出を、以下のような順でお話していただく。
・夏といえば、まず最初にどのようなことが、思い浮かびますか。
・夏の暑さを、どのように凌いで(しのいで)いましたか。
・子供の頃、夏にはどのような遊びをしていましたか
・「夏の食べ物」といえば、どのようなものが思い浮かびますか。
・「夏の音」といえば、どのような音が思い浮かびますか。
<用意した道具>
1)スイカ(電車運搬のため「小玉スイカ」)を用意し、デパートの袋に入れておく。
2)団扇(うちわ)
3)風鈴(家にあった南部鉄の風鈴と、ダイソーで購入したガラス製の江戸風鈴)
4)家庭用のカキ氷作成器具(以前、ネット通販で購入してあったもの)
<実際の進行>
リーダー:こんにちは。今日は「夏の暮らし」について、お話していただきます。
:今日、初めて参加された方もいらっしゃいますので、まず簡単に自己
紹介をしていただきます。
:お名前と、夏が好きか、嫌いか、を教えてください。
:まず、私から自己紹介させていただきます。
:私の名前は「石川」です。
:夏は大好きです。暑いのが好きです。暑いと元気になります。
(今回、初めて参加されたGさんに、皆さんの発言を聞きとることができて
いるかどうかを確認して、自己紹介へ)
:ではお隣のAさん、自己紹介をお願いします。
Aさん :Aです。夏は暑いから、好きじゃないです。(笑)
→次のBさん、Cさんも「好きではない。暑いから」
(出席者12名の中で、大好きだったのはリーダー1名のみ)
(半分だけ好きが2名、他の9名の方は「夏は暑いから嫌い」)
(「夏は半分好きで、半分嫌い」の2名の方は)
Dさん :夏は泳げるから、大好き。小学校の時、高いところから、バチャーンと飛
び込んで、クロールで泳いだ。でも、泳いでない時は暑いので嫌い。
:「母親に、そんなに泳いでばかりいると顔が真っ黒に日焼けして、お嫁の
貰い手がなくなる、と心配された」
「でも、貰ってもらった」(笑)
→「Dさんは、お転婆だったのですか?」(コ・リーダー③)
(「うーん」と少し考え)
→「そんなでもない。泳いでいるときだけ」
コ・リーダー②:山登りするので、夏は山にお花が一杯咲くので好きです。
しかし、家に帰ると暑くて嫌い。
リーダー:この中には、何が入っているのでしょうか?
(スイカの入ったデパートの紙袋をテーブルの上に置く)
→「何だろう」「分からない」など、やり取り有り。
「あの形を見れば分かる」「形からはスイカだ」などの発言あり。
:はい、これはスイカです。デパートで買ってきました。
:どれが良いか、お財布と相談しているうち、だんだん小さくなってしまい
ました。
(紙袋から「小玉スイカ」を出す)
→「スイカだ」、「大きくないね」「小さい」などの発言あり。
:デパートの人も、「今は小玉スイカが旬、大きいのはこれからだね」と言っ
ておりました。小さくても甘いそうです。
→「このスイカが美味しいかどうか、何処で分かるの?」(コ・リーダー③)
→「はっきりしたことは言えませんが、美味しいのは見ればわかります」(F
さん)
(スイカを叩くと、ポコポコと良い音がする)
→「その音なら、美味しいよ」、「スイカの音だ」などの発言あり。
リーダー:このスイカ、小さいので、念力で大きくしましょう。
→「エッ??」の疑問の声。(何をするのか理解できていない様子)
:私が「念力!」と号令をかけますので、皆さん目をつむって、
「スイカよスイカ、大きくなれ」と念じてください。
(「念じるのね」、「手品かな」など、がやがやして、号令を待つ姿勢に)
:では、これから10秒間だけ、念力をかけます。皆さんが一緒に念じない
と念力が強くなりませんので、よろしくお願いします。
(ということで、皆さん目をつむり、号令がかかり、10秒が経過。念力を
かけ終わる)
(皆さん一斉に目を開けてもらう)
(スイカは、元の小さいままであった)
:残念です。念力が足りなかったようです。我々は、まだ、修行が足りない
ようです。後でこのスイカを食べますが、皆さんに少しづつしか配れなく
なってしまいました。
→「念力で大きくならないよ」、
「私は念力なんてないよ」
「手品のように、大きいのと取り替えるのかと思った」
→「大きいスイカも買っておかないと」(Eさん)
「大きいのと、小さいのと、二つ買うお金があれば、大きいスイカだけ買
います」(リーダー)などの発言あり。
コ・リーダー①:このスイカの種のないところだけを切るやり方を知っていますか?
:昨日のテレビで、初めて知りました。皆さん見てましたか?
(誰も見ていなかった)
:この縞と縞の間を、四角く切りとる。この間には種が無いらしいです。
→「そんなこと知らないよ」と皆さん。
(スイカを作っていた農家の方も初耳であった)
:私も初めて知りました。後で実際にやってみましょう。
リーダー:そして、夏と言えば、これですね。
→団扇(うちわ)を2本、皆さんに手に持って扇いだりしていただく。
→「綺麗な模様だ」、「夏らしい」、「金魚だ」などの発言あり。
リーダー:では、スイカを眺め、団扇(うちわ)であおぎながら、夏の暮らしのお話
をしていただきます。
:皆さん「夏は暑くて嫌い」」という方が多いので、嫌いな夏の暑い時には、
どう過ごされていたのか、どう工夫されていたか、お話してください。
→「木の陰に居れば、涼しい」(Dさん)
→「外の木陰には、蚊がよってくるでしょう」(コ・リーダー①)
→「風通しが良ければ、蚊はよってこない」
→「蚊取り線香をつける時もある」(Dさん)
(蚊取り線香は、木陰の地面には置かないで、ぶら下げるタイプがある。
外でも便利とのこと)
→「庭仕事の時は蚊取り線香を腰にぶら下げている。朝晩は蚊が多い。昼間
は蚊も暑いので出てこない」(コ・リーダー③)
→「私は、そんなのやったことないよ」(農家のBさん)
→「腰にぶら下げたら、腰が燃えちゃう」(笑い)
→「今は、懐炉(かいろ)みたいに、ポケットに入るような小さい形もある。
山登りの時、蚊が多いとこれを使っている人もいる」(コ・リーダー②)
リーダー:Aさんは、暑い時は、どうされていますか。
→「家の中で、クーラーをつけている」(Aさん)
→「そうですね、今はクーラーが無いと大変です。クーラーの無かった頃、
小さな子供の頃はどうされてました?」(リーダー)
→「近くのお寺の木の沢山あるところに行って、涼んでいた」(Aさん)
:Bさんは暑い時はどうしていましたか?」
→「外で仕事はできないので、暑い時は、家ン中にもぐっていた」(Bさん)
:「家にもぐって、というのはお布団にもぐって、お昼寝ですか?」
→「昼寝をする暇はないよ。室内の仕事もたくさんある」(Bさん)
「スイカを作っていたので、家の中で磨くの」
「朝の涼しい時にスイカをとってきて、土間に積んでおいて磨く」
「磨かないと出荷できない」
→「磨いたら積んでおくけど、積んでおいたスイカが、ゴロゴロと崩れちゃ
ったことがある。慌てて踏んづけて、大変だった。」(Bさん)
(「おやおや、それは大変だった」、「踏んづけたんだって」(など、皆さん
わいわいがやがや)
→「割れたり、ひびが入ったスイカは、どうするんですか?」(Aさん)
→「ひびが入るのは少ない。割れてしまう」(Bさん)
→「割れたのは食べる」、「食べきれないこともあり、その時は捨てる。割れ
たのはあげられない」(Bさん)
(皆さん「もったいない」と一斉に声をあげる。「そういう時は連絡をいた
だければ」などの発言あり。皆さん、スイカを捨てることにびっくり)
→「昔は冷蔵庫なんて無かった。食べるか捨てるか、どちらか」(Bさん)
→「保存ができないなら、捨てるのも仕方ないね」などの発言あり。
コ・リーダー②:Cさんも農家でしたが、昼間はどうしてました?
→「スイカは作っていた。やっぱり、昼間の暑い時は畑には出なかった」
「朝の涼しいうちに、畑仕事して、その後に朝ご飯」(Cさん)
「やはりスイカを磨くのですか」(コ・リーダー②)
→「磨きますよ。家に帰ってから」(Cさん)
→「スイカは、洗わないで磨く。油や水もつけない。乾いた布でふく」
「スイカは、その方が艶が出る」(Bさん)
→「暑い日は、お昼前に畑から帰っちゃう」、「昼間はやってられないよ。
体がもたないよ」(Bさん)
→「スイカをとりに行くなら、朝早く行け、と言われた」、「スイカは温まっ
てしまう前に取る」(Fさん)
リーダー:私の子供の頃は、朝ごはんを食べると、近くの川に泳ぎに行って、お腹が
すくと家に帰ってご飯を食べて、暑いからまた川に泳ぎに行って、毎日、
遊んでいました。皆さん、川で泳ぎましたか?
→「泳ぎにいくような川がなかった」(Bさん)
→「綺麗な川でなかった」(Eさん)
→「毎日のように川に行ったので、父親に怒られた。また川に行ったな、
と言われた」(Fさん)
→「女の子は泳がないよ」(Gさん)
→「川で泳げないので、庭で行水をした」などの発言あり。
リーダー:急に話は変わりますが、これは何でしょう?
(芋虫の顔写真を回す)
→皆さん、「何だろう」、「可愛い」、「河童だ」、などわいわい。
(答えが出ないので)
:この写真は、こう変わります(リーダー)
(芋虫の全体写真を回す)
→「エー、嫌だ」、「気持ち悪い」と大騒ぎに。
→「私は、虫が大嫌い」と、目をつむって見ない方も。
:この芋虫は、どう変身するのか、答えは5秒後に分かります。
:では、5秒間だけ、目を閉じてください。今回は、念力はかけません。
この芋虫がどう変わるか、想像しながら、目を閉じていてください。
(1秒,2秒・・・とカウントし、5秒後、写真を出して)
:はい、このように変身しました。揚羽蝶(あげはちょう)です。
(写真はgoogleに「揚羽蝶の幼虫」「揚羽蝶」と入力して検索)
→「わー、きれい」、 「揚羽蝶だ」
→「あの芋虫が、こう変わったんだ」、「すごいね」
(皆さん、先ほどの芋虫の写真とは大違いの反応でした)
リーダー:この写真は、よく見かける揚羽蝶(あげはちょう)ですね。
:最初の変な顔の芋虫が、こんなきれいな揚羽蝶になりました。
:あの芋虫が大変身ですね。
:皆さんは、こんな揚羽蝶を網で捕まえて、標本にしませんでしたか?
→「大きな網を持って追いかけた」(コ・リーダー①)
→「セミやカブトムシは捕まえた」(Fさん)
→「女の子はやらなかったけど、男の子はやった」(Gさん)
→「昔は、こんなきれいな蝶がたくさん飛んでいたけど、今はいなくなって
しまったね」(Bさん)
→「農薬でみんないなくなった」(Eさん)
リーダー:ところで、夏の音、と言えば、どんな音が思い浮かびますか?
→「団扇(うちわ)のパタパタの音」(Aさん)
→「蚊のブンブンという音」
→「蝉のミンミン」
→「蝉ならカナカナ」、「ジージーゼミ」
(皆さん、それぞれ「夏の音」を思い出される)
:こんなの持ってきました。夏の音と言えばこれですね。
(風鈴を出す)
:去年の夏には活躍しました。この風鈴は、今年初めて鳴らします。
(南部鉄の風鈴を、全員の方に、手に取って鳴らしていただく)
→「良い音」、「きれいな音」、「家にもある」
「こんな風鈴なら、気持ちよく昼寝ができそう」などの発言あり。
:こんな風鈴もあります。
(ガラス製の風鈴を、全員の方に、手に取って鳴らしていただく)
→「大きい」、「あんまり音がしないね」、「家にはないね」などの発言あり。
:この風鈴は「江戸風鈴」という名前がついていました。
:先ほどの南部鉄の風鈴と、どちらが良い音ですか?
→皆さん、南部鉄の方に軍配。
:ガラスの方が安くできるので、江戸時代に流行ったようです。
:この江戸風鈴の音は、時代劇に出てくるような町家の縁側に座って、軒下
につるしてある音を聞いていると思うと、なかなか良い雰囲気です。
:少し、聴き比べてください。
(といいうことで、改めて、南部鉄の風鈴と、江戸風鈴と、鳴らし比べる)
→「確かに、ガラスもムードがある」
→「そういえば、江戸風鈴は懐かしい感じがする」
→「縁側で、カキ氷でも食べながら聞くと良いような気も」
→「そよ風なら、良い音がしそう。風が強いと、どうでしょうか」など、
しばし「聞き比べと評定」を行う。
(「でも、やっぱり、こっちの方が良い音がする」と、南部鉄の風鈴に軍配)
コ・リーダー①:この南部鉄の風鈴の中には、10円玉が入っているのかな?
(中を覗いてみると、写真のような形の南部鉄が入っている)
→「10円玉くらいの大きさですが、形は違います。やはり南部鉄で出来てい
るようです」(リーダー)
(吊るしてある短冊を手で揺らして鳴らしてみる。音は出るが「チーン」と
という澄んだ音にはならない)
リーダー:手で揺らしても、良い音では鳴らないですね。
(皆さん、うなづく)
(次に、短冊を手に持たず、風を当てて鳴らしてみる)
:今度は、きれいな音ですね。良く響きます。
(皆さん、うなづく)
→「中に入っているモノの形で、音が違のでしょうか」(コ・リーダー①)
→皆さん「やはり、違うのではないか」ということで一致。
「いろいろと工夫して、こんなに良い音が出る形になったのではないか」
という結論(?)に。
リーダー:皆さん、夏が嫌いの方が多いです。夏の音で一番嫌われる音は何ですか?
(「何だろう?」、「蚊のブンブンかな?」、「雷は怖い!」などのやりとりが
あり)
→「一番怖いのは雷」(と皆さん)
:Cさんは、雷がきた時は、どうしていましたか。
→「雷は大嫌い。こんな風に、しゃがんでいた」(Cさん)
→「雷のとき、震え上がっていた」(Fさん)
→「布団を敷いて、中にもぐった」
→「蚊帳を吊って、中に入った」などの発言あり。
(「蚊帳を吊って、皆で中に入った」方が他にも何人か)
リーダー:雷は怖いですね。雷を避ける「おまじない」はご存知ですか?
(皆さん、知らない、とのことなので)
:では、夏は雷の季節ですので、雷除けのおまじないを一緒に見てみまし
ょう。
(3種類のおまじないを書いた用紙を配る)
→「くわばら、くわばら、は知っている」(Eさん)
(最初に記してある「くわばら、くわばら」は皆さん知っており、実際に
雷除けの言葉として今でも言うことがある、とのこと)
→2番目に記してある「よなおし よなおし・・・」は、皆さん知らないと
のこと。(関西出身の方も「初めて聞いた」とのこと)
リーダー:3番目のおまじないは、観音経というお経の中にあるようです。
:私の家では、雷がくると、祖母や母は大きな声で唱えていました。
:私の家には、まだ一度も雷が落ちていませんので、効力があるのは確かの
ようです。
:では、実際に雷が来たときのために、おまじないを練習しておきましょう。
(ということで、一斉に、大きな声で、おまじないの言葉を読みあげる)
(それぞれ、2回、繰り返して唱える)
(Fさんは、観音経の雷除けのお経を覚えており、お一人で繰り返す)
→「覚えているなんてすごいね」と皆さん。
→「私の家では、雷が来ると、仏壇にお線香をたてる。お経はあげなくても
大丈夫」(Eさん)
(他にも何名かの方は「雷が来ると仏壇にお線香を立てていた」とのこと)
→「私の家は、蛇が出てもお線香をたてた」(Aさん)
→「蛇は、お線香の匂いが嫌いなのよ」(Eさん)
コ・リーダー①:おへそを押さえたほうが良いのでしょうか?
→「今、雷が来たら、おへそを押さえたほうが良いのか、というご質問があ
りました。皆さん、ご自分のおへそは、押さえたほうがよいか、押さえな
くても大丈夫か、どう思われますか?」(リーダー)
(皆さん、押さえるべきか、その必要はないか、わいわいとしながら検討)
→「すぐには結論はでないようですが、おへそが出ている方は、押さえた方
がよいかもしれません。ご自分で判断をお願いいたします(リーダー)
リーダー:このおまじないで、今年の雷は大丈夫ですね。
→「このおまじないは、忘れちゃうよ」と他の皆さん。
:そのおまじないの紙は差し上げますので、よく復習して覚えてください。
:今年、雷がきたら、唱えてください。
:では、先ほどのカキ氷の器械で、カキ氷を作って食べてみましょう。
:今から、いろいろと用意しますので、お待ちください。
(冷蔵庫の製氷を出し、お茶椀などを用意する)
(氷は、施設の冷蔵庫の製氷機で作っておいていただきました)
コ・リーダー②:カキ氷ができる間、夏の歌を歌いませんか。
(歌集を開いて「茶摘み」を歌うことに)
:皆さん、手をつないで歌ってください。
(「夏も近づく八十八夜、野にも山にも・・・」と、皆さん大きな声で歌う)
(「茶摘み」は、途中で合の手を「ちょんちょん」と入れながら、隣の人と、
手を合わせながら歌うと、調子よく歌うことができる)
(「氷はまだかいな」という合の手も入れながら、2回斉唱)
リーダー:では、カキ氷作ります。
(氷が落ちる側が、皆に見えるように、回す)
(「ガリガリ」とかなり大きな音がして、かき氷ができる)
→「昔は、お店で、こうして手で回していた」、「今は電動だ」
→「あら、いい氷。細かい」、「きらきら光る。氷だ」などの発言あり。
:皆さんの分ができるまで待っていると、最初のが解けちゃうようですので、
出来た分から、食べましょう。
(練乳をかけて、その上に餡子を載せる)
(新規開封の餡子の缶詰と、練乳は、それぞれ約半分を食べました)
:これはやってみると面白いです。回しただけ、氷が貯まっていくので、仕事
をしている充実感がある。
(お代わり、数名。冷たいのは駄目という方も)
リーダー:まだカキ氷の「お代わり」を食べ終わっていない方もおられますが、今日
はスイカもぜひ食べていただきたいので、スイカも一緒に食べましょう。
:先ほどの話題にありました「種無し手法」で、種が入らないように切った
スイカを食べてみましょう。
コ・リーダー①:ではスイカを切りましょう。
:普通はこうですが、種の入らない切り方は、こうでしたね。
(確かに、切り取った部分には種が入っていないものが多いが、少しだけ
種が入っているものもある)
→「これは食べやすい」、「確かに、種がない」などの発言あり
(皆さん、この切り方は初めてとのこと)
(確かに、種が無いので、食べやすい)
(「見た目は美しくない」という発言も)
(普通の切り方の方が、見た目はスイカらしい)
(⇑「種無切法」は縞模様と直角に切る。「見た目が美しくない」との意見も)
→「スイカは、赤いところを食べ、白い部分が残りますが、これを捨ててし
まわないで、漬物にして食べませんでしたか?」(コ・リーダー①)
(数名の方は「固い皮の部分は捨てるが、白い部分は漬物にして食べる」と
のこと。瓜のような食感とのこと)
リーダー:では、かなり時間もたちましたので、お茶の時間に移りましょう。
:その前に、雷が来たときのために、おまじないの練習をして、覚えてしま
ってください。
:一緒に練習しましょう。
(「うんらいくーせいでん ごうばくじゅだいう ねんぴーかんのんりき
おうじーとくしょうさん」と、観音経を2回唱えて終了)
<座直り>
・カキ氷を作る頃には、開始から約1時間以上が経過していた。そのため「お話の時
間」と「座直り(おやつの時間)」の境がはっきりとしないまま、ゆっくりとカキ氷
を食べ、あれこれとお話も続き、スイカも食べ、正式(?)な「座直り」は、短い
時間お茶を飲んだだけに。
<振り返り>
1)夏が嫌いな方が多かったので、嫌いな暑さをどうしのいでいたか、の話題を始めて
しまい、「夏といえば、まず最初にどのようなことが、思い浮かびますか」という、
予定の最初にあった質問を飛ばしてしまったのは、残念でした。
2)「夏の暑さをどのようにしのいでいたのか」のお話はたくさんありましたが、子供
の頃の昆虫採集の思い出や「夏の食べ物」や「夏の音」について、あまりお話を聞
くことができなかったので、これらのテーマについては次(1年後の夏?)に期待。
3)「昨日のテレビで見ました」とコ・リーダーの方が紹介された「スイカを種無しに
切る方法(種無切法)」は予定にありませんでしたが、非常に面白い内容でした。
→単に「スイカを切って食べる」だけで終わらずに、「技法」が加わりましたので、
「スイカ殺法」の流儀の講釈を聞く気分でした。
4)今回は、コ・リーダーの方からの発言が多く、その場の話題をリードして、話題が
より深まる場面が多くあったように思います。サポートに感謝です。
5)開始して約1時間お話をし、普通は「座直り」に移る時間に、カキ氷を作り始め、
更にスイカを「種無し切法」で切って食べましたが、いずれも「その場の実演」で
作り、実際に食べていただいたので、お話は続いてはいましたが、リラックスして
皆さん楽しそうでもありました。
(このような「座直り」があってもよいように思いました)
(リーダー 石川)
<後日談>
・風鈴の中にある「10円玉のお大きさのもの」について、回想法の中では「風鈴に
入っている10円玉のような大きさのもの」ということで、お話は進みましたが、
後日、何かきちんとした名前がついているのではないか、と思い調べました。
①風鈴では「舌(ぜつ)」という名称がついている、と記載がありました。形は写真の
ような工夫がしてありました。
(⇑ 風鈴の中に入っている「舌」、真ん中がくり抜いてありました)
②風鈴の下に吊るされて、風に揺れているものは「短冊」と記してありました。
(インターネットの Wikipediaより)
<テーマの目的>
テーマ:お中元
目 的:「お中元」は、お付き合いの風習として、今も盛んに行われている夏の行事
です。皆さんのお若い頃はどんなふうに考え、どのような心遣いをし、どの
ようなものを贈られていたのか、お中元という習慣は、どんな感じで生活に
密着していたのか、昔の気分に戻ってお話していただきたいと思いました。
<実施日と参加者> 実施日:7月上旬
場 所:グループホーム
実施者:リーダー1名、コ・リーダー3名。
参加者:6名(90才台女性4名と80才台男性1名は要介護1~4、80才台女性1名)
<参加者への配慮>
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が
発言しやすいようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時が多
いので、集中していただけるように、話題に沿った問いかけを適宜行う
・着座を続けることが苦手な方は、ご様子を見ながらが声かけを行い、時には発言を
うながし、楽しんで参加していただけるようにサポートする。 ・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
<進行予定>
1)最近新しく参加された方(今回が3回目の回想法)は、雰囲気にも馴染まれてき
ているようなので、自己紹介は省略する。
2)「お中元」と大きく書いた紙をかかげ、今日は「お中元のお話をしていただきま
すと宣言する。(最初から集中していただくため)
3)お中元を貰ったり、あげたりしていた頃のお気持ちを思い出していただくため、
それぞれの方が思い出されることをお話していただき、その話された内容から、
関連した話題に広げてゆく。
4)お中元を用意し、それぞれお隣の方に渡していただく。その際に、渡される方は
ご挨拶を、受け取る方は御礼の言葉を、実際のように行っていただき、昔の気分
にかえっていただく。
5)全員に渡し終わったら、貰った気分で食べていただく。
<用意した道具>
1)デパートで購入したと思えるように、きちんと包装されたお中元を風呂敷に包ん
でおく。
→参加者の方が手に持った時、重いと感じるように、また終了後に食べることが
できるように「水ようかん」の詰め合わせを用意。
2)お中元と書いた紙
→A4のコピー用紙に、「お中元」と書いた熨斗紙を貼ると雰囲気がでる。
<実際の進行>
リーダー:皆さん、こんにちは。
:下手な字ですけど、ハーイ、今日はこれです。
→「お中元」と大きく書いた紙を、皆さんに見せる。
→「お中元だ」と皆さん、わいわいがやがや。
リーダー:Aさんは、お中元はされましたか。
→「わかんないな。貰ったことはあるけど」(Aさん)
リーダー:貰うだけ、ですか。(笑)
:貰ったということは、あげたこともあるはず、ですね(笑)。
→「あげたのは覚えてないなー。貰ったのは覚えている」(Aさん)(笑)
Eさん :小さい頃、お中元たくさん貰った。親がお店やっていて、仲人もしている
から。
:冬はお歳暮で、鮭が一匹でくる。
→「鮭1匹はすごいですね。私なら、鮭一匹も欲しいけど、酒1本も嬉しい
かな」(コ・リーダーが笑いながら、おちょこで飲む真似)
→皆さん、鮭1本と、酒1本と、どっちかな、とワイワイガヤガヤ。
リーダー:すごいですね。
:皆さん、Eさんはお仲人してるので、鮭が一匹やってくるんですって。
:皆さん、お仲人さんには、お中元はあげていましたか。
→「仲人さんには、お中元をあげていた」と皆さん。
(お仲人さんには、何年間くらいお中元やお歳暮をあげたらよいのか、など
の話題が少し続く)
リーダー:皆さん、どんなものを貰いましたか。
→「ビールやサイダー、貰った」
→「いいわねー」
→「夏は、お中元、冬はお歳暮」
Dさん :大体がビールをあげた。
→「何本?」(リーダー)
→「1箱、箱だろう、ビールケースで」
→「演説の踏み台にしていた黄色の箱ですか?」(リーダー)
→「そう、旦那にはお酒、奥さんには調味料」
リーダー:お中元て、何時ころからあったのですか。
→「昔から、あったよ」
→「農家だから、買えないので、自分の家の作ったものを、気持ちであげた」
(Cさん)
→「そうだよね」と皆さん同感。
→「私の家もそう。買わないで、作ったものをあげた」(Aさん)
→「農家の皆さんはそうでしたよね。気持ちですからね」(コ・リーダー②)
リーダー:では、私から、皆さんにお中元を差し上げます。
:ほんの気持ちです。皆さんに、順番に差しあげますので、受け取ってくだ
さい。
(と言いながら、大き目の風呂敷に包んだ品物をテーブルに置く。風呂敷を
とってみると、「お中元」と書いた熨斗紙が貼ってある)
リーダー:では、私からのお中元です。
:最初に、お隣のAさんに差し上げます。本当に貰ったときのように受け取
ってください。
(トントンと家の扉をたたく真似をして、大きな声で)
:「こんにちは」 :「Aさん、こんにちは、いつもお世話になっております。つまらないもの
ですが、ほんの気持ちです」
(Aさんは、恥ずかしそうに、しかし、居住まいを正して)
→「ありがとうございます。恐縮です」と受け取る。
(かなり重いので、頑張って持っている雰囲気)
リーダー:では、Aさんから、お隣の方へ、順番にお中元を渡していってください。
(「えー、実際にやるの」などと、皆さん、そわそわ)
→Aさんは、貰ったお中元を「ほんの気持ちですが」と隣のBさんへ。
→Bさんは、受け取って持ってみると、重いので驚く。「重いよ、重いよ」
と言いながら受け取る。
「ありがとうございます。かえって、こちらこそお世話になっております」
とBさん。
(以下、同じように、お隣お方へ、訪問のご挨拶。貰う方はお礼のご挨拶を、
順番に行う)
→「ありがとうございます。こちらこそ、お世話になっております。でも、
いただきます」(皆さんが大笑)
→「ありがとうございます。上がってお茶でもどうぞ」
リーダー:皆さん、お中元を持ってきた方は、あがってもらいお茶など出しますか。
→「玄関先で帰ってしまう方もあれば、家にあげてお茶で接待する場合も」
といろいろ、とのこと。
→「入って貰えば、お茶入れて、お菓子だして」(Cさん)
→「突然に来られても、困ることも」(コ・リーダー③)
(以下、お隣の席の方とのやり取りの様子を記します)
→「仲良く、お付き合いして下さり、ありがとうございます。今後ともよろ
しくお願いします」
→「立派なものをいただいて、ありがとうございます。これからもよろしく
お願いします」
(皆さん、久し振りのお中元の挨拶をするので緊張気味)
→「久し振りだね。こんなのを渡すのは」(Fさん)
→「恥ずかしい。嬉しいけど、急だから、恥ずかしい」(Cさん)
(しかし、皆さんご自分の番がくると、「また、よろしくお願いします」、
「いろいろとお世話様になりました」「ありがとうございます」などと、
しっかりとやり取りしていた)
(一巡して、最後に、Fさんがお隣に座っているリーダーにお中元をあげた
時のやり取り)
→「いろいろとお世話になりました。おかげさまで就職も決まりました」
(Fさん)
「ご丁寧にありがとうございます。」(リーダー)
→「Fさんは、就職決まったそうです。それは良かったです。皆さん、お祝
いの拍手を」(リーダー)
(皆さん、一斉に盛大な拍手)
→「Fさんは、どなたを想像して、お中元を渡しましたか?」(リーダー)
→「どこかの課長さん」(Fさん)
「社長さんでなく、部長さんでもなく、課長さんですか?」(リーダー)
「課長さんです」(Fさん)
:分かりました、では私は今日はこれから課長です。課長とよんで下さい。
(以後、「私は課長の室井です」を何度も)
(受け渡しの時には、皆さん実に丁寧に行っている)
→皆さんは、頭を下げながら、貰ったものをささげるようにして、「ありが
とうございます」という。
→動作が見事に決まっている。言葉だけでのありがとうではなく、気持ちが
こもっている。
→また、お中元の熨斗が、相手からみて、逆にならないように、直してから、
渡していた。皆さんが自然にそのようにしていた。(体が覚えている印象)
→重いから持てない方は、ご挨拶の口上だけ述べて、品物はコ・リーダーが
手伝って、隣の方へ。
(受け渡し途中のエピソード)
→Eさんは、子供の頃はご両親やお店の人、結婚してからは旦那さんの実家
がお中元をしており、ご自分で「直接渡すのは初めて」とのこと。
→「皆さん、Eさんは、親御さんや旦那さんの実家の方がお中元をされてい
たので、ご自分で実際にお中元を手渡すのは初めてだそうです」
「人生で初めて、お中元を手渡すEさんに拍手を!!!」(リーダー)
→皆さん「え~、そうなんだ」と盛大に拍手。
(Eさんは恥ずかしそうににっこり)
リーダー:お中元の品物は、どうして決めましたか?
→「相手の好みに合わせる。飲ん兵衛なら、お酒」
→「白砂糖」
→「夏はビール、冬のお歳暮は砂糖」
(昔は砂糖は、料理の必需品でもあり、貴重でもあったので、贈答品として
も喜ばれた、とのこと)
→「白砂糖を、I斤(きん)とか2斤(きん)とか」
「1斤はどの位。これくらい?」
「お正月は、煮ものを沢山作るから、砂糖は助かる」
「昔は、砂糖は高級品」
「白砂糖を、1斤、箱に入れて」
(注:現在の1斤(きん)は、砂糖の場合は600グラム、食パン1斤は340
グラム。時代により750グラム、937.5グラムも)
「砂糖は固まってしまう」
→「砂糖、1キロ、貰った、嬉しかった。今は大したことないが」
「昔は、皆配給だったから」
→油や調味料も、喜ばれる。
→「ずっとやっていると、減らすわけにはいかない」(以下、Dさんと)
「まさか、ビールを2本、3本もっていくわけにはいかない」
「気軽に、いよっ!ビール持ってきたぜって感じで、ケースを抱えて、
自分で持っていった」
「実際にお世話になっているから、持って行く」
「農家は一人では生きていけない。みんなで協力しないと」
「潤滑油、隣近所、お世話になっている人に」
「果物屋に行けば、お中元の時期でなくとも届けることがある」
(皆さんは、熨斗紙の「お中元」の文字の向きを考えて、お渡ししていた)
リーダー:「義理チョコ」という言葉がありますが、「義理お中元」なんてあるんです
か。
→「あまりお世話になっていなくても、義理であげたこともある」
→「義理は、よくない」
→「自分の気持ちを表すことだから、自分であげたい人に」
(皆さん、「義理お中元」には否定的の様子でした)
→「お砂糖を箱に入れて、奥さんに。旦那へはビール」
→「箱もの、だね。お中元やお歳暮は」
「箱モノを持って行く。お盆、お正月にも、箱もので挨拶」
→「相手を気遣って、昔は送るなんてしなかった。直接渡す」
「お仏様の前に、置いて、ご挨拶する」
「手を合わせ、チーン、とならして、御線香もあげること」
リーダー:ご先祖様にも、お中元をお供えしたのですか?
→「田舎ではお盆に仏壇の前に、箱が積んである」
「家を綺麗にして、もって来た方にはお茶を出します」
「お盆や中元の季節は、いつも家を綺麗にしていた」
「特別にはしていないが、いつも毎日履き掃除はしていた」
「隣の家の大きな樫の木が、家の方へ伸びてきて、落ち葉がたくさんくる
ので、毎日の掃除が大変だった」
「何時きてもらっても良いように、綺麗にしていた」
(お盆の時には、盆提灯を飾り、親類縁者が集まる習慣が一般的だったので、
お中元とお盆と、区別せずに話されているようであった)
→「今は、パソコンのリストで、ピッピで終わり」(コ・リーダー①)
「何も書かないで、〇つけて終わり」
「楽でいいけども」
→「近くなら行けるけど、遠くなら送る」(Bさん)
→「急に家にきても困っちゃう」
(筆談では、他の方の発言や、今話題になっていることも記し、全体の流れも
把握していただくようにサポート。右端の丸めたティッシュのかたまりは、
ホワイトボードの消しゴムとして使用中。付属のものより使いやすい)
リーダー:農家の方は、お米をお中元であげることはあったのですか。
→「お米をお中元ではあげない。お米はどこの家にでもあるから」
→「お米は、秋にとれたときにあげてしまう」
「農家は、お米ができると、親戚や知人などにあげるので、お中元では
あげない」
リーダー:お中元は、いくら位の値段のものを贈りますか。
→「I万円」の答えにびっくり。
→「5千円~3千円くらいが相場」 →「5千円は、昔は多い方、今だって多い」
→特別の人以外は、3千円位。
リーダー:皆さん、もし、私にお中元をくれるとしたら、何をいただけますか?
:私は、お酒は飲めません。甘いものが好きです。
:先ほど課長になりましたので、会社の課長にお中元、ということで
考えてください。
→「甘いものなら羊羹かな」(Aさん)
→「羊羹は、太めの方には避けます」
→「私ならカルピスが欲しい。子供の頃に、カルピスが嬉しかった。水で
薄めるといつまでも飲める」(コ・リーダー②)
→「今なら、美味しい飲み物がたくさんあるから、迷うけど」
リーダー:何時から何時まで、お中元の季節ですか?
→「7月いっぱい、8月のお盆前くらいまで」
「7月15日前、商売しているので、そんな習慣。
:お中元を贈り忘れて、はっと気づいたときは、どうしてました?
→「遅れてもかまわない」
「忘れるようじゃ、感謝の気持ちがない」
「遅れたら、暑中見舞い、にする」
「もっと遅れたら、残暑見舞い」
「お盆過ぎたら、残暑見舞い。売るお店の人は、よく考えている」
リーダー:皆さんが、今、お中元を貰うとしたら、何が欲しいですか。
→「お中元なんて、最近は貰ったことないから考えていない」(Cさん)
→「ビールかな」(Dさん)
(銘柄は」という質問に「サッポロがいい」)
→「うちはお酒かな。お金を付けて、一緒に」(Fさん)
→「お金を付けてお中元をすること、あまり聞いたことないですが」
「何かお好きなものをと、品物と一緒に金一封を渡すこともある」
リーダー:貰ったお中元を、他の人へ、お中元として回わしたことはありますか。
→「回すほどこない」(Bさん)
→「そんなことはしないよ」と皆さん。
(お中元の「使いまわし」は、皆さんやらないとのこと。
→「お中元をおすそわけ(御裾分け)することはある」
→「沢山、貰って、使いきれない時は、おすそ分け」
(おすそわけするときは「もらいものですが、沢山いただきましたので」
などと言いながら渡すことが普通であるとのこと)
リーダー:では、質問です。
:もし、これから、お中元をあげるとすると、誰に何をあげたいと思います
か?
→「夫にあげたい。お酒もあまり飲まないし、タバコも吸わない。甘いもの
が好きなので、お気に入りの、おはぎを、小さな箱で、いいから」
(「旦那さんに、旦那さんの好きだったものをあげたい」「友達かな、親戚
にもあげたい」という方と、「今の暮らしなら、必要なものは買ってきて
もらえるので、お中元はいらないし、贈りたい人もいない」という方に分
かれた)
→「誰もいない。くれる人も、あげる人もいない。一人ぼっち」という方も。
→手作りの好きな人は、ご自分の「手作りの人形をお中元に」したいとのこ
と。
リーダー:では最後に、今日皆さんにお持ちしたこのお中元を開けてみましょう。
:このお中元の中身は何でしょうか。
:Aさん、何が入っているのでしょうか?
(開けるときは、皆さん楽しそうな笑顔に)
→「重かったので、何かな?」とゆすってみる。
「この重さは石鹸}(Aさん)
→「ソーメン」の答えが多く、「砂糖かな」、「缶詰だ」、「水羊羹」の答
も。(開けたら「水羊羹」)
リーダー:どなたか当たりましたね。
:では、私室井課長からのお中元です。皆さん、一緒食べましょう。
(水羊羹は、小倉(小豆の餡子)、柚子、抹茶の3種類)
<座直り>
・水羊羹を食べながら、雑談。その中でお中元に関するものを記します。
・子供の頃、お中元がくると、早く開けよう、とせがんだ。
→「お父さんが帰ってくるまで、待ちましょう」と言われた。
・送ってきた箱で、なんとなく、カルピスと分かる。
・お中元やお歳暮を開けるのは楽しい。好きだった。
<回想法を振り返って>
1)お中元の受け渡しをしていただくとき、お中元の熨斗が相手から見て逆にならな
いように、直してから、皆さん渡していた、
→何も言わないのに、皆さんが自然とそうしていた。体が覚えている印象です。
2)皆さんの生活の中で、自然に行われていた「こころを込めた習慣」だったことが、
よく分かりました。
→お仲人さんには必ず届けたり、礼を尽くしておられた様子がうかがえます。
(デパートから送られてきたリストに、印を付けるだけ、とは大違いの印象です)
3)「自分の畑で収穫した野菜を届けた」というCさんのお話は、今の時代には希少
となった貴重な考え方のように思いました。
4)「相手に渡すときは、どんなふうにしましたか」と実際やってもらった時に、皆
さんの見せた「一瞬の緊張感」も、とても新鮮に感じました。
→驚かせて気の毒でしたが。(笑)
5)お中元を贈る時のお話で、「いよっ! ビール持ってきたぜって、気軽な感じで、
ケースを抱えて持って行ったよ」と身振り手振り付きで話された時、お若い頃に
は、実際にそのようになされていたようにも思えました。
6)「1斤(きん)、2斤(きん)」という今では食パンでしか使われなくなった計量
単位を、砂糖の量の単位で思い出されたことは印象的でした。
(時代の変遷を感じました) 7)お中元をあげたい人の話題で、「今は亡き旦那さんにあげたい」という方が多く、
「誰もいない」方もおられることは、考えさせられました。
→私たちが同じ位の年齢で、同じように施設にお世話になったときに、誰にお中元
をあげたいのか、あげたい人が思い浮かぶのか、の話題になった時は、リーダー、
コ・リーダーとも、いろいろな思いが脳裏をよぎっていきました。
(リーダー:室井)
<後日談>
・関東地方に暮らすコ・リーダー③は、お中元は7月、お盆は8月と思っておりまし
たが、参加者の皆さんが、お中元とお盆とあまり区別しないで話されておりました
ので、その理由を考えようと、後日、インターネットで調べてみました。 (「お盆とお中元とどう違う」と検索しますと、次のような記載がありました)
①「中元」も、「お盆(盂蘭盆会)」も、中国の風習。
②中元は道教の祭日とのことで、旧暦の7月15日に行われる。
→道教の祭日は三元あり、上元が1月15日、中元7月15日、下元10月15日
(いずれも旧暦)に行われる。
③「お盆(盂蘭盆会)」は、仏教の行事であるが、中元と同じく旧暦の7月15日に
行われた。
④同じ日に行われるので、中元と盂蘭盆会の行事は一体化している。
⑤我が国に仏教が伝わると、盂蘭盆会はお盆の行事として定着。
→お盆の風習としては、、迎え火や送り火、盆踊りがあるが、「盆礼」という贈答の
風習もあった。
⑥江戸時代になり、お盆の風習が民間行事として盛んになると、親族や知人の家を訪
ねて進物の贈答をすることが民間でも盛んに行われるようになった。
⑦この盆礼は、中元の時期(旧暦の7月15日)に行われるので、お中元とも呼ばれ
るようになった。
→というように、仏教の「盆礼」の行事を、「中元」という道教の名称で呼び、合体
したようになった、との記載がありました。
⑧しかし、日本が西洋暦を採用するようになると、お盆は旧暦の7月15日(西洋暦
では8月15日頃)の風習として残り、いつの頃からかは分かりませんが、お中元
の方は西洋暦7月15日の(お盆より約1月早い)風習と変わったので、お中元が
終わってからお盆を迎える、という順番に変わった。(特に関東では)
→しかし、関西では、お中元も旧暦で(つまりお盆とお中元が一緒に)行うことも多
い、との記載がありました。
⑨本日の参加者の皆さんが、お盆とお中元と、あまり区別しないで話しておられたの
は、現役時代の風習どおりなのかもしれません。
以上
<テーマの目的>
テーマ:梅雨
目 的:梅雨の季節が間近ですので、梅雨時の暮らしぶりをお話いただきました。
昔は、冷蔵庫や洗濯機は一般家庭にはありませんでしたので、今の時代
とは違って、いろいろな生活の工夫が必要であったと思われます。
そうした苦労話についても思い出していただくきます。
<実施日と参加者> 実施日:6月中旬 場 所 :グループホーム(デイサービス併設)
実施者:リーダー1名、、コ・リーダー5名、施設スタッフ2名
参加者:8名(90才台女性5名、80才台女性2名、90才台男性1名、要介護2~4)
<参加者への配慮>
・関西弁で話すことを好まれる方には、関西で育ったコ・リーダーが側に座り、関西弁も
交えながらお話をするよう心掛ける。
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が発言
しやすいようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時があるの
で、集中していただけるように、話題に沿った問いかけを適宜行う
・不安感が強くなる方の場合は、ご様子を見ながら声かけを行い、安心して発言しやすい
ようにサポートする。
・聴くことは可能だが、発語が難しい方は、コ・リーダーが代弁しながら話題に参加して
いただく。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
耳元で話題を伝えて、話題の進行に沿って発言していただけるようにサポートする。
・座位が保てない方はソファーに横になって参加していただく。発声が小さい場合が多い
ので、側に座っている施設スタッフが大きな声で代弁するように心がける。
<進行予定>
1)簡単な自己紹介
・自己紹介では「梅雨は好きか、嫌いか」とその理由を一つだけあげていただく。
2)梅雨に関する簡単なクイズを用意し、答えを考えていただきながら、集中力も高めて
いただく。
3)子供の頃の梅雨時の遊びについて。
・梅雨時の遊びについて、何処で、どのような遊びを、誰と遊んでのか、男の子と、
女の子の遊びの違い、などについて話していただく。
4)梅雨時の外出について。
・車の少なかった時代に、外出時の服装や傘、履き物などについて話していただく。
5)梅雨時の洗濯について ・梅雨時の洗濯のご苦労を話していただく。
→特に「干し方」は、それぞれのご家庭によって、いろいろな工夫をされたと思われる。
6)食べ物について
・梅雨時の料理を作る時の工夫と、冷蔵庫が一般の家にはなかった時代に、食べ物
の保存の注意や工夫について話していただく。
<用意した道具>
1)番傘
(写真の上をクリックすると、拡大して見ることができます)
→わらで編んだ草履は入手できなかった。
3)梅雨に関するクイズ ○梅雨 ○○梅雨 梅雨○○ 梅雨○
・上記の4枚のカード(A4)を、各2枚、手書きで作成(パソコンでの印字も可)
→1枚はリーダーが手にかざして見せながら説明し、もう1枚は、離れた席の方や、視力
が鮮明でない方は手に取り、眼前で見ていただくために用意。
・各質問の答えを書いたカード(A4)も、同様に各2枚。
(こちらは 空梅雨 のように答えを記入してある)
<実際の進行>
(以下、進行の概要を略記します)
リーダー:こんにちは、今日は良い天気ですね。窓から見える青空がきれいです。
:でも、もうすぐ梅雨の季節です。今日は梅雨についていろいろとお話していた
だきます。
:まず初め、皆さんに簡単な自己紹介していただきます。
:「梅雨が好きか嫌いか」を言っていただいてから、お名前をお願いします。
→「梅雨は好きでない」と言われる方が多い。
→「なんとなくうっとうしい」、「雨が嫌い」、「ジメジメするから」などの発言
あり。
*殆どの方が「梅雨は嫌い」と言われる中で、お一人だけ「雨が好きなので梅雨
が好き」という方は「なんとなく落ち着く。雨を眺めるのが好き」との発言。
リーダー:では、梅雨に関する「簡単なクイズ」がありますので、考えていただきます。
*以下のカードを1枚ずつ見せて、答えを聞いて行く。
→全員の方に発言していただけるように、また、ご自分の指名される順番が分か
る(予測できる)ように、座席順の通りに答えていただく。
→簡単そうで、なかなか答えが出ないので、皆さん集中して考える。
〇梅雨
→答えは「空梅雨(からつゆ)」。または「雨梅雨(あめつゆ)」も正解。
梅雨○〇
→答えは「梅雨明け(つゆあけ)」、または「梅雨入り(つゆいり)」。
○○梅雨
→答えは「菜種梅雨(なたねづゆ)」。「から梅雨」、「あめ梅雨」の平仮名は不正解。
梅雨○
→答えは「梅雨寒(つゆざむ)」、または「梅雨空(つゆぞら)」
*各問題とも、正解が一つの場合、もう一つも考えていただく。
(それぞれのクイズごとの個々のやり取りは省略)
リーダー:では、梅雨についての国語の問題が終わりましたので、お話に入りましょう。
:子どもの頃のことですが、梅雨の季節、皆さんの子供時代はどんな遊びをし
ていましたか?
→「外では遊ばなかった」
「友達が家に来て、家で一緒に遊んだ」
「友達の家に行って遊んだ」
→皆さん「室内で」とのこと。
リーダー:室内では、どんなことをして遊びましたか?
→「おままごと」、「おはじき」、「お手玉」など、女の子の好きだった遊びの
名があがる。「お人形さんに着せ替えて遊んだ」ことも。
→「かくれんぼ」はしたが、「鬼ごっこ」は家では叱られる。
→近所の友達が、何人か来て、一緒に遊んだ。
リーダー:一緒に遊んだお友達のお名前は覚えていますか。
→友達の名前は忘れている方が多い。
→Aさんは、お友達の名前を覚えていて「近所の〇〇ちゃんと△△ちゃん、学校
の近くの☆☆ちゃん」と名前をはっきりと言われる。
*Aさんが、子供時代のお友達のお名前をすらすらと言われたので、皆さん「よ
く覚えてますね」と感心。
→「顔は浮かぶが、名前が忘れた」、「もう忘れた」といわれる方が多い。
リーダー:雨でも外で遊びましたか。
→「雨の時は、外では遊ばなかった。家の中で遊んだ」という皆さんの中で、
Dさんは「外で遊んだ」とのこと。
(Dさんは大きな声が出せないので、隣のコ・リーダーがDさんのお話を皆に伝
える)
コ・リーダー① :はい、Dさんは雨の時でも、外で遊んだそうです。
リーダー:皆さん、Dさんは雨でも外で遊んだそうです。
コ・リーダー①:Dさんは、雨上がりに水たまりで、ばしゃばしゃするのが好きだったそう
です。
コ・リーダー :長靴でばしゃばしゃ、だそうです。
リーダー:雨のあがりの水たまりでバシャバシャ、楽しそうですね。
→ひとしきり、雨あがりの水たんまりで、バシャバシャ、の話題で盛り上がる。
リーダー:それでは、雨でも楽しくなるように、歌を歌いましょう。
→「あめふり」を歌う。
(「あめあめ ふれふれ かあさんが、じゃのめでお迎えうれしいな・・・」を歌
う)
リーダー:皆さんは雨の時の外出はどうしていましたか。
:こんな傘をさしていませんでしたか。
→番傘(ばんがさ)を出して開く。
→「それは番傘だ」、「いや蛇の目では」など、いろいろの意見あり。
*骨の細いのが、蛇の目。太いのが番傘,ということで皆さん何となく納得。
→傘を広げると、顔の色が傘の紙の色に染まって、綺麗に。
*皆さん、順番に傘をさして顔色を見てもらう。
*何気なく、コ・リーダーと参加者が一緒に傘に入る。
→「相合い傘だ」の声。
→なかなか良い雰囲気なので、記念写真を撮る。
(番傘は盛り上がる)
リーダー:皆さん、こんなものも履いていませんでしたか。
→藁草履(わらぞうり)を出す。
→この藁草履は、素材が「薄く剥いだ(はいだ)竹」で編んである。
→手触りで“藁(わら)”ではなく”竹草履”であることに気付き「これは竹だ
ね」というCさん。
リーダー:Cさん、これが藁ではなく竹でできていることに、よく気付きましたね。
→「手ざわりが違う」とのこと。
→素材が昔と違って竹に変わっていることに「時代が時代だから、藁(わら)な
んてないよ」という話に。
→しかし、皆さん、藁草履(わらぞうり)は「見たことはある」が自分で履いた
ことはない。
→子供の頃の”可愛い長靴”の思い出の話に。
リーダー:皆さんは、長靴の方を履かれていたようですね。
:子供の頃は、どんな長靴を履いていましたか。
:色は何色でしたか。赤?、ピンク?黒?
→女性は、赤色かピンクの長靴。
→長靴といっても、丈の短いタイプの長靴が多かった。
→下駄、ぽっくり、のように、足が濡れないものを履いて外出したことを思い出
す方も。
→高下駄(たかげた)を履いた、という思い出も。
リーダー:梅雨時は、洗濯はどうしていましたか。干すのが大変ですね。
→「軒下につるした」、「廊下に干した」の方が多い。
→「洗濯を干す部屋があった」という方も。
→農家の方は「土間に干した」とのこと。
→それぞれ、皆当時の家の状況に合わせて。
→洗濯機や乾燥機のような便利なものが、庶民の手に届かなかった時代には、い
ろいろと工夫と苦労があったようです。
リーダー:雨のときは、畑仕事はどうしてましたか。
*「雨の時は、農作業は休む」という方が多かった中で、Eさんの発言に注目が
集まる。
→「大雨のときは、畑仕事は休みだけど、少し雨が降った方が、草刈りにはよい」
「濡れていたほうが、鎌が切れるようになる」とのこと。
→農家での現役時代、経験されていた”雨と鎌の切れ味”の関係を鮮明に思い出
されたご様子。
*ご自分から目を輝かせて発言。
→皆さん、一様に感心。
リーダー:梅雨の食べ物には気を使いますね。
→「腐りやすいので、その時食べる量しか作らない」
→「全部、食べきるように、少なめに作る」などの発言あり。
→「残さないで食べてしまう」とのこと。
リーダー:梅雨時の料理として、何か特別のものはあったんですか。
→「梅雨時だけに作ったり、食べたりする料理は、特別にはなかった」
→「料理に、梅干しを使ったり、入れたりすると、長持ちする」
→「煮物にも、梅を入れて、梅煮に」
→「おにぎりやお弁当にも梅干しを」
→「梅干しを入れるのは、梅雨時だけではない」、「特別、梅雨の時だけという
ものはない」という発言もあり。
リーダー:冷蔵庫はありましたか。
→「冷蔵庫はない」
→「氷を買って、冷やした」の発言あり。
→「昔は、氷屋がリヤカーで売りに来た」
→「氷を買えるのは、お金持ちだけ」という発言も。
リーダー:それでは、食べ物のお話になりましたので、お茶とお菓子の時間に移りましょ
う。今は冷蔵庫もありますので、冷たいお水もあります。
<座直り>
・お茶とお菓子で雑談に。
・「梅干よりも、やはり甘いもの」という話で盛り上がる。 ・番傘などの和傘は、下向きにしてから、開きながら頭の上へ持ってくるけど、洋傘はい
ろいろなさし方がある」とコ・リーダーの発言があり、「傘のさし方」の話題に。
→「同じでは」、「いや違うはず」、「傘をさす人がやりやすいように」などの発言あり。
<回想法を振り返って>
1)番傘に、皆さん好反応で盛り上がった。番傘は回想法では”良い道具”である。
*傘を開いてさすと、顔の色が紙の色に染まるので、顔色に映えて、綺麗であった。
→傘の下の人だけが幻想的(?)な雰囲気に。
(一瞬ですが、傘の下に「幻想の世界」が出現したような印象でした)
2)予定になかったが、相合い傘の場面は良かった。、
→「誰と一緒に傘の中に」、「どちらが傘をもったのでしょうか」など、話題と笑いが
広がった。
*写真も撮ることができて盛り上がった。
→蛇の目傘(じゃのめ)と番傘(ばんがさ)は、違うものなのか?
→違うとすれば、どう違うか、も話題に。
→蛇の目傘も用意できれば良かった。(今回は番傘のみ)
→和傘には日傘もあるので「番傘、蛇の目傘、日傘」の3種類が用意できれば、違いが
より分かる。
3)和傘(蛇の目傘や番傘)と西洋傘の違いについても話題にすればよかった。
*傘をさす時に、和傘は、下向き(体の斜め前)にして、開きながら(開いてから?)、
頭上にもっていく。和傘の重さと形よって、一番自然な所作とのこと。
*歌舞伎や時代劇では、和傘をさすときの所作は優雅なので、そういう写真も用意でき
れば、もっと面白いお話を聞くことができたかもしれない。
4)草履は手に持つと、藁でないことが分かる。懐かしそうに、撫でさすっていた。やは
り、手に触れるものはインパクトがある。
→高下駄、ぽっくりの思い出話も出ていたので、高下駄か、ぽっくり下駄か、用意しても
良かったのかもしれない。
→幼児用の赤い長靴、も面白いかも。(道具過多が要注意だが)
5)梅雨の時の子供時代の過ごし方は、思い出としてかなり残っている、と分かった。
6)室内での遊びとして、おはじきやお手玉が話題になることを予想しておいて、話題に
なったときには、すぐに取り出しテーブルに置くことができるように、事前に用意し
ておいてもよかった、と思う。
7)「○梅雨のクイズ」も、結構みなさん、集中して熱心であった。
→皆さん、クイズや遊びの類は、好奇心が自然に涌いてくるようである。
8)農家の出で、農家に嫁いだEさんは、急に「雨の方が、鎌が切れる。少し濡れていた
方が、草はよく切れる」という発言には皆さんびっくり(感動)した。
→「Eさんのお顔が、一瞬ですが”野良仕事しているときの顔”になったようにと感じ
ました」とコ・リーダー。
→Eさんの家では”草刈りの常識”であったことが伝わってきました。「なんでこんな
に大事なことが、いままで思い出せなかったのか」という気持ちと同時に、突然思い
浮かんだので、びっくりして発言してしまった、という様子も伝わってきました。
→皆さん、感心して聞き入りました。
9)少し集中が途切れてきたら「あめふり」を歌ったことについて。
→少し集中力に欠けてきていた方もいたので、良い具タイミングであったが、お元気な
方には「話題が続いているのに、急に歌になってしまった印象」の方もおられたかも
しれない。
10)ソファーに横になって参加されたFさんは、コ・リーダー(施設スタッフ)を介して
ではあるが、テーブルに座って参加されていた方と同じくらい発言していただけたこ
とはよかった。
11)新しく参加されたBさんは、今回は発言が少なかったが、回想法の席に座っているこ
とは嫌ではないようであった。慣れてから沢山発言していただくことに。
(リーダー 大吉)
<事後に調べて分かったこと>
(以下は、コ・リーダーの報告です)
・最近では傘売場には洋傘しか見かけませんでしたので、久しぶりに和傘を持ってみます
と、懐かしく、少し優雅な気分にもなりました。
・傘のさし方の話題がありましたので、「傘のさし方に、和洋の区別があるのかどうか」
と、興味を持って調べてみました。以下、インターネットの記事を読み、さらに販売店で
教えていただいたことを箇条書きにしました。
・「傘のさし方」に限定すれば、和と洋での作法上の違いはないが、重量と構造の違いに
よって、以下の差が生じる。
①和傘は重いので、閉じたまま頭の上に持っていって、頭上で開くには、ある程度の力
が必要であり、女性には難しいのではないか。(軽い蛇の目傘ならできるかもしれない
が)
②和傘は、紙が張ってあるので、少し回しながらゆっくり開いた方がよい。頭上で開く
場合には、力加減が分からないので、破けてしまう危険性が高まる。
・「傘のさし方」には、以下のようなルール(考え方)があり、それは和傘でも洋傘でも共通
で「近くにいる人に迷惑を及ぼしたり、危険を与えないようにすること」が基本のようです。
具体的には
①肩に担ぐようにして、傘を開かないこと。
→すぐ後を歩いている人にとっては、前方が傘で見えなくなる。
②頭上に傘を持っていって、それから開く場合には、近くにいる(左右と後方の)人に
傘の骨(「親骨」という名称)が当たらないように気を付ける必要がある。
③雨に濡れた傘を開くときは、周囲に水が飛ばないように気を付けること。
・結局、歌舞伎や時代劇で和傘を開くときのように、前方、下向き、生地をほぐすように
少し回しながら、ゆっくりと、が、和洋に共通の「正しい傘の開き方」のようです。
以上
<テーマの目的>
テーマ:たけのこ(筍)
目 的:今の季節、筍(たけのこ)が旬(しゅん)である。その筍は「竹の子」から、
竹に育ち、いろいろな生活用品となって人間の役に立ち、炭(竹炭)になっ
ても役に立っている。そうした竹の一生と私たちのこれまでの人生と、関連
しながら思い出を語っていただく。
<実施日と参加者> 実施日:4月初旬
場 所:グループホーム(デイサービス併設) 実施者:リーダー1名、コ・リーダー6名、施設スタッフ1名
参加者:6名(90才台女性5名、80才台女性1名、要介護2~4)
<参加者への配慮>
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が発言
しやすいようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時があるの
で、集中していただけるように、話題に沿った問いかけを適宜行う
・不安感が強くなる方の場合は、ご様子を見ながら声かけを行い、安心して発言しやすい
ようにサポートする。
・聴くことは可能だが、発語が難しい方は、コ・リーダーが代弁しながら話題に参加して
いただく。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
耳元で話題を伝えてゆく。場合によっては筆談によりコミュニケーションをとることも
行う。
<進行予定>
1)簡単な自己紹介
2)筍を植えた箱(2個)を出す。
・筍を採った経験、採り方について話していただく。
・筍の皮の剥き方、切り方、の話では、実際にやっていただく。
・筍の調理法について話していただく。
・茹でておいた筍を、少し食べてもらう。
3)竹の一生を、人間の生活との関係で話題にしていく。
①筍(竹の誕生)→筍採りの話に
②「竹とんぼ」、「水鉄砲」→子供の頃に遊んだ話に。
③「竹駕籠(かご)」は農作業や炊事に使った生活必需品、「竹尺(竹製物差し)」で 着物を縫い、「花入れ」には花を生けることもあれば「水差し」としても使った。
竹は人間生活全般の便利な道具として役に立っていた。
④最後に「竹炭」を出す。→竹を利用する最終の利用形態。
・竹炭は消臭や水の浄化に使われる。黒こげの姿になっても、人間生活に役立ってい
るのは立派。人間の方もそれぞれの年代に応じて役割があり、お役にたっているこ
とを確認していただく。
⑤実際の流れは、このような順番にはならないので、その時々の発言内容に沿っていく
が、話の区切り毎に「竹の一生」と「人間の一生」を重ねるようにまとめていく。
<用意した道具>
1)段ボール箱に土を入れ、細かく切った藁(わら)を敷き、中に筍の大きなものは2つ、
中くらいと小さなものを幾つか混ぜて、顔を出すように埋めて、「竹林の中で、枯葉
をかき分けて生えた筍」の雰囲気になるようにする。(箱は、2つに分けて)
(このページの写真は、その上をクリックすると、拡大して見ることができます)
2)軍手も2組用意。皆さんに、軍手をはめてかき分けてもらうため。
3)竹で作った生活用具類
・竹駕籠(平型、取っ手付きを各1個) 、物差し(竹製)
(可能なら、竹トンボ3個、水鉄砲、竹笛、竹製団扇等、賑やかに)
4)花入れ(竹製)
5)竹炭
6)梅干し(竹皮に包んで嘗めるため、人数分くらい)
<実際の進行>
リーダー:では、お話会を始めましょう。
→開始を告げてから、室外に用意した布をかけた大きな箱を持って入ってくる。
リーダー:「これは何でしょうか?」と机に置く。 皆さん :何だろう?と、わいわいがやがや。⇑クリックすると拡大
リーダー:おもむろに布を取る。
→大きな筍は、見た目の迫力は満点。
皆さん :歓声、すごい、などの歓声。
リーダー:今日は、筍のお話です。
:筍を煮てきました。皆さん、一口ずつ食べてください。
→コ・リーダーが、各人に小皿で配る。
→ひとしきり,「美味しい」,「少し苦い」,「柔らかい」
「味付けが薄い」、「いや美味しい」、「硬い」など、 わいわい、やがやしながら食べる。
リーダー:筍を採ったことがありますか? (リックすると拡大⇓)
Eさん :あるよ。家に生えてきたので、採った。
リーダー:Aさんはどうですか?
→自分で何度か採った経験のある参加者は、Aさん、コ・リーダー②、
1回だけあったのはコ・リーダー④、
→他の参加者は、食べたことはあるが、採ったことはない。
*皆さんに、一通り、経験の有無を聞く。
リーダー:では、筍を掘ったことのあるAさんに、実際に掘ってもらいましょう。
→筍の生えた箱をAさんの前に置き、軍手をはめてもらい、実際に藁と土をかき
分けて、筍を採ってもらう。
→軍手に少し泥が付いて、リアルである。
リーダー:生の筍を、お刺身で食べたことはありますか?
Eさん :ないよ。煮て食べたよ。
リーダー:他の方はいかがですか?
→筍を生で食べたことがない人が多かったが、Aさんとコ・リーダー③は、刺身
のようにお醤油を付けて食べたことあり。美味しかった。
→筍の刺身はお酒に合いそう、という意見もあり。
リーダー:では、今から、この掘った筍をむいて、お刺身にして、皆で食べましょう。
リーダー:竹は生まれてすぐに、私たち人間の役に立っているのですね。
:では、これは何かに使いましたか?
→むいた筍の皮を出す。むいたばかりの皮は白くて柔らかい。
→「やわらかい皮に梅干しをはさんでしゃぶった」,「けっこう美味しかった」
など、ワイワイガヤガヤ。
→コ・リーダーが梅干しを出して、皮に包み、全員に配る。
→「美味しい」、「しょっぱい」などの意見あり。梅干しが皮からはみ出して
しょっぱい顔の人が数名。
Aさん :私は、お味噌を入れて食べた。
→味噌を入れたのはAさんのみであった。美味しいとのこと。
Aさん :その白い皮をきざんで、おやつで食べた。
→皆、一様にびっくり。皮の方を食べたことがあるのはAさんのみ。
リーダー:どんなふうに食べたのですか?
→「千切りにした」とのことなので、リーダーが、Aさんの言うとおりに、千切
りにする。
→「皮の赤くない白いところを、醤油を付けて食べた」とのことなので、試して
みる。
→皆さんが食べる。それほど苦くはない。風味あり。
リーダー:皮も役に立って、竹の子も役に立って、すごいですね。Dさんはこうして皮を
千切りにして食べましたか?
(Dさんは、質問に答えようとするが、なかなか言葉が出てこない。隣のコ・リーダー③
が、唇の動きから、「食べたことないですよね?」と問いかけると、Dさんはうなずき、
さらに何かお話する。その表情から、「美味しそうじゃないですよね?」とコ・リーダー③が聞くと、Dさんは笑いながら大きくうなずく)
コ・リーダー③:ハーイ(と挙手)
:Dさんは「食べたことはない。美味しそうでもない」と言っております。
リーダー:分かりました。皆さん。Dさんは「生の皮は食べたことがなく、美味しそう
でもない」とおっしゃってます。
:こうして皮を千切りにして食べた方、どなたかいらっしゃいますか?
Eさん :生では食べなかったよ。筍は家に竹が無かったので、もらって植えた。
:そうしたら、隣の家にも筍が生えてきて、道をはさんだ土手にも、毎年のよう
に生えてきて、それを採った。 →「そうか、地下で茎が伸びるんだ」、「地震の時は竹林に逃げろ、と言います
からね」、
→「土手の筍は他の人に採られないように囲いなどしましたか?しないよ」など
のやりとりあり。 リーダー:では、赤ちゃん時代の筍のお話はこのくらいにして、この筍が
大きくなると、どうなりますか?
→「その筍は太いから孟宗竹」、「家の近くは細い竹が多い」
「真竹はまた違う」などのやりとりあり。
リーダー:これはどう使ったのですか?と孟宗竹を切った花瓶を出す。
→「それは花を入れる」「グラジオラスを活けた」の発言あり。
→花瓶の役割で一致。
*用意した竹トンボ、物差し(竹製)、竹笛、竹製籠など、それぞれ手に取って
て、にぎやかに雑談。いろいろと役に立っている、と実感。
Eさん :真竹(まだけ)は細く割いてベトコンを作った。
→ベトコンの言葉に一同驚く。「ベトコンとは何?」と一同。
Eさん :こうして曲げて、地面に刺してその上にビニールを被せる。
→「ビニールハウスだ」、「小さな背の低いビニールハウス」
「蒲鉾型にするんだ」「確かに見たことある」の発言あり。
リーダー:竹の物差しを見せ、それを曲げながら、
→「竹は細く割いても、こんなに曲がるんだ」とやってみる。
Eさん :そのべトコンの中に野菜を植える。大根や蕪を蒔(ま)いたりして植える。
→「ほうれん草も植える?」、「いや、ほうれん草は植えない」、「寒さに弱い
野菜だけ入れるんだ」、などのやりとりあり。
Eさん :ベトコンは、天気が良くて暖かいと、中が熱くなりすぎて、野菜が枯れてしま
うので、昼間は開けておき、夜は閉じておく。
→「風を入れるんだ」,「農家の手間も大変だ」などのやりとり
あり。
リーダー:Eさんは誰とそのベトコンを作ったのですか?
Eさん :3人でやった。
リーダー:3人って誰ですか?
Eさん :倅(せがれ)と嫁と私。 (注「せがれ」は「むすこ」のこと)
→「倅と嫁とEさんの3人」か。Eさんたち3人で頑張っている様子が思い出し
ますね。などのやりとりあり。
リーダー:Aさんも、ベトコンは作りましたか?
Aさん :うちもビニールで作ったよ。
→Aさんは、旦那さん、お嫁さんの3人で作ったとのこと。
リーダー:「これはどう使いますか?」と平たい笊(ざる)と柄付きの駕籠(かご)。
Eさん :その平たい笊(ざる)で、落花生を篩(ふる)った。
→「落花生のゴミを取るんだ」、「重かったでしょう」、「いや重くない」
「その笊一杯をふるうと10円貰った」、「子供の頃のお手伝いのお小 遣い
だったんだ」、などのやりとりあり。
Cさん : そんな駕籠(かご)は、自分で編んだ。
リーダー: 皆さん、Cさんはご自分で竹を編んだんだそうです。それはすごい。手間が
大変でしょう。
→「いや、そうでもない。長く座っているのでお尻が痛かった」などのやりとり
あり(一同笑)
リーダー:「これは何ですか?」と竹の物差しを見せる。
→「ものさしし」の答え。「鯨尺(くじらじゃく)だ」の答えも。
→「着物を縫うときに鯨尺を使った」,「尺だけなくセンチもある」
などのやりとりあり。
→「私は、姿勢が悪いと背中に物差しを入れられた」の答えに爆笑。
→「自分も背中に入れた」人が何人かいた。
リーダー;これ、熊手もどき。これは何に使ったかな?
→ミニチュアのものなので、「小さい」、「可愛い」などの声。
→庭の枯葉や、畑の草を集めるのに使った。。
→参加者に、実際に熊手を持って、身ぶり、手振りで使い方を説明して
もらう。
→「酉の市では、小さな熊手も飾って売っているね」,「縁起物で商売
繁盛だ」、「お金をかき集めるんだ」などのやりとりあり。
Aさん :その熊手は作ったよ、と発言。
リーダー:えーどうやって作ったの。
Aさん :火であぶって曲げた。
→皆、すごい、と感心。
リーダー:竹トンボはやったことはありますか?
Cさん :私はやったことないね。
→コ・リーダー⑤、コ・リーダー②が、竹トンボを飛ばす。
*何回かデモ飛行。
コ・リーダー⑤:竹トンボはけっこう良く飛びますね。
*「この年齢でやっても、けっこう面白いですね」、「女の子はやらなかった」
「男の子が遊んでいた」などのやりとりあり。
リーダー:竹はいろいろと役に立ってますね。
→筍の時は食糧に、農業ではベトコンという小さな温室に、竹籠や物差しや、
花入れで生活用品に、熊手はお掃除に、竹はすごいですね、など、これま
での話を確認するやりとりあり。
リーダー:竹はいろいろと役になってますね。では、これはなんですか?
→竹炭を出す。
→最初は分からなかったが、すぐに「炭だ」の声。竹の形のまま黒い炭に。
*一片づつ回して手にとってもらう。
→「消臭剤に使う」、「水の浄化に入れている」、「家を立てるときに湿気
取りに床に敷いた」、「火鉢の炭に」、などのやりとりあり。
リーダー:筍、色々な竹製の生活用具、炭、を並べながら、
:こんな順番で、お役にたっているのですね。
:竹の一生は、最後に、炭になって身を焦がす。
:身を焦がしてまでお役に立って終わる、偉いですね。
→「考えてみればすごいですね」、「いろいろ役立っているね」など、やりとり
あり。
コ・リーダー③:竹のように、初めから終わりまで、炭になっても役に立つ、見習いたいです
ですね。
→竹のように真っ直ぐに生きなきゃ、年令相応に、やることがある、など、発言
あり。
リーダー:皆さんのように頑張らなくちゃ。Fさん、とりあえず、何する。何したい?
:では、とりあえず食べましょう。美味しい物を食べて元気になりましょう。
*では、美味しい筍を食べて、と「筍のチョコ」を出す。
<座直り>
・お茶、お菓子は桜色の最中、チョコの筍、等、食べながら、雑談。その中で竹に関する
ものを略記します。
・「竹の貯金箱」の話あり。
→竹の節から節まで細い切れ目を作り、そこから小銭を入れる。
壊さなければ開けられないので、お金が貯まる。
・大きな竹の背負い籠で、行商にでたおばさんがいた。あれも竹で編んだのも。
・背負い籠といえば、近所に「しょいかーご」という農産物の直販店があり大人気。
など。
<回想法を振り返って>
①筍から、道具類、炭まで、竹の一生を、一通り話題にできたのは良かった。
②丁度、筍の出回る季節で、大きいもの、小さいもの、色々と用意できて良かった。
(地元密着のスーパーで安く購入できた)
③実際の土と麦わらを用意できたのは良かった。(DIYで売っている)いかにも実際に
生えているような雰囲気で出せた。
*一番大きな筍は藁から30センチ以上は高く、威容といえるほど貫禄があり、
皆さんびっくり。非常にインパクトがあってよかった。
(大きい竹の子は、迫力満点。まず、コ・リーダーの方がびっくりした。)
④火吹き竹も用意したかったが、間に合わず残念。
→皆さんに吹いてもらうのも面白かったかも。
→吹き方のコツ、ご飯の炊き方、お風呂の火の付け方、など、お話が聞けたかも。
⑤竹駕籠は、もっと使い方や、生活の役に立っていたことを話してもらいたかった。
(時間がなかったので、はしょった)
⑦水鉄砲は、実際に水を入れて飛ばしてみれば良かったか?
(しかし、水をどの方向に飛ばす?室内では無理か)
⑧竹の子料理の話を考えていたが、そこまでは話が進まなかった。
⑨発語の困難な方は、思い通りに言葉にならずもどかしそうであったが、コ・リーダーを
介して、何回か発言していただくことができた。ご自分の意見が皆さんに注目されるこ
とで、表情も生き生きとしていた。
コ・リーダーの反省点としては、前半の時間にも、もっと積極的に、コ・リーダーが
挙手をしたり、アピールをして、発言をしていただければよかった。コ・リーダーとし
ては遠慮気味であった。 ⑩参加者は女性が多い(今回は全て女性)ので、顔馴染みとの井戸端会議のような雰囲気
で話してもらうよう心掛けているが、なんとか楽しくお話しできたように思う。
(リーダー 室井)
]]><実施日と参加者>
実施日:3月上旬
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
実施者:リーダー1名、コ・リーダー2名
参加者:8名(100才の女性2名と90才台女性3名と80才台女性2名は要介護
2~4、80才台女性1名)
<参加者への配慮>
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が
発言しやすいようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時が多
くあるようなので、集中していただけるように話題に沿った問いかけを適宜行う。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
・座位を保つことが難しい体調の方もおられるので、ソファへの移動も考慮する。
<進行予定>
1)赤ちゃんと母親(私の孫と娘です)も参加させ、皆さんに赤ちゃんを抱っこして
もらう。
2)お話いただく子育て期間は、1才あたりまでとして、母親としての喜びをどんな
ふうに、感じて、悩んで、大切に育ててきたのか、お話しいただく。
<用意した道具>
1)赤ちゃん
<実際進行>
リーダー:皆さん、こんにちは。
:皆さん、シールは貼られましたか?
(皆さんが着席され、出席簿に出席のシールを貼っている時に、赤ちゃんが
お母さんに抱っこされて登場)
→「可愛い」、「笑っている」、「泣かない」など、赤ちゃんを見てびっくり
したり、喜んだり。
リーダー:今日は、私、娘、孫、の三世代でやってきました。
→「わー、可愛い」(皆さんわいわい)
(リーダーが抱っこする。まだテーブルに立てない)
→「あらあら、泣いちゃった」、「もう笑っている」、「笑った」(皆さん)
:まだ、6ヶ月。
:Aさん、ひ孫だよ。
→「ひ孫はいたよ」(Aさん)
:まだ愛想がいいです。まだ人見知りしません。今のうちです。もうちょっ
とすると人見知りします。
リーダー:では、始めましょう。
:今日は、皆さんに、お母さんに戻っていただきます。
→「まだ私に抱っこしてる」(Bさん)
→「まだ、何も分かんないから、いいね」(Cさん)
「人見知りする頃になると、泣かれちゃうよ」
「孫が遊びにきても、そばに行けなかった。泣くので」
「慣れる頃には、帰っちゃう」(Cさん)
→「おっぱい飲むの?、ミルクは?」(Dさん)
リーダー:今日は、赤ちゃんがテーマです。
:赤ちゃんと子育てのお話。そこで赤ちゃんを連れてきました。
:そして、今日は、Cさんのお誕生日です。
:女の人だから、お年は聞きません。Cさんが赤ちゃんの頃は、どんな赤ち
ゃんだったか、覚えてませんよね。
→「自分の赤ちゃんの頃は、分かんないね。覚えてない」(Cさん)
:お子さんは、何人ですか?
→「3人。男二人、女一人」(Cさん)
:子育ては大変でしたか?
→「楽じゃないね」(Cさん)
リーダー:3人ともおっぱいですか?
→「少なかった」(Cさん)
:こんなの使いましたか?
→「使った。でも昔は粉ミルクといっても、たいしたの無かった」
「粉ミルクはあったけど、おっぱいだった」(Cさん)
→「もらいおっぱい、あったね」(Dさん)
→「沢山は出なかったけど、もらってない。自分ので」(Cさん)
→「自分も沢山は出なかったけど、自分のだけでやっとだった」(Hさん)
リーダー:Bさんは、おっぱいでしたか?
→「4人子供がいたけど、全部、自分のおっぱい」
「だから大きい」(Bさん)(「大きい」という手振りに、皆さん大笑)
(皆さんは「自分ので足りた」、「少し足りなかった」など、わいわいがや
がや。「もらいおっぱい」はしないで、何とか大丈夫だったとのこと)
リーダー:私は、あの子(赤ちゃんのお母さん)を育てるのに、あまり出なかった。
→「重湯(おもゆ)という、おかゆのようなものを飲ませる人もいた」
(Gさん)
→「米を粉にして、甘く砂糖を入れて、飲ませた人も」(Dさん)
(赤ちゃんは、お母さんに抱っこされて、皆の話を聞いている)
→「おとなしいね。泣かないで、抱っこされている」
「おとなしいね」、「可愛いね」(など、皆さんは赤ちゃんに注目)
→「可愛いね。可愛いけど、一人前に育てるのは大変だったね」(Bさん)
→「そりゃ楽じゃないね。当時は、何にも、ものがなかったから」(Cさん)
「当時は、東京にいたから、地元でなかったから、大変。ミルクは主人が
見つけてくれた」(Cさん)
→「脱脂粉乳、なんてあったね」
「油が少し浮いてくるの」(Dさん)
リーダー:Hさんは、お子さんは?
→「3人。三つか四つ離れている」(Hさん)
:大変だったでしょう。ネジリハチマキ?
→「大変よ。ネジリハチマキはしなかったけど、あっちが泣いて、こっちを
抱っこして」
「親がいたから、親に見て貰った」
「お母さん。おばあちゃんもいたから」(Hさん)
:三世代ですね。
→「でも、お父さんとおじいちゃんはいなかった」(Hさん)
:女手があると、いいですね。
→「3人いた。皆、三つ位づつ離れていた(Aさん)
「おばあさん、おっかさん、もいた」(Aさん)
:Aさんのおばあさんですから、四世代が一緒だったのですね。
→「私は一人で育てた」(Bさん)
:一人で、ですか? 皆さん、ここに豪傑(ごうけつ)がおりました。
→「4人の子供がいたが、3歳くらいづつ違う」
「一人はいつも抱っこ。大変だよ」(Bさん)
:大変だったですね。その頃は鬼みたいな顔で頑張ってましたか?
→「自分の顔なんか、分かんないよ」(Bさん)
:ご飯の支度は?
→「やったよ、しょうがないから」(Bさん)
「白いご飯だけでは、子供は食べない。おかずは、なんかしらは作った」
「おかずは、一つ。そんなもんだよ。いっぱいはできないよ」(Bさん)
「洗濯もやったよ。こんなにして」(洗濯板をこする動作をされる)
:今みたいに、スイッチ入れて、ポンじゃないですね。
→「私がこうすると、背中の赤ちゃんの頭がこうなって」(前後に、ぐらぐ
ら、揺すられる様子を、Bさんは身振りで)
「それでも寝てたよ」(笑い)
「背中で、こんなになっても、寝てるよ。洗濯板で洗ったね」(Bさん)
→「洗濯は印旛沼で洗った。水はきれいだった」
「洗濯も、食べ物も洗った。場所が決まっていた」(Dさん)
→「おぶわなきゃ、洗濯できない。掃除する時もずっと」(Bさん)
「若いから、肩がこったりしない」
「初めてできたのが、二十歳だったからね」(Bさん)
→「私は、22歳くらいかな。初めての子供は」(Cさん)
:Aさんは、初めてのお子さんは何歳の時ですか?
→「何歳だったかな?忘れた」(Aさん)
:18歳?
→「そんな若くはない。忘れちゃった」(Aさん)
:初めての赤ちゃんができたときは、どんな気持ちでしたか?
嬉しかったですか?
→「そりゃ、嬉しかったよ」(Aさん)
:旦那さんも喜んでくれましたか?
→「そりゃ、そうだったよ」(Aさん)
→「初めて子供をお風呂に入れるときは、どうしようか、と思った」(Bさ
ん)
→「そうだね」(Aさん)
→「ツルツルしてるから、落っことしたら、たいへんでしょ」
「おっかなかったよ」(Bさん)
:落っことしたは、なかったのですか?
→「そんなことはなかったよ」(Bさん)
→「首をちゃんと持って、こうしてね」(手真似をしながら、Dさん)
リーダー:初めてのお子さんが生まれた時は、どんな気持ちでしたか?
→「私は一人しかいない。女の子」(Hさん)
「生むのは大変だけど、みんなやっていることだから」(Hさん)
(男性のコ・リーダー②が、次の質問をしたら、お話に熱がこもる)
コ・リーダー②:ご自分の赤ちゃんは、生まれて最初に見た時、可愛く思いましたか?
→「そりゃ、可愛いよ」(と皆さん)
:しわくちゃで、お猿さんみたいだったことを思い出しました。
→「可愛いよ。男のひとに人には分かんないよ」(Gさん)
→「女は自分のおなかを痛めたから、可愛い」(Hさん)
→「男には分からない。あのお腹の痛さは分かんないよ」(Gさん)
→「子供を殺した事件がよくあるが、なんでそんなことができるか、分から
ない。可愛くてしょうがないよ」(Bさん)
→「自分の子は、どんな**でも可愛いって言いますね」(コ・リーダー①)
→「どんなにお金貰っても殺せない」(Bさん)
「自分の食べ物を削ってでも、子供には食べさせる」
「食べ物がなかった時、子供にあげたもの」(Bさん)
→「私の母が、自分はおっぱいがいっぱい出たから、あんたも出るよ、と言
ってくれた」(Fさん)
「だから、おっぱいで育てたが、少し大きくなったら、ミルクもあげた」
→「おっぱいが張ってくると、痛いの」(Gさん)
「張ってくると、すぐ、飲ましちゃう。すぐ飲ませれば痛くない」(Gさ
ん)
→「ピュー、と出るよ。噴水のように。本当だよ」(Bさん)
→「お母さんの栄養もあるけど、ピューと出ますね」(コ・リーダー①)
→「ピューと出るから、濡れちゃう。手ぬぐいを当てていた」(Gさん)
→「いっぱいは出なかったので、赤んぼが大きくなってきたら、足りないの
で、薬局に相談したら、粉ミルクを飲ませるように言われた」(Fさん)
→「粉ミルクは、お金がないと買えない」(Gさん)
→「ミルクもほ乳瓶の口では、ぺっと吐き出しちゃって、飲まない。やっぱ
り、本物のおっぱいしか飲まなかった」(Bさん)
リーダー:皆さん、ご自分のおっぱいで育てたんですね。
:おっぱいを吸われる感覚は、どんな気持ちでしたか?
→「幸せな気分だよ」(Bさん)
→「良かったよ」(Aさん)
→「嬉しかったね」(Fさん)
→「出は良くなかったけど、幸せと思った」(Hさん)
(「それにしても、おとなしい赤ちゃんだね」というCさんの発言で、皆さ
んは改めて赤ちゃんに注目)
(来客の赤ちゃんは静かに、皆さんのお話を聞いて?いる様子)
(「おなかがいっぱいだから、おとなしい」とお母さん)
リーダー:では、おむつはどうしてました?
→「浴衣を、ほどいて、洗って、輪にして洗濯棒に干した」(Bさん)
→「一反の木綿を買ってきて、おしめにした」(Cさん)
→「浴衣の古いの。肌触りがいい」(Bさん)
→「おむつは、自分で縫ったよ」(Cさん)
:何枚くらい作ったのですか?
→「数えてないよ」(Cさん)
「横に2枚、立てに1枚。3枚使ったと思うよ」
「1日に何回かな。日によって違うよ」(Cさん)
コ・リーダー②:何処の家に赤ちゃんがいるのかは、庭の物干し見れば分かりましたね。
あれだけの沢山のおむつは、使わなくなったら、誰かにあげたんですか?
:取っておいて、また浴衣に縫い直すのですか?
→「ぼろにいれて、ゴミと一緒に捨てた」(Bさん)
→「洗ってしまっておいたけど、使わなくなって捨てた」(Gさん)
→「もうボロボロになっている。汚れがなかなか落ちないから、石鹸つけて、
ゴシゴシやるから、ボロボロになっちゃている」(Bさん)
:庭に干してあるおむつは、風に吹かれて、吹き流しみたいにきれいに見え
ますが。
→「人にはあげられないよ。おむつは」(Bさん)
→「長く持つものじゃないよ。雑巾にした」(Dさん)
→「燃したかな?忘れた」(Cさん)
→「昔の人は手が達者だから。おむつは自分で縫った」(Dさん)
リーダー:赤ちゃんが泣いた時は、まず何を考えますか?
→「おっぱいかな」(Dさん)
→「まず、おっぱい。飲んだばかりなら、おしっこ」(Hさん)
:濡れてないのに泣いたら?
→「外に連れて行って、ヨイヨイとあやした」(Bさん)
リーダー:初めて寝返りしたり、初めて立ったり、した時のことは覚えてますか?
→「覚えているよ」(Aさん)
「角に頭をぶつけた。あと一歩、と言うところで、こんな角のところに、
ぶつけた」(Aさん)
→「炬燵(こたつ)の縁に手をやって立っている時、歩くようになればいい
な、と思った」(Cさん)
→「つたえ歩き、ちょっと手を貸してあげると、歩けるようになる」(Cさ
ん)
:炬燵(こたつ)は、高さが丁度いいですね。
(来賓の赤ちゃんは、静かに、皆のお話を聞いているかのように、ニコニコ
している)
→「泣かないで、利口だね」(Dさん)
→「笑っているよ」(Cさん)
リーダー:皆さんのお話を聞いて、赤ちゃんもご機嫌みたいですね。
コ・リーダー①:こんな風に、いつもニコニコしていますか。
→「そうですね。こんな感じです」(お母さん)
「やっと寝返り。ハイハイはまだです」(お母さん)
リーダー:だんだん大きくなって、小学校に入る頃は、親からも離れていきます。
:どんな気持ちだったんでしょうか。親としては嬉しかったですか?
→「嬉しいより、大変。学校に行くのは」(Cさん)
→「どんなふうになるかな、心配だった」(Aさん)
→「昔は、あんまり悪い人がいなかったから、暗くなっても、遊んでいて」
「大人の自転車しかなかったので、それに乗って遊んでいた」(Cさん)
:子供は体が小さくて、乗れないから、三角乗りしていたですね。
→「私が仕事から帰ってきたら、下水か何かに落ちたらしく、顔が血だらけ
になってた」(Cさん)
「主人が夜中に自転車に乗せて、医者に行って、3針縫った」
「私は、寝ないで待ってた。びっくりした。心配だったよ」
「夕飯も食べないで行ったので、パンを食べた、と言っていた」
「眼は大丈夫だったので良かった」(Cさん)
:今のようのに、子供の自転車が無かったですからね。
→「大人の自転車で、転んだ。本当にびっくりした」(Cさん)
→「あんまり子供ことは心配しかったよ」(Bさん)
「欲しいといえば、買ってやったよ」
「自転車屋の前で、2時間も泣いているので、買った。しょうがないか
ら」(Bさん)
「子供は自転車を乗りたがったよね」(Cさん)
リーダー:皆さんのお子さんの学校の成績はどうだったんですか?
→「上の口じゃないよ」(Cさん)(笑い)
→「苦労したことよりも、楽しかったことの方が覚えていますね」(コ・リー
ダー①)
リーダー:皆さん、子供を産んで良かったと思いますか?
→「そりゃそうよ。産んで良かったよ」(Bさん)
「子供いないと、大変だよ。若い時はいいけど」(Cさん)
(「子供のいる人は、運が良かった」、と皆さん頷く)
→「子供がいりから頑張れたよ」(Bさん)
リーダー:男性の方も、お子さんがいて幸せですか?
→「幸せですが、女の人とは、少し違いますね。子育てが終りましたので、
今は一人旅に出たいです」(コ・リーダー②)
→「一人で旅に出ればいいよ」(Bさん)
→「まだまだ若いから、大丈夫だよ」(Cさん)(笑い)
リーダー:どんな苦労しても、産んで、育てて、幸せですね。
→「子供も3人3様」(Cさん)
:確かに、同じ親なのに、考え方も行動も全部違う。どうしてですか?
→「分からないよ。そんなこと聞かれて困っちゃよ」(Cさん)
→「確かに違う」、「親は同じでも違うね」、「神様しか分からないよ」
などと皆さん、わいわいがやがや。
:神様だけが知っているそうです。
:では、神様が登場いしたしましたので、そろそろお茶に。
<座直り>
・本日はCさんの誕生日なので施設からケーキがプレゼントされ、皆さんもお裾分け
をいただきました。
(回想法を実施した「その日が誕生日」であったことは初めてです)
→「同月」でのケーキは沢山ありますが、「当日」は初めてですので、ハッピー・
バースディのかけ声にも気合いが入りました。
・赤ちゃんは、お茶の時間でも、ずっとニコニコしていました。
(「一つも泣かないで、偉いね」、「皆と一緒で、嬉しいみたい」、「まだおっぱ
いだけで、ケーキは食べません」などと、最後まで話題の中心でした。立派な
主役でした)
<回想法を振り返って>
・私(リーダー)が回想法のテーマを「何にしようかな」考えておりましたら、丁度
遊びに来ていた娘から「回想法ってどんなことをしているの?」と質問がありまし
た。孫(赤ちゃん)もニコニコして、一緒に私を見ています。
・「そうだ、娘と赤ちゃんと一緒に連れて行こう」とひらめきました。
→赤ちゃんを見ながら、皆さんにお話していただければ、ご自分の子育て時代を思
い出されて、かなり盛り上がるのではないか、とも思いました。
→赤ちゃんは生後六ヶ月ですので、まだ人見知りせず、だれにでも愛想の良い時期
です。もうしばらくすると人見知りと自己主張が始まりますので、絶好のタイミ
ングでもありました。
・参加された皆さん全員が赤ちゃんに興味津々(きょうみしんしん)で、日頃の何倍
も、笑顔が多かったように思います。
→また、いつもはお話が出にくい方でも、今日は「赤ちゃんと子育て」いう思い出
に集中してお話されていたように思いました。
→赤ちゃんは、「回想法の道具(?)として最強」とも感じました。
・しかし、私自身は、最初はなんとなく落ち着きませんでした。孫(赤ちゃん)のこ
とが気になっていたのかもしれません。
(リーダー:室井)
]]><実施日と参加者>
実施日:1月中旬
場 所:グループホーム(デイサービス併設)
実施者:リーダー1名、コ・リーダー5名(施設スタッフの見学者2名含む)
参加者:6名(90才台女性4名は要介護1~4、80才台女性2名)
<参加者への配慮>
・お元気だが遠慮気味の方は、リーダーが意識的に指名し、コ・リーダーはその方が
発言しやすいようにサポートする。
・お元気な方でも、聞いている(聞こえている)ように見えても、そうでない時が多
くあるようなので、集中していただけるように話題に沿った問いかけを適宜行う。
・着座を続けることが苦手な方には、ご様子を見ながら声かけを行い、時には発言を
うながし、楽しんで参加していただけるようにサポートする。
・片側のみ、かろうじて聞くことが可能な方には、コ・リーダーが聞こえる側に座り、
筆談によりコミュニケーションをとりながら、口頭でも話題を伝えてサポートする。
<進行予定>
1)新年になって初めての回想法なので、初夢のお話から始める。
・今年はどのような初夢を見たか、話していただく。
・もし希望通りに初夢を見ることができるとすれば、どのタイプの夢を見たいか、
→「いちふじ(一富士)、にたか(二鷹)、さんなすび(三茄子)」から選んで
いただく。(団扇に絵を描いておき、それから選ぶことがきるようにする)
2)お正月は晴れ着を着た方も多かったと思うので、お正月の着物や、晴れ着につい
て話していただく。
3)普段の生活ではどのような着物を着ていたか、着物に関する様々な思い出を話題
とする。
<用意した道具>
1)小紋(こもん)
・リーダーの娘時代のもの。
2)黒絵羽織
・リーダーの母のもの。
3)富士山(いちふじ)、鷹(にたか)、茄子(なすび)を描いた団扇(うちわ)を、
各1枚。
<実際の進行>
リーダー:今年、初めてのお話会です。
:おそまきながら、新年おめでとうございます。
:今年もよろしくお願いいたします。
:皆さん、今年は初夢みましたか。
→「初夢は見なかった」(Dさん)
→「最近、夢など見ない」、「夢を見たことも覚えてない」などの発言あり。
→「友達と一緒に、道を歩いている、そんな夢を見た」(Eさん)
→「誰とですか?」(リーダー)
→「教えない」(Eさん)などのやりとりあり。
リーダー:お正月の夢で、縁起の良い夢といえば、何ですか?
→「いちふじ、にたか、さんなすび」(Aさん、Dさん)
リーダー:一番が富士山、二番目が鷹、三番目が茄子(なすび)ですね。
:一番目の富士山の初夢は見たことがありますか?
→「富士山の夢なんか、なかなか見られないよ」(Dさん)
(富士山の初夢を見た方は、誰もいなかった)
リーダー:富士山は縁起が良いのは分かりますが、鷹は何で縁起がよいのですか?
→「たか、に、ら、がつくと、宝だから」(コ・リーダー②)
→「鷹は、賢い、強いといわれるから」(コ・リーダー③)
→「鷹は鳥の王様だから」(Fさん)などの発言あり。
リーダー:では、なすび(茄子)は、何故でしょうか。
→「わからない」(Dさん)
→「茄子が好きな人が、このことわざを作った。漬物にすると美味しい」(A
さん)などの発言あり。
→「事を為す、物事を実行する、という言葉があるから」(コ・リーダー④)
(「成功するんだ」、「縁起が良いんだ」などの発言あり)
リーダー:初夢は、普通は元旦の夜に見る夢のことですが、鎌倉時代は、節分と立春
の間に見る夢を初夢といっていたそうです。それならまだ間に合う。
今年の節分が2月3日で、立春が2月4日ですから、
2月3日の夜に見る夢も初夢です。まだ間に合います。
:皆さん、2月3日には、どんな初夢を見たいですか。
:新年の初めてのお話会ですので、自己紹介も兼ねて、お名前とどんな初夢
を見たいのか、お話ください。
:見たい初夢はこの「富士山、鷹、茄子」の3つの団扇から選んでください。
:では、Aさんからお願いします。
→「Aです。茄子(なす)が大好きだから、なすび(茄子)の夢を見たいと
思います」
「今、茄子が高い。高くなって、1つ50円もするので、買いたくない」
「20円くらいなら、いっぱい買える」
「1本50円もするから、味噌漬けにしようとしても、もったいない」
(Aさん)
リーダー:Aさんは、お茄子が好きだから、茄子の夢を見たいそうです。茄子が安く
なって、味噌漬けにして食べたいそうです。
(以下、順番に自己紹介を行っていただく)
→「山が好きなので、今年もたくさん山登りできるように、富士山」(コ・
リーダー②)
→「Fです。私も、やっぱり富士山。日本一の山だから」(Fさん)
→「富士山、世界遺産なったから。ごみが多いみたい。皆で綺麗にしないと」
(コ・リーダー⑤)
→「私は富士山。住んでいた家から、お天気が良いと富士山が見えた。だか
ら好き」(Dさん)
:富士山には、登ったことはありますか?
→「近くまで行ったけど、登ったことはない」(Dさん)
:では、Dさんは、今年の初夢では、富士山に登る夢を見ることができると
いいですね。頑張ってください。
→「私、まだ名前を言っていない。私はDです。よろしくお願いします」
→「鷹の夢。鷹って魅力ある。動物園でも格好良い。強そう」(コ・リーダー④)
「鷹って、賢そう。私は賢くないけれど」(コ・リーダー③)
→「夢の中で、鷹に突かれないように」(Aさん)などの発言あり。
リーダー:私は、3つ、どれも見てみたいですが、でも、今、あることを実現したい
と思っています。
:その胸に秘めていることを実現したいと思っていますので、今年の初夢は
茄子にします。
:ごろごろ、ごろごろ、茄子がたくさん転がっている夢を見たいと思います
リーダー:では、皆さん、ご希望の初夢を見ることができるよう頑張ってください。
リーダー:今日は、お正月に晴れ着を着た方も多いと思いますので、着物の話をして
いいただきたいと思います。
:皆さん、若い頃はどんな着物を着ていましたか。
(小紋の着物をテーブルに置く。下の写真は自宅で撮りました)
(実際の回想法では、折りたたんだ着物を置きました)
(「あー振袖だ」、「元禄袖の着物を着ていた」、
「昔は、着物の方が多かった」など、皆さんわいわいがやがや)
→「元禄袖(げんろくそで)の着物を着ていた」(Fさん)
→「私は着物の方が多かった」(Dさん)
→「私は、13才の時、親に新しい着物をこしらえて貰った」
「女の子は13才になると振袖を作ってもらった」
「普段は洋服だった」(Aさん)
リーダー:皆さん、Aさんは、13才の時に、親に振袖をあつらえてもらったそうで
す。それはどんな着物でしたか?
→「紫色の地(じ)で、金紗(きんしゃ)がついていた。模様はお花。それ
を着て神社にお参りに」
「その頃は、タクシーなかったから、人力車で行った」、
「お母さんに着せてもらった」(Aさん)
:履き物は何でしたか?
→「履き物は、草履(ぞうり)」(Aさん)
:髪はどうしたんですか?今のAさんの髪形と同じでしたか?
→「こんなんじゃない。編んでいた。三つ編みに」(Aさん)
(「髪が長かったんだ」、「おかっぱじゃね」、「三つ編みは可愛いね」
など、子供時代の髪型について、わいわいがやがや)
:Aさんは、十三参りで、初めて着物を作って貰って、お母さんに着せても
らったそうです。いいですね。
→「私は、お姉さん着せてもらった」(Eさん)
:Eさんは、普段も着物でしたか?
→「そう、普段は着物で、メリンスの着物」(Eさん)
(「メリンスの着物」という発言に、「メリンス、懐かしい」と皆さん)
→「私は着物を着ていた。木綿の着物。羽織も作って貰ったよ」(Dさん)
「柄のついた着物だった」
「普段の着物は、白だと汚れるので、紺色」
「小さい時は母に着せてもらった。大きくなったら自分で着た」(Dさん)
:大きくなって、何才頃から、自分で着ましたか?
→「何才から自分で着たか、そんなこと覚えてないよ」(笑)
「帯は、3尺帯だった」(Dさん)
→「帯は自分もしめたよ。小さいから三尺帯」(Fさん)
「半幅帯もしめたよ」(Fさん)
(「名古屋帯は幅広でよそ行きに」「普段は半幅帯だった」などの発言あり)
→「私は20才頃には、自分で帯も締めた」(Cさん)
「お太鼓(たいこ)を背負ってた。お店やっていたから」(Cさん)
(「看板娘だったんだ」、「綺麗だったんでしょうね」、などの発言あり)
→「私はミッションスクールだから、学校は洋服で通った。家では着物」(F
さん)
→「普段は着物。母が縫ってくれた」(Fさん)
(「そう、昔はお母さんが着物を縫ってくれた」、「お母さんがいろいろ作っ
てくれた」などの発言あり)
→「着物ではなく、モンペを着ていた」(Cさん)
「モンペは、上が着物。自分で縫った」(Cさん)
コ・リーダー③:私の母は、着物を質屋さんへ持って行った。着物が、質屋さんに出たり入っ
たり。着物が貴重で値段も高かったのですね。
→「今は、売ろうとしても安い」、「安く買える店もある」、「昔は着物はなか
なか買えない」などの発言あり。
リーダー:これは、皆さん、ちょっと着てみますか?
(「皆んなで着てみよう」の声あり。「写真も撮って」というリクエストも)
(「襟を合わせてえ、左前にならないように」などの言いながら、皆さん、
順番に着てみる)
→「赤い」、「いい色」、「若返る」、など、わいわいがやがや。
リーダー:「この着物は、私の若かりし娘時代に、全部、母が縫ってくれました」
→「私、こんな良い着物きたことないよ」(Dさん)
(「凄いね」、「わー、これはいい」などと言いながら、着物を着る)
→「「若返った、かな?」(Dさん)
(「50歳も若返った」、「綺麗」などのやりとりあり)
(「身長が伸びてくると、ここを下して(おろして)着るんですね」、「こん
な着物を着た時代もあったんだよ」などの発言あり)
(「写真撮りましょう」と、順番に記念写真)
リーダー:お正月の初詣(はつもうで)には、着物を着ましたか?
→「ちょっと、余所行き(よそいき)の良い着物を着ていった」
「木綿ではなくて」(Fさん)
リーダー:皆さんは、成人式にも着物を着ましたか?
→「昔は、十三詣り(じゅうさんまいり)で、成人式は無かった」(Aさん)
「成人式に着物を着るようになったのは戦後でしょう」(Cさん)
(「女性は十三詣りした」という方が多かった)
→「私は、十三詣りは、したことないな」(Dさん)
→「夫は、男なのに十三詣りしたといっていた。男の子たちで一緒に」(コ
・リーダー②)
→「私の田舎でも、同じ町内の男の同級生たちと、自転車で1時間くらいか
けて、虚空蔵様(こくぞうさま)というお寺さんにお参りした」
「13才だったのかな。15才だったのかな。どっちだったかな。途中の
砂利道の坂は自転車が進まなくて、押していったことを覚えている」
(コ・リーダー③)
(「男は15才じゃない」、「地方によって違うのかな」などの発言あり)
リーダー:着物を着るときは、髪はどうしてました?
→「髪結屋(かみゆいや)に行った。パーマかけたことある」(Dさん)
:ちょっとお洒落して、出かけますね。
→「パーマは、20才過ぎないとかけないよ」(Aさん)
→「かけたことある」(Eさん)
→「女学校時代は、パーマかけたことない。卒業してから」(Fさん)
:パーマかけると、どんな気分でした?
→「私は、髪の毛が柔らかいから、一度かけると、元にもどらない。長持ち
した」(Dさん)
(「いいですね」「クルクルになったまま、長持ちするんだ」など、わいわい
がやがや)
リーダー:この着物は、赤いでしょ。若い時は着たけど、今は着れません。
:皆さん、若い時の着物は、どうしましたか。
→「着物は、今は着る機会が少ない。」
→「赤い着物は若い時。今は箪笥(たんす)の肥やし(こやし)」(Dさん)
→「娘にあげた、近所の娘にあげた人もいる」(Fさん)
「名古屋帯を買って、子供にあげようとしたら、いらない、と」
「そう言われたので、一度も使わないまま、箪笥に」(Dさん)
→「着物は、大股で歩けないいから、着ない」(コ・リーダー②)
→「母が、自分の着物を、ねんねこ(注)に直して、持ってきてくれた」
「その時、母が行きたいというので、東京タワーに、ハトバスで行った」
「ねんねこ着て、母と東京アワーに上った」(コ・リーダー②)
「流行歌みたいだね」(Cさん)
→「ねんねこなら、自分で縫ったよ」
「自分の着物でかめのこ(注)作って、子供おぶったよ」(Dさん)
→「かめのこを作った。かめのこの方が、自分も子供も暖ったかい」
「近所の人もみんなかめのこだった」(Dさん)
→「私も作ったよ」(Eさん)
→「散々(さんざん)、負った(おぶった)よ」(Fさん)
(皆さん、かめのこを作り、子供を負んぶ(おんぶ)したとのこと)
→「花嫁修行で習ったから、着物は縫える」(Fさん)
(「昔は、皆、自分で縫っていた」と皆さん)
→「自分も、裁縫を習って、着物を縫った」(Dさん)
「千葉まで、裁縫を習いに行っていた」
「家からは通えないので、親戚の家から通った」
「その学校は、今でもあって、大きくなっている」(Dさん)
リーダー:お子さんの学校の入学式には、着物は着て行きましたか?
→「着物だったよ」(Dさん)
:こんな羽織は着ませんでした?
(黒絵羽織をテーブルに置く。下の写真は自宅で撮りました)
(実際の回想法では、折りたたんだ着物を置きました)
(「絵羽織だ。みんな着たよ」、「着物の上に、これを羽織(はしょ)
れば、余所行きに」、「紋付だね、「黒い色は引き締まるね」など、
わいわいがやがや)
→「紋付は、着ると汚れるから、着なかった」(コ・リーダー②)
リーダー:着物の洗濯はどうしてましたか?
→「昔は、汚れるほど着なかった」(Dさん)
→「シミができたら、洗濯屋に」(Fさん)
→「ベンジンで自分で綺麗にした。綿にベンジンをつけて、ポンポン」
(コ・リーダー④)
→「洗う時は、ほぐして、洗い張り。庭に干した」(コ・リーダー④)
リーダー:晴れ着の着物は、普段はあまり着ませんが、何か特別の時に着ますね。
:そんな着物の思い出は、どんなものがありますか?
→「成人式の時だけ、着物を着た」(コ・リーダー②)
「親が作ってくれた。明治神宮へお参りしたら、玉砂利が足に入って、痛
くて。着物の内側が、真っ黒になってしまった。」
「歩き方が悪くて、母に叱られた」
「その日は、雨も降って、泥がはねた。泥がぽつぽつと。ショックだった」
「着物屋さんに丸洗いしてもらい、目立たなくなった」
「その着物は、娘が学校卒業する時に着せた。袴をはいたので、汚れたと
ころは見えなくてよかった」
「娘が着てくれたので、嬉しかった」(コ・リーダー②
→「十三参りの着物は、今でもある。箪笥の中に」(Aさん)
「着物の写真もある、きちんと映っているが、何の時の写真か、覚えてい
ない。その着物は、今は箪笥の中」(Aさん)
→「着物を着て、写真を撮ったことは覚えているけど、何処で撮ったかは忘
ちゃった。その写真は今でもあるよ」(Dさん)
:写真屋さんに行って撮ったんですね。その着物は何処にありますか?
→「箪笥の中」(Dさん)
(「箪笥の肥やしだ」などと笑い)
→「子供ができて、新年のお宮参りのときに、着物を着た」(Eさん)
→「結婚式に着た。娘の結婚式のとき、良く覚えている。その着物はとって
ある。」(Cさん)
「柄物。綺麗な絵がかいてある」
「この着物欲しい、と言われている。欲しい人にあげるつもり」(Cさん)
→「今の人は、着物はいらないと言う」(Aさん)
→「お正月の時は、着物着ていた。小唄の会にも着て行った」(Fさん)
→「七五三の着物は、おばあちゃんの好みで選んだ。ぽっくり履かされて、
痛くて、はきづらくて」(コ・リーダー⑤)
「おばあちゃんが初孫だと用意してくれたものだから、我慢して履いて、
歩いた」(コ・リーダー⑤)
→「ぽっくりは、履いたことあるよ」(Eさん)
→「ぽっくりはあぶない、ころびそう」(Fさん)
リーダー:何で、ぽっくり、というのですか?
→「歩くと、ぽっくり、という音がするから」(Aさん)
「お馬の親子は,仲良し、こよし、ぽっくり、ぽっくり、歩く」という歌
もある。馬の蹄(ひづめ)に似ているからじゃないかな」(コ・リーダ
ー④)
(「お馬の親子は、仲良しこよし、いつでも一緒に・・・」と皆で歌う)
→「着物は、歩くのが大変。苦手。母が、全部作り直して、ズボンや洋服に
仕立ててくれた」(コ・リーダー①)
→「自分では、仕立て直しはできない。良い生地は、仕立て屋に」(Aさん)
→「遊ぶ時は、ウール地の着物が多かった」(コ・リーダー④)
リーダー:着物は、洋服のようにサイズが決まってないので、着物は、誰でも着るこ
とができる。誰にでもあげることができる。
:綿を入れれば、綿入れになり、この絵羽織などは、袖を切れば、ベストに
なり、洗って縫い直せば新品になる。
:本当に役に立ちましたね。
:では、そろそろお茶の時間になりましたので、着物をたたみましょう。
(「じゃ、これたたみましょう」、「どうたたむのかな」、「こうすればい
いのよ」など、皆さんも一緒にたたんでくださいきました)
<回想法を振り返って>
・着物を着てみたとき、こんな赤いのは恥ずかしいよ~と言っていたが、若返った、
これはいい、など、皆さん大はしゃぎして、ちょっとおすまし顔で写真におさまりま
した。新春らしい時間をもてて良かったと思いました。
・テーマに「晴れ着」を選ぶとき、戦争を体験されている皆さんにとって、着物は食料
に変わったり、焼けてしまったりという辛い思い出がある場合もあるので、道具とし
て用意した着物は、華やかなものではなく普段遣いのものにしました。皆さん手に取
られて、手触りなど楽しんでおられたことは、とても良かったと思いました。
・最後に皆さんが率先して着物をたたんでくださった。ちゃんと手が覚えているんです
ね。素晴らしいと思いました。
(リーダー 磯村)
<注記>
(注)「ねんねこ」と「かめのこ」について
・冬の寒い時期に、赤ちゃんを背中に負んぶする時には「ねんねこ」か「かめのこ」
か、どちらかを着たようです。(今のように、前にだっこする方はほとんど見かけ
ませんでした)
・「かめのこ」は「かめの甲」という呼び名もあるようです。(どちらが正式かは
不明です)
・文字通り、亀の甲羅(こうら)のような形ですので、母親の両手が自由に動かし
やすいので、子供を負ぶって畑や家の仕事がしやすい形のようです。
・冬には「ねんねこ」もよく見かけました。「ねんねこ」は袖がついていますので、
防寒上は優れていますが、動きづらいとは思います。
・「ねんねこ」から、袖(そで)を取り丈(たけ)を短くすると、「かめのこ」と
似たような形に。
(「かめのこ」と「ねんねこ」の写真は「北極しろくま堂」さんのホームページから
引用させていただきました)